【事例58】-木造2階をVRができる部屋に-
ゲーム配信をしています。配信部屋の6帖間をフローリングにする予定なのですが、音漏れがあるのではないかと防音強化を考えています。
防音のお悩み相談・質問コーナー。
今回のゲストは、階下へのゲーム配信の音漏れを防ぎたいδさんです。
では、ご相談・ご質問をどうぞ!
はじめまして。
築35年の木造2階建ての家に住んでおり、2階の角部屋・6帖間でゲーム配信をしています。
部屋は外壁2面・隣室・廊下(廊下側に扉があり、すぐ階段)に面する構造です。
配信部屋を畳からフローリングにするにあたり、家族のいる1階に音漏れがあるのではないかと懸念し、防音強化したいと考えています。
アドバイスいただきたい点は、
・床に高密度グラスウールを敷いた場合、階下に椅子の音や歩く音が響かなくなるか。(モニタ3枚付きの電動昇降デスクがあるのでたわみの問題)。
・内壁2枚の防音で、どの程度の防音が見込めるか(夜にゲーム配信が階下に響かない程度を希望)
です。
よろしくお願いいたします。
はじめまして。
配信環境の充実にあたり、「どんな音を・どこに対して・どれだけ防ぎたいか?」を数値化して、効果が得られる工法と素材を模索してみてください。
床の防振に関して、96Kグラスウール+石膏ボード゙(もしくは合板)では、床がかなり沈みます。
また、石膏ボードの場合には上を歩くと割れます。
(弊社の実験では、石膏ボード4枚でも施工中に上に人が乗ると割れました。)
床全体への施工は確かに効果的ですが、もし衝撃音の軽減のみであれば、タイルカーペットやジョイントマットを何層も繰り返し敷いてみてはいかがでしょうか。
昇降デスクに関しては、防振ゴム+衝撃音防止の対策が効果的です。
造作部(※1)に関しては、部分的な施工になること、木造2階で耐荷重の制限もあることから、劇的な効果は得られないかもしれません。
※1 造作・・・躯体部分(建物の柱や梁など)を除く箇所
フラッターエコー(※2)に関しては、家具の並べ方やレイアウトによって変わってくるので、防音面を整えた後に、壁や天井に吸音パネルを貼って調整していくとよいでしょう。
※2 フラッターエコー・・・平行な壁などで反射音がいつまでも続く現象
ご返信ありがとうございます!
ゴールは、夜間に1階の家族から苦情がでないようにすることです。
階下に対しては、MAXで30 dBほど減衰できれば、と思っています。
床に関しては、防振根太か音パットを施工し、その間にグラスウールを詰める予定です。
内壁に関しては、石膏ボードで間仕切り壁を作ってグラスウールを充填するつもりです。
グラスウールとロックウールに関して3つ質問があります。
1. グラスウールは中高音、ロックウールは低音の吸音に効果があると聞いたことがあります。
これは同じ密度で上記の効果があるのでしょうか。
それとも通常使われる密度がロックウールの方が高いから低音域に効果があるのでしょうか。
2. 現在の壁の内部が100 mmほどです。
100 mm全て同一の素材の場合と、グラスウール50 mm+ロックウール50 mmの場合では、効果に違いはあるのでしょうか。
3, 壁と床に使用するグラスウール、ロックウールの密度について、最低限どのくらいの密度があればよいでしょうか。
よろしくお願いします。
内部に充填するグラスウール・ロックウールの利用用途は、吸音ではなく、壁内で起こる太鼓現象防止です。
下記のような使い方をしてください。
【DIYで壁の防音性強化を実施し検証まで】
床に関しては結構大変な作業ですし、オーバースペックかと思われます。
下階に対しては恐らく既に40 dB程減衰しているはずです。
ゲーム配信を、少し熱の入った70 dBほどの声と想定した場合、下階には30 dBの音が聞こえていると計算できます。
30 dBは深夜の住宅街程度の環境なので、声に関してはこれ以上の遮音性能はそれほど必要ないのではないでしょうか。
衝撃音の防止が優先かな、と思うのですがいかがですか?
ありがとうございます。
床に関しては、クロックスのような室内履きを使用しVRをしていることもあり、衝撃音がメインな気がします。
壁に関しては、石膏ボードに負荷がかからない程度で、低密度のウール素材を少し厚めに充填したほうが太鼓現象には有効という感じでしょうか。
内部充填のグラスウールは、元々の壁と新たなボードの間で少し突っ張るように圧縮充填ができるとベストです。
100 mmのグラスウールを15 mm程圧縮して、85 mmの隙間に充填するような感じです。
壁内部の石膏ボード間の厚みを増すより、今ある壁の片側を解体して、間柱から独立して「間柱+石膏ボード」を追加し、「片側ボード+間柱」にした方が効果が高いですよね?
また、動画の間仕切り壁では、作成した柱に石膏ボードを2枚貼っていましたが、両側各1枚と、片側2枚では効果に違いはありますか?
柱を挟んで向こうの壁とこっちの壁に石膏ボードが使われている場合は、石膏ボード同士の距離が短く、柱を共有しているため、単層壁とみなせます。
新たな壁を作る場合は、柱を向こうの壁と共有せず、重さや構造を利用すると防音性を高めやすくなりますよ。
どんな音を・どこに対して・どれだけ防ぎたいか?の数値次第ですので、ゴールを明確にしてみてください。
【防音を考える際に最も重要な事はゴールセッティング!】
階下に対しては30 dB減衰を目指していましたが、隣の部屋に対しては40 dB減衰ですかね?
防音のゴールについては、夜にゲーム配信やVRホラー配信をすることなのですが、木造2階の部屋で重量的な問題があるので可能な限りと思っています。
柱を角型スタッド(※3)にするつもりなのですが、角型スタッドに対して特別な共振対策はありますか?
※3 スタッド・・・軽量鉄骨の間柱材。寸法安定性が高いJIS規格対応のC型スタッドと電気配線が通しやすい角型スタッドがある。
天井高は2300 mm程です。
40 dB減衰を単層壁で実現するのは無理ですね。
復構造が必須です。
下記の壁構造で、40 dB減衰を少し下回るくらいの壁構造になります。
【吉野石膏 耐火遮音システム(TLD-46〜50)一覧】
角型スタッドの共振が気になるのであれば、中にスポンジ材などの充填、もしくは木材の利用がよいのではないでしょうか。
上記URLの目透かし構造ですと12.5 mmを4枚使っていますが、積水ハウス築35年・木造2階6帖の壁2面でも重量的に可能ですか?
コンセント等は木材で囲うかたちで問題ないでしょうか?
LANの天井内配線でPF管(※4)などは使用しても大丈夫ですか?
※4 PF管・・・曲げても折れずにたわむ性質をもった合成樹脂製の電線管。自己消化性あり、露出・コンクリート埋設の両方可。
一応、第二種電気工事士免状は持っており、LANケーブルの作成はできます。
よろしくお願いします。
壁際に関しては、石膏ボードの足し増しをしても構造には影響ないと考えます。
界壁(※5)では、石膏ボード2枚貼りを行っている物件もあるはずですよ。
※5 界壁・・・共同住宅において、住戸と住戸の間を仕切る壁のこと。建築基準法で、一定の遮音性能と耐火性能が求められており、小屋裏まで達するように施工する必要がある。
一般的な戸建て住宅において、石膏ボードを両面に2枚貼りして得られる遮音性能は約30 dB減衰程になります。
(吉野石膏の耐火壁も、理論値はTLD50ですが、実測値は35 dB減衰程度になります。検査装置で測定をした透過損失値は、音の回り込みを考慮していないため、実測値では0.7~0.8掛けになります。)
コンセントなどは未来工業の遮音ボックスなどを利用するとよいですよ。
CD管(※6)も差し込めますし、コンセントやスイッチ穴からの音漏れを防止できます。
※6 CD管・・・曲げても折れずにたわむ性質をもった合成樹脂製の電線管。自己消化性なし、コンクリート埋設のみ。
わかりました。
丁寧なアドバイスありがとうございました。
ゲーム配信の環境を整えるために、アドバイスを参考に取り組んでみます。
これからも音に悩んだら、お気軽にご連絡ください。


