【多目的な防音室の設計と施工】
木造の注文住宅を建てるタイミングで、当社に防音室のご相談をいただきました。今回の施工の特徴としては、ご家族の皆様が将来的に多目的に活用できる防音室を設計・施工することで、楽器演奏やピアノ教室、さらにはホームシアターとしての利用を想定し、ご家族の未来のスケジュールとして機能性の高い空間作りを目指しました。注文住宅の大きな魅力である設計の自由度を最大限に活用し、生活動線と使い勝手を重視した設計を行いました。特にこだわったのは、防音室へのアクセス方法です。今回の防音室には、二ヶ所出入口を設けました。玄関〜廊下の空間から直接アクセスできる扉からは生活導線を通ることなく、音楽教室の生徒さんが出入りできる間取り設計になっております。日常生活において、玄関からリビングを経由せずに直接防音室に入れる動線を確保することで、家族や来客の動線が重ならないようにする事、生活空間が見えないようにする事は、音楽教室を運営する上ではとても重要な事と言えます。一方で、ご家族だけが過ごすリラックスした時間には、リビングからガラスサッシを通じて防音室に入ることができるもう一つの動線を設けました。ガラスサッシを採用することで、視覚的なつながりを保ちつつ、音漏れも防ぐことが可能です。防音性能をそこまで損なうことなく、空間の開放感を維持できるこの設計は、ご家族の皆様にも好評をいただきました。リビング側のガラスサッシは音楽教室運営時にはロールスクリーンをサッシの大きさに合わせて製作し、ロールスクリーン本体はリビングからは見えないように細かい部分まで意識した防音室設定となっております。さらに、家具のレイアウトにも細心の注意を払い、ご家族のライフスタイルに合わせた配置を行いました。特に、ピアノ教室としての利用を考慮し、ピアノの位置や生徒用の椅子の配置、楽譜置き場などの設計を詳細に検討しました。また、ホームシアターとしての利用時には、視聴ポジションとスピーカーの位置を最適化し、臨場感あふれる音響効果を実現するレイアウトを導入しました。
【施工中の問題発生と修正】
しかし、施工中に一つの問題が発生しました。今回設置されたコンセントの位置が、実際には誤った場所に配置されていることが判明しました。このままでは、計画された家具のレイアウトでコンセントや配管取り出し口を隠す事が出来なくなってしまうため、工事を一時中断し、大幅な修正工事を行うことになりました。コンセントの位置を適切な場所に移動させるため、壁の一部を再度解体し、配線を引き直すという大掛かりな作業が必要となりました。防音工事の経験も長い職人さん達だからこそ、この方が使いやすいといった考えの元で施工を行っているケースもあります。しかし、今回は施工的には無理が掛かる位置へのコンセントや隠蔽配管を設計はされていましたが、なぜそこにレイアウトするのか?までを設計図で伝えきれなかった事が原因と考えております。このような不測の事態にもかかわらず、ご家族は私たちの提案と対応に対して快くご理解いただき、修正工事を承諾してくださいました。大規模な修繕工事を行うという事は、工事日数も増えてしまう事になるのですが、承諾いただき施工を進めさせていただきました。
【お客様の満足と将来への展望】
その結果、皆様が満足できる防音室が完成しました。このプロジェクトは、単なる防音室の施工にとどまらず、ご家族の将来を見据えた多機能な空間作りの一環として大きな成功を収めました。お客様からは、「家族全員が安心して音楽や映画を楽しめる場所ができたことに、とても満足しています。また、将来に向けての多用途な使い方も視野に入れて設計していただいたことで、長く愛用できる空間ができました」との感想をいただきました。土地建物、そして防音室工事、で出費がありますので、ホームシアターの実現はいつになるかわまりませんが、いつか実現したいとおっしゃってくれています。ピアノが移動する事はありませんが、スクリーンを降ろすスペース、プロジェクターから投射できる天吊りスペース、そして視聴スペースが確保されている防音室です。
【バドシーンならではの防音室】
隠蔽配管で最適な位置にコスパ高いスピーカーやプロジェクター、そしてスクリーンも設置できる計画と施工をできる会社は多くはありません。防音室の設計施工、ホームシアターの設計施工が出来るバドシーンだからこその防音室が完成していると言えます。隠蔽配管の貫通部や、スピーカーや機器設置用の下地の施工にも、遮音性能の低下をさせない防音室の創り方が、お客様の将来的なお部屋の使い方の変化にもお応えできるのです。内装デザインはホワイトを中心に構成していき、ピアノや家具、写真やタペストリーなどが彩を創っていく。そんなイメージで取り組んだお部屋は、シンプルな中に個性がある防音室になっていると感じています。私たちは、今回のプロジェクトを通じて、お客様の未来の生活を見据えた空間設計の重要性を改めて認識しました。今後も、お客様一人ひとりのライフスタイルに合わせた、機能的で快適な空間作りを提供してまいります。勿論、ご希望の演奏が近隣から苦情が来ない防音室としての遮音性能の確保も怠る事はありません。
【今後の取り組み】
今回のプロジェクトで得られた経験と学びを活かし、お客様のニーズに合わせた最適な防音室の設計施工を提供していきます。 特に、初期段階での綿密な打ち合わせと設計図面による詳細な情報伝達を徹底することで、施工上の問題を未然に防ぎ、お客様の満足度を高めてまいります。