なぜ防音室の壁は厚くなってしまうのか?
皆さん、こんにちは。防音アドバイザーBudscene並木です。
今回は、防音室の壁はなぜ薄くできないのか?その理由について解説します。
目次
壁を薄くできれば部屋を広くできるが
Budsceneが施工するピアノスタジオの場合、元の部屋から一辺につき約8.5cm狭くなります。
そこで少しでも部屋を広くするため、厚みを薄くできないかと考える方が多いと思います。
防音室に必要な要素
防音に必要な事はたった2つ
・防振
・重さ
防振の取り方と、どれだけの重さがあるかで、防げる音の量が決まります。
つまり、薄くても同じ重さであれば、同等の性能になる可能性があるということです。
防音室の素材
防音室の床・壁・天井には、スーパーハードボードという石膏ボードを使用しています。
スーパーハードボードは、一般的な石膏ボードの2倍の重さがあります。
■薄くて重い素材を使うと
例えば、鉄板を使うとします。
・重さ
スーパーハードボード(厚み:12.5mm) = 鉄板(厚み:1.6mm)
鉄板を使うと、1.6mmの薄さでスーパーハードボードと同じ重さになります。
・強度
1.6mmの場合は、石膏ボードより柔らかいです。
鉄板は曲げることによって剛性が増します。
剛性が増して自立するように作ることも可能です。
・自由度
鉄板の場合、決められた寸法通りに進めるしかありません。
「やっぱりこうしたい!」という要望にお答えできません。
・内装
鉄板に塗装するくらいしか仕上げの方法がありません。
どうしても、無機質な仕上がりになります。
また、ジョイントも見えてしまいます。
そのため、内装用に1層追加します。
・加工
現地での加工は難しいです。
運搬の手間を考えると、施工する場所の近くで加工する必要があります。
加工できる工場に協力していただければ、壁が薄い防音室を作ることはできます。
鉄ではなく鉛を使ったらどうなるか?
鉛は、鉄よりも柔らかい素材です。
鉛単体で自立できません。
そのため、石膏ボードに鉛を貼った鉛ボード、合板に鉛を貼った鉛合板という商品が販売されています。
鉛ボードや鉛合板を使い、防音室に使う石膏ボードの数を減らすということは可能です。
そうすることによって、1~1.5cm壁を薄くすることができます。
・費用
一般的な作り方よりも材料費・加工費が高くなります。
一般のお客様にはお勧めしていない
費用的な観点や加工が難しいこと、内装も無機質になるなどこれらの理由から、金属を使った施工をお勧めしていません。
しかし、特別な事情がある場合は金属での施工を実施しています。
■金属を使った防音室の施工事例
実際に施工した例でいうと、会社(オフィス)の防音室です。
オフィスが移転する可能性があるという事情により、ステンレス製の組立式防音室を施工しました。
まとめ
今回は防音室を薄くできない理由について解説しました。
防音室を検討されている方はぜひ、ご活用ください。
【今回の内容】
【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】
https://www.youtube.com/c/budscene_yuichi_namiki/featured