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ピアノに防音室は必要か

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皆さんこんにちは。Budsceneの並木です。

今回は、ピアノという楽器の特性と、「ピアノならでは」の防音室の必要性について解説します。
ピアノの演奏が近所の迷惑になっているのではないか?と心配になっている方は是非ご覧ください。

ピアノ防音室

ピアノはヴァイオリンやフルートなどの楽器に比べて防音室の必要性が高い楽器です。ではそれはなぜでしょう?

ピアノは1人でオーケストラができるほど幅広い音域を持ち、迫力のある音を出すことができます。

自分で演奏していると気付かないかもしれませんが、
実は自分が思っているよりも大きな音が出ている可能性があります。

以下の項目に当てはまる方は、防音室が必要な可能性が高いです。

・アコースティックピアノ(グランドピアノ、アップライトピアノ)
・建物や部屋の遮音性能が低い
・夜21時以降に演奏したい

必要性があっても防音室が作れないこともあります。
防音室を作ることができる条件は以下の通りです。

・持ち家の戸建、マンション
・新築物件
・賃貸ではオーナーに許可が取れる場合
※木造一軒家は一階のみ可

防音室のメリット

防音室を施工するメリットは、
・ご近所トラブルを未然に防ぐ
・騒音トラブルにおびえることなく練習できる
・近隣への配慮
・同居人への配慮 などがあります。

防音室は1度施工すれば、何十年と使うことができます。
金額だけで判断せず、ピアノを使う状況や周囲の環境、同居人や近隣住民への配慮をするためのものとして、一度検討していただければと思います。

ピアノの音量

ピアノは90dB以上の音が出ます。
プロの演奏家や力のある男性が演奏すると、110dB程になります。

身近な90dBの例として、
・カラオケの音
・犬の鳴き声
・怒鳴り声/大声
・電車の騒音(30m)
などが挙げられます。

身近な110dBの例は
・自動車の警笛(3m付近)
などが挙げられます。

ピアノの音がきれいと感じる人にとっては騒音と認識しません。
しかし、ピアノの音をきれいと感じない人にとっては騒音に感じる音になってしまいます。

騒音と感じる音量

環境省が定める「騒音に係る環境基準」があります。
車線に面しているか、療養施設があるかなどの地域の状況により類型(区分)が決まり、類型に応じて騒音の基準が定められています。
※地域の類型は、都道府県知事が指定しています。

代表的な事例として、下記の2項目をご紹介します。
下記の値が、該当する場所で出してもいいとされる音の大きさの目安です。
これ以上の値になると、騒音となります。

【住宅地】

昼間:55dB以下
夜間:45dB以下

【住宅地で2車線以上の車線を有す道路に面する地域】

昼間:60dB以下
夜間:55dB以下

環境省:騒音に係る環境基準について
https://www.env.go.jp/kijun/oto1-1.html

注意していただきたいこととして、この基準はあくまでも基準です。
地域の基準値を守っていても、苦情がこないとは言い切れません。

安心して演奏活動を行うためには、
建物外部に漏れる音が環境基準値よりも小さくなるようにする必要があります。

環境騒音

基準値より小さいと騒音ではないとされる理由に、環境騒音(かんきょうそうおん)が関係しています。
室内では、換気扇の音やエアコン、冷蔵庫などの電化製品の音が発生しています。
屋外では、車の音や子供の声、生き物の鳴き声、風や雨などの音が発生しています。
いわゆる雑音と呼ばれる音が、環境騒音です。

環境騒音と騒音の関係

例えば、ピアノを演奏している場所で、テレビを見ていたとします。
ピアノの音が大きいと、テレビの音が聞こえません。
テレビの音を大きくすると、ピアノの音が聞こえなくなります。
これが音の特性です。

ご自宅付近で発生している環境騒音よりも演奏音を抑えることができれば、近隣の方にとって気にならない音になります。
この境目が、「騒音に係る環境基準」です。

部屋の遮音性能の基準

マンション等の遮音等級は、下記の基準で分かれています。
D-55 →特級(特別):遮音性能上非常に優れている
D-50 →1級(標準):遮音性能上好ましい
D-45 →2級(許容):遮音性能上満足しうる
D-40 →3級(最低限):遮音性能上最低限である

この条件下でピアノを演奏すると

D-55 →小さく聞こえる
D-50 →かなり聞こえる
D-45 →曲がはっきりわかる
D-40 →テレビの視聴の妨げになるほど聞こえる

となります。

ピアノの音が鳴る仕組み

ピアノには大きく分けて3つの種類があります。
・アコースティックピアノ(グランドピアノ・アップライトピアノ)
・電子ピアノ
・ハイブリットピアノ

防音室が必要になるのは、アコースティックピアノです。

ハンマーで弦を叩く

グランドピアノは鍵盤を押すとハンマーが打ちあがり、弦を叩きます。
弦を叩くことで振動が発生し、音が発生します。

アップライトピアノは、グランドピアノの機構を縦にしてコンパクトにしたものです。
弦を縦に張り、ばねでハンマーを戻します。
グランドピアノと同様、弦を叩くことで音が発生します。

音が響く仕組み

弦を叩いて発生した音は、弦やピアノの響板、楽器全体を振動させて音を響かせます。

グランドピアノの場合、ピアノの蓋を閉めている状態でも十分な音量ですが開けることにより、さらに音が外に飛んでいくようになります。

アップライトピアノの場合、楽器の背面を壁につけて設置します。
響板がある背面が壁に塞がれ、前面も楽器で覆われているため、音がこもりやすい特徴があります。
アップライトピアノにもメンテナンス用に蓋がありますが、蓋を開けてもグランドピアノのように音が外に飛んでいく感覚は得られません。

空気伝播音と固体伝播音

音には2つの伝わり方があります。

1つ目「空気伝播音」

空気を揺らして伝わる音です。音源から離れるにつれ、音が小さくなります。

2つ目「固体伝播音」

固体を揺らして伝わる音です。音が建物の構造に伝わり、壁や床、天井を振動させます。
空気で伝わる音も、物体にぶつかると物体を揺らす固体伝播音に変わります。
防音を考える上で最も大事な特性です。

ピアノの固体伝播音が伝わりやすい箇所

ピアノの固体伝播音は、ピアノの足や壁との設置面から外に伝わります。
ピアノの足に厚みのあるストッパーを使うことで軽減できます。
壁との設置面は、壁から少し離してピアノを設置する事で軽減することができます。

ピアノ防音の注意点

ピアノ防音室を導入する際に気を付けることが3つあります。

1.ピアノの低音

低い音は防音室があっても防ぎにくい特性があります。
防ぎたい遮音性能に必要な質量(重さ)になるよう防音室を設計します。

2.固体伝播音(振動)

固体伝播音は、防振による対策を徹底することが重要です。
防音室を選ぶ際は、防振の機能が備わっているか確認してください。

3.湿度・空調

ピアノは温度・湿度の急激な変化に弱い楽器です。

ピアノにとって最適な湿度でないと、音が狂いやすくなってしまうためです。

防音室は構造上気密性が高く、空気がこもりやすくなります。
空調システムの性能にもこだわって防音室を選ぶことをオススメします。

除湿:梅雨~夏

梅雨から夏は、湿度が高くなります。
エアコンの除湿や除湿器を使って、湿度が50%前後になるように調整すると良いでしょう。

ピアノは温度・湿度の急激な変化に弱いため、楽器です。
エアコンの風がピアノに直接当たらないようにすることをオススメします。

加湿:冬

冬は空気が乾燥します。
乾燥しすぎることも、ピアノにとっては好ましくありません。
適切な湿度を保てるよう、加湿器を使うことをオススメします。
加湿器を使うときは、蒸気がピアノに当たらない場所に加湿器を置くと良いでしょう。

特にエアコンの暖房は要注意です。
エアコンの風が直接ピアノに当たると、ピアノの乾燥の原因となります。
エアコンの風が直接当たらない場所にピアノを配置、もしくはエアコンの位置を調整して設置することをオススメします。

ピアノ防音室に必要な性能

我々の提案するピアノ防音室の性能は、

戸建:D-55~D-60
マンション:D-70〜D-75 です。

Budsceneでは、この性能が近隣住居からの苦情がこないピアノの防音室と考えています。

この性能に達しない防音室を作ったことで起こりうるトラブル

ケース1:近所の住民が変わる

そこそこ音を防げる防音室を入れて、近所の住民から「音が気にならなくなった」と言われました。
数年経ち、住民が引っ越しました。
新しく来た住民が音に対して敏感だった場合はどうでしょう。

追加で防音対策を行ったり、音を気にしながら防音室を使うことになります。

そこそこの防音性能ではなく、ピアノを弾いても苦情がこない防音性能の防音室を入れていたら、トラブルを未然に防ぐことができます。

ケース2:利用者の思い込み

防音室=何時でもどんな使い方をしても大丈夫と思い込んで使っています。
実際は昼間でも微かに音が聞こえ、夜間になるとはっきり音が聞こえていました。

このようなケースも実際にあります。
防音室は、よっぽどのオーバースペックでない限り、音は漏れています。
ピアノの音が近隣の住居内で全く聞こえないわけではないのです。
音を出したときに、どのくらい音が漏れているか把握した上で使い方を変えることが望ましいです。
逆に、使い方を変えなくてはいけない防音室を利用している場合があるということです。

予算の都合で性能を妥協すると、後々トラブルが起こるかもしれません。

ピアノ防音室の費用(目安)

2022年8月現在、防音室にかかる費用の目安です。
※資材の価格変動により、ピアノ防音室の費用が変わります。

元のお部屋の広さ 完成後の広さ 戸建住宅防音室
価格帯
マンション防音室
価格帯
12畳 約10.8畳 425万円〜 461万円〜
10畳 約8.9畳 380万円〜 416万円〜
8畳 約7畳 347万円〜 383万円〜
6畳 約5.2畳 307万円〜 343万円〜
4.5畳 約3.8畳 280万円〜 316万円〜

戸建ては新築時に防音室をつくることがお勧め

新築時に防音室をつくるメリットは、天井高が高くできることです。
提携しているハウスメーカーであれば、天井高を高くする工事の自由度が高くなります。
新築で防音室をお考えの方は、専門業者に防音の相談を行う事で、通常の内装工事にプラスして防音室工事を行うという2度手間を省き、総工費を安くすることができます。

マンションは遮音性能の設定に注意

マンション(集合住宅)は、下の階への防音には特に気を使う必要があります。
下の階へは、空気で伝わる音だけでなく、ピアノの足をつたって振動も伝わりやすくなっています。

どの防音室も性能設定は重要ですが、ピアノ防音室は下の階への性能設定が特に重要です。
Budsceneでは、将来騒音問題に発展しないよう、苦情がこない遮音性能をご提案します。
また、共用部やエレベーターの使い方まで細かいケアします。

施工実績

Budsceneが手掛けるピアノ防音室は、お部屋の条件に合わせた遮音性能の設定と保証はもちろん、内装仕上げにもこだわっております。
お客様とのお打合せを重ね、お気に入りの空間で演奏いただけるよう、防音室を単に音を防ぐ部屋とはとらえず、心地よく演奏いただける部屋として防音室を作っていきます。
世界に一つしかない理想のピアノ防音を実現します。

まとめ

今回は、ピアノとピアノ防音室について解説しました。
Budsceneでは、ピアノを演奏しても近隣から苦情がこない防音室を施工しています。
騒音を気にしないで楽器を思う存分演奏したいとお考えの方は、ぜひ一度、当社の防音室の体験にお越しください。

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】
https://www.youtube.com/c/budscene_yuichi_namiki/featured

 

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防音アドバイザー 並木勇一チャンネル
ピアノ防音の動画
並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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