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圧倒的コスパ!間取り防音とは?!

公開日:
防音アドバイザー 並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

隣室に対して防音したい!
でも壁一面を防音施工するのは大変!

そんな状況に陥(おちい)った時、部屋と部屋の間に1つ空間を設けると防音効果を一気に上げることができます♪

今回は、そんな圧倒的コスパの間取り工夫で防音効果を高める方法についてお伝えします。

下記の簡易的な間取りを使って説明していきますね。

間取り_1

 

クローゼットや書庫を挟もう!

一般的な部屋・25 dB減衰の壁で考えると、人の喋り声60 dBくらいの音は、隣の部屋に35 dBくらいの音量で届きます。

間取り_2

 

35 dBというと深夜の雑音くらいの大きさで、シーンとした静寂の中では気になる程度の音量です。
もう少し聞こえる音量を下げたいな、という場合もあるでしょう。

そこで例えば、部屋どうしの間にクローゼットを設けて中に衣類などを詰めてみます。
するとクローゼットのドアや衣類などが音の伝達を防いで、壁と合わせて35 dBほどの防音性能を確保できるようになります。
隣室への音量は25 dB以下程度になり、このくらいなら安心して眠ることもできるでしょう。

間取り_3

 

では、もっと防音性能が欲しい場合はどうすればよいでしょうか?!

例えば元の音量が60 dBではなく80 dBだったら、クローゼットを設置しても隣室には45 dBほどで聞こえます。
45 dBというと昼の雑音程度の大きさで、中々に気になる音量です。

間取り_4

 

こういった場合は、引き違いのガラスサッシを両方のクローゼットに加えてみましょう。
そうすると、壁と合わせて50 dBほどの防音性能を確保でき、音源80 dBの音量を隣室で30 dBくらいにまで抑えられます。

間取り_6

 

クローゼットを例として挙げましたが、本棚に本を詰めても同様の効果を得られるので、書庫などを設置するのもOKです。

ドアによる防音効果の低下に対して

ところで今までの間取り、隣室どうしのドアが離れていたのにお気づきでしょうか?

ドアはその性質上どうしても壁と隙間ができてしまい防音性が低いので、ドアから漏れる音が隣室に入ってしまうのを防ぐために離して距離をかせいでいるんです。

間取り_5

 

一般的な壁やドアの場合80 dBの音が向かいの部屋にどれぐらい聞こえるかというと、おそらく50 dBほどでしょう。
50 dBは、話している内容や音の種類など把握できるくらいの音量です。

間取り_7

 

このようにドアによって防音性能が低くなってしまう場合は、前室を作る方法をおすすめします。前室を設置することで、ドアの防音性の低さを補い、通常の壁と同じくらいの性能を確保することができます。

間取り_8

 

80 dBの音が前室と壁で25 dBぐらい減衰して廊下で55 dBに、向かい側の部屋の壁でさらに25 dB減衰し、向かいの室内に届くまでには30 dBまで抑えられます。

さらに防音したい時は?

これまで

  • クローゼットや書庫で35 dB減衰
  • ガラス冊子をプラスして50 dB減衰
  • 前室でドアの防音脆弱性を補う

といったことをお伝えしてきましたが、もっと!さらに!防音性能が必要な時はどうすればよいのでしょうか。

実例ですが、「ご主人が夜中にボイスチャットなどで90 dBほどの大きい声をだしたい、でも他のご家族は寝るので、寝室に聞こえる音量は20 dBほどまでに下げたい」というケースを考えてみましょう。

そういうときはいよいよ、防音室の出番です。
「防音室+前室」の合わせ技で70 dBの防音性能を確保します。

間取り_9

 

このケースは奥様のご希望で、寝室のドアが開き戸ではなく引き戸になっています。
引き戸は開き戸よりも隙間があるので気密が高くならず洗濯物が干しやすい、開閉時に部屋の中が狭くならない、という理由からのご希望だそうです。
ただ「気密性が高くない=音が漏れやすい」ということなので、引き戸の場合は開き戸よりももっと防音性能は下がります。
そのため寝室の防音性能にはほぼ頼れず、玄関ホールまでの時点で音量を十分に下げる必要がありました。

防音するためには何かが犠牲に・・・

防音性能を上げるためには、空間(厚み)やお金、時間、音源の音量など、何かしらの犠牲が伴います。

ここでいう犠牲とは例えば、「少し部屋が狭くなるけどクローゼットを設けよう」「お金がかかるけど家の部屋自体を広くしよう」「夜に練習したいけど遅い時間帯は迷惑になりやすいから早めに練習を切り上げよう」「防音対策は手間がかかるから自分の出す音量を下げよう」といった折衷案を指します。

先ほどの引き戸希望のケースでも、防音性能を確保できなければ引き戸をあきらめていただいて開き戸になっていた可能性もあります。

防音性を手にしたい時には、優先順位をどうするかを考えていただければと思います。

まとめ

今回は間取りの防音について発信いたしました。

間取りでの防音は、クローゼットや書庫のように空間を有効活用しつつ防音を図ることができます。
また、家の設計時から防音を考慮して計画的に行えば、後から壁に防音施工するまでもなくコスパよく防音が叶うおすすめの方法です。
新築戸建てだったら設計の段階で間取りの防音を導入できるので、是非ご相談いただければと思います。

私たちBudsceneは皆様が暮らしの中で音と上手に付き合っていけるように応援しています。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 賃貸なので本棚を置くようなかたちで防音を考えています。
本棚は壁の何割を覆えばよいでしょうか?棚と壁の間のスペースはどの程度空けておくと効果的ですか?
A. 現状からさらに10 dBの減衰を目指している場合、
・壁を覆う面積:50%以下 → 効果なし
・壁を覆う面積:70%ほど → 5 dB向上
くらいになるでしょう。
本棚と壁の間はできるだけ開けた方が効果は高まりますが、覆えない部分があるなら逆に壁になるべく寄せた方がよいでしょう。接触させない程度、2 cmほど離してください。

Q. 石膏ボードを壁に貼り、その上から吸音パネルを貼れば防音効果は期待できますか?
A. 壁にボードを貼り増しして、吸音パネルで仕上げてもそこまで成果はでないでしょう。
どんな音をどこに対してどれだけ防ぎたいのか?をまず数値化しましょう!
そして、施工方法は直貼りではなく複構造ですよ!
下記を参考にしてみてください↓
【数値で考える!絶対に苦情が来ない防音室】
【防音効果を最大限まで高める方法とは?】

Q.  間取りの防音はリフォームやマンション、賃貸などでもできますか?
A. 戸建ての新築やリノベーションのタイミングだと導入しやすいですが、クローゼットや本棚での防音ならマンションや賃貸物件でも取り入れやすいのではないでしょうか。
他にも規約や取り決め次第で可能なケースもあるので、お気軽にご相談ください。

関連動画

【圧倒的コスパの間取り防音の秘訣!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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