防音カーテンは効果があるのか?防音工事のプロがわかりやすく解説
皆さん、こんにちは。防音アドバイザーBudscene並木です。
超・難問クイズ!
□に入る漢字は何でしょう?
上下左右の漢字と組み合わせると、それぞれ2文字の単語になりますよ。
ヒントは下の画像です。
ヒントでわかった方、すごいですね♪
答えは「窓」!
同窓、車窓、窓口・・・。
最後の「窓帷」はマドトバリと書いてカーテンと読むようです。確かに漢字の意味はカーテンと合ってますね^^
今回は、防音窓帷、もとい防音カーテンが防音に対してどのくらい効果があるのかについて解説していきます。
目次
防音カーテンの性質
窓からの音漏れに対して、最も手軽に対策できるのが防音カーテンです。
自分で音への対策をしやすいため、防音カーテンという商品が気になる方も多いかと思います。
防音カーテンには、次の2つの性質があります。
- 生地の重さによる防音性
- 生地が音エネルギーを減衰させる吸音性
しかし、生地の重さは窓などに比べるとはるかに軽く、吸音効果として音エネルギーが熱エネルギーに変わる量も微々たるものです。
防音カーテンはあくまでも気休めの手段であり、本格的な効果を望むなら別の対策を講じる必要があることを覚えておいてください。
防音室に防音カーテンは不要!
同じ防音カーテンを使っても、効果を得られるケースと得られないケースがあります。
では2つのケースでは具体的に何が違うのでしょう?!
あまり効果が得られないケース
ほとんど効果を得られないのは、すでに防音効果が高い部屋に防音カーテンを使う場合です。
防音対策をしてある部屋は窓などにもう十分な重さがあるので、カーテン程度の重さでは焼け石に水状態であり、防音効果は限りなくゼロに近くなります。
効果を得られるケース
効果を感じられるのは、防音対策の手が全く加えられていない防音効果の低い部屋に防音カーテンを使う場合です。
どのくらいの効果かというと、「窓から漏れている音を外で聞いているときにカーテンを閉めると『あっ、静かになったな』というのがわかる」くらいです。
現在、一般的に普及している窓ガラスは複層ガラス(ペアガラスなど)が主流です。
複層ガラスの遮音性は25 dB程度ですが、防音カーテンをプラスすることで音を30 dBくらいまで減衰させることができます。
防音効果を少しでも、かつ手軽に高めたい場合には、防音カーテンでも効果を実感できるでしょう。
しかしもっと防音性能を高めたい場合には、インナーサッシを加えて内窓にすることをおすすめします。
複層ガラスと内窓は似たイメージで混同しやすいですが、用途が違いますので間違わない
ように気をつけてください。
- 複層ガラス・・・1つのサッシに複数枚のガラスがはめ込まれたもの。断熱目的で使われているため、防音には特に効果なし。むしろ太鼓現象(※1)を引き起こし、音を増幅させる可能性もあり。
- 内窓・・・室内に、本来の窓の他にもう1つ内窓(サッシ+ガラス)を付け足した状態。
ガラス同士の距離が離れている、ガラスの厚さが異なる、といった点で太鼓現象が起こりにくく、防音対策として効果的。
※1 太鼓現象・・・二重構造の壁やガラスなどにおいて、間に存在している空気がバネのような役割をし、一方からの振動エネルギーを他方にも伝える共鳴現象。
防音カーテンとうたっていなくてもOK
「防音カーテン」と宣伝されていない一般的なカーテンでも、十分に防音効果を期待できる場合があります。
例えば、ベロア製のものや暗幕として使用されているものは、元々生地の重さがあり、さらに吸音効果も高いカーテンです。
「防音カーテン」と記載されていなくても、防音カーテンと同様の効果を得られるはずです。
逆に、アルミ製や木製のブラインドは音を反射してしまい効果が薄くなるので気をつけてください。
まとめ
今回は防音カーテンの特性について解説しました。
- すでに防音効果の高い部屋には防音カーテンは効果なし
- まだ防音の手をつけていない空間で、少しでも音を小さくしたい場合には効果あり
- 重厚感のある素材だったら防音カーテンとして使ってOK
今抱えている音の問題に対し、防音カーテンの性質を理解して上手に使っていくことが大切です。
私たちBudsceneは様々な防音情報を発信していますので、是非正しい知識を得て防音対策の参考にしていただければと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 鉄筋コンクリート造のマンションで、内窓を設置した部屋です。室内から室外へ歌声が漏れることを防ぎたいのですが、防音カーテンの効果は期待できないでしょうか?
A. 内窓を設置しているならすでに防音性が高い状態であるので、防音カーテンを追加しても遮音性能は向上しません。内部の音の響きを少し抑えられる可能性があるくらいです。
Q. ペアガラス、防音カーテン、シャッターなどで防音対策を万全にしたら、今度は換気口からの騒音が気になりだしました。外から聞こえる話声、眠れないほどの騒音対策としては、どのようなものがありますか?
A. 手っ取り早いのは塞いでしまうことですが、換気口の場合、それは現実的ではありません。
そこで下記のレンジ用防音フードのようなものを設置するとよいでしょう。
https://www.daiken.jp/ventilatorfirealarm/lineup/16100215.html
換気口ケースを作り、内部を吸音材で囲うと消音ダクトのような効果が出ます。
Q. 襖で仕切られた部屋の中の音楽等の音を少しでも外に漏れないようにしたいです。
襖の前に突っ張り棒などでカーテンをかけた場合、窓と比べてどれだけの効果がありますか?
また襖の防音性能を少しでも高めるにはどのような手段がありますか?
A. 塞いでもよいのなら、いっそのこと間仕切りを推奨します。
https://youtube.com/playlist?list=PLJGMAz75cTIaXZaZoOMCsHBLYT-sqhLR4
出入りする必要があるのなら内窓の設置が良いと考えます。
https://uchimado-plast.jp
部屋の出入り口で塞げない、賃貸なので内窓をつけることは難しい、というような場合には、大きな期待を持たずにカーテンの設置を行うのが良いかもしれません。
音楽の場合、低い周波数の出力も大きいので、ベース音やリズム系の低域の音にはほぼ効果はないでしょう。高い周波数には多少効果はありますので、そこに期待しての施策とお考えください。
カーテンは天井から床に接するまでの長さのものを2枚準備し、部屋の内側と向こう側に設置してください。
その際なるべくカーテン同士の距離を離すと効果を高めることができます。
Q. コンプレッサーとペインティングブースを使うときの音が隣の部屋に聞こえるのを抑えたいのですが、防音カーテンは効果ないでしょうか。コンプレッサーは50 dBくらい、ペインティングブースはドライヤーでの強風設定と同じくらいの音量です。木造賃貸で遮音性の弱い壁です。
A. 部品が飛んでしまった際の衝突音を抑える程度の効果しか望めないでしょう。
既に遮音性能がある壁などに対して防音カーテンを設置しても5dB向上させることはできません。
襖やパーテーションのような、元々の性能が20 dB以下程度の性能であれば効果を体感できるくらいの変化がありますが、隣室との壁となると木造でもそれ以上の性能があると推測されます。
Q. 現在窓から音が漏れていると感じます。
防音ロールスクリーンを検討しているのですが、防音カーテンに比べて性能に違いはありますか?
A. 両方とも生地で作られているので、重さや吸音性の性質自体にそれほど差は生じないでしょう。
ただし構造上、ロールスクリーンの方がカーテンより窓との隙間が多く、そこから音が漏れてしまう可能性があります。
どちらも現在の窓の性能が高ければ高いほど効果が薄れることを念頭に入れてお買い求めください。
Q. 夜間、ボイスチャット等での会話が隣室に聞こえるようです。
現状、部屋と部屋は垂木を2枚の合板で挟む形で仕切られており、防音とは無縁の構造になっています。隣住戸側は押入れの壁で、両部屋とも断熱材等もはいっていません。
この状況で、防音カーテンを間仕切りの代わりとして壁から少し離して天井から垂らしておく方法は効果があるでしょうか?
A. 内容をお聞きする限り、防音カーテンを利用しても隣室に対しての効果はほぼないでしょう。自室の吸音効果が高まり、自身の声が聞き取りやすくなる程度と推測されます。
Q. 部屋を2つに区切る場合のカーテンを、予算5,000円以内で教えてください。
A. 部屋の仕切りとしてのカーテンは、音に対してほぼ効果がないとお考えください。
一般の話し声が、少し抑えた声に聞こえる程度の効果です。
なるべく生地が厚くてコスパの良い商品を予算内で選んではいかがでしょうか。
Q. 築30年の木造一戸建てに住んでいます。隣の家との距離が1 mぐらいしかなく生活音や話し声が丸聞こえだったため隣の家に面している窓全てに内窓をつけました。その結果、生活音や話し声は聞こえなくなりましたが、ドタバタと足音だけは響いてきます。
防音カーテンでドタバタ音を軽減できますか?
A. 固体を伝わる音や低い周波数の音は防音対策しにくく、内窓より効果の低い防音カーテンを利用しても音の減衰は感じられないでしょう。
Q. 外からの人の話し声やトラックの後退時のピーピーという警告音に困っています。
4重構造の防音カーテンを付けようと思っているのですが効果はあるでしょうか?値段は2枚で11,500円ぐらいです。
A. 値段は高いですが、確実に効果を得られる方法を選択するなら内窓をおすすめします。防音カーテンは高い周波数には少し効果がありますが、低い周波数にはほぼ効果がありません。効果をわずかしか感じられなくてもよいなら購入してみる、わずかな効果では満足できないなら購入は見合わせた方がよいのではないでしょうか。
Q. ただの壁に突っ張り棒などで防音カーテンをかけた場合、隣の部屋への防音対策にはなりますか?
A. 現状の壁がある程度の遮音性能がある場合には、防音カーテンは重さによる割合が小さくなり遮音効果はないも同然となります。
また吸音効果もささやかであり、生地で室内の音の反射が抑えられ隣室へ出ていく音がわずかに小さくなるだけです。
Q. 部屋の裏が山になっており、風が吹くたび木のがザーザーという音、風のビュービューという音、台風の時のゴーゴーという轟音に悩まされております。非常に古い建物で単層のガラスにカーテンをしていない状態です。
工務店に内窓を見積もっていただいたら、一箇所7万円ほど。窓が5箇所あり、もう少し安価な防音対策をと考えております。
防音カーテンを二重に吊ろうと思い、カーテンレールは二列タイプを購入いたしました。
二重にする場合、「レースの防音(ラミネート加工)」は効果があるのでしょうか?
A. その状況であると費用は掛かってしまいますが、内窓に防音合わせガラスを入れる方法がベストな選択であると推測されます。レースは生地が薄いので、防音効果はほぼありません。
防音カーテンを二重に掛ける場合には、カーテン同士の距離をなるべく離した方が効果を得られます。
対策は一気に進めずに、1箇所ずつ試して効果を実感してから全室に臨んだ方がよいでしょう。
Q. 家の窓にシャッターがついているのですが、内窓や防音カーテンを取り付ける必要はありますか?
A. シャッターはさほど遮音効果はないとお考えください。
内窓の設置が必要であるかどうかは、漏れている音で判断するのが良いと思いますので、下記を参考にしてください。
https://youtu.be/sbWlDXTemIQ
Q. 猫を飼おうと思っています。
夜鳴きが気になるとき、夜にゲージの周りだけカーテンを引くことは効果あるでしょうか?
A. 猫の鳴き声の種類によっても異なってきますが、ゲージの周りと部屋の窓に厚手のカーテンを引けば、建物外部には効果を発揮すると思います。
Q. 防音カーテンを検討しています。
おすすめのショップやブランドなどありますか?
A. カーテンのサンプルなどをメーカーから取っていただき、全て同じ大きさでカットして食品用の計りで重さを計ってみてください。
一番重い生地が、一番防音効果の高い生地になります。
「防音カーテン」とうたっていなくても防音効果のあるカーテンがあります。ベロアや暗幕のような生地も視野に入れるとデザインの選択肢が広がります。
Q. 防音カーテンを一番安く買えるお店はどこですか?ホームセンターですか?
A. 防音カーテンを推奨しているわけではないため、どの商品がどこで売られているかまでは把握しておりません。
皆さまには、「どんな音をどれだけ防ぎたいかをまず明確にし、それに合う方法・商品を考えていくこと」をおすすめしています。
Q. 築40年の鉄骨造マンション6階に住んでいます。目の前がバス通りで、バスの音に悩んでいます。手軽にできる対策などはないでしょうか。
A. 車などの騒音にお悩みの場合には、内窓で対応するのが一番コスパが良いでしょう。
理由は防音カーテンは高い周波数の音には多少効果を発揮しますが、車の騒音など低い周波数の音にはほぼ効果を発揮しないためです。
LIXILさんのインプラスやYKK APさんのプラマードの設置が望ましいと思われます。
Q. 外壁コンクリート:180 mm圧、窓:Low-Eペアガラス(T-2等級)、防音サッシの環境です。それでも、スケボーの着地音などの外の音が気になります。
防音カーテンを付けるのは費用がもったいないでしょうか。
内窓プラストなども気になっているのですが、防音カーテンより効果あるでしょうか。
A. Low-Eはすでにそこそこの重さのあるガラスですので、防音カーテンを付け加えても効果はないでしょう。内窓の設置で、防音合わせガラスを利用するのがベストであると考えます。
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