03-4400-7678 お問い合わせ 施工事例

【防音】コストをかけずに間取りで防音する方法

公開: / 更新:

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

そろそろ新キャベツがおいしくなる季節ですね。

そこで素朴な疑問。
キャベツって何枚もの葉っぱが重なっていて青虫には迷路のようだと思うのですが、迷わないんですかね?!
もし迷ったとき、「世界の中心で愛を叫ぶ」のように、キャベツの中心で助けを叫んだら声は外まで届くのでしょうか?!

え?青虫は声が出ない?迷っても食べながら進むから問題なし?
そうでした(笑)

今回は、キャベツの葉の層のように建物の間取りを考慮すると、効率的に防音効果を得られますよ!というお話をしていきます。

間取りの活用

部屋の防音にはどうしても労力と費用がかかってしまいます。

そんな中、労力も費用も最低限で済み、簡単に防音性を高める方法を紹介いたします。

それは間取りの活用です。
家を設計する時点で、間取りを含め家全体の防音を考えておけば効率よく防音することができます。

音の伝わり方の特性

間取りの活用には、音の伝わり方が関係してきます。

<音の伝わり方の特性>

  • 固体中の方が気体中より音が伝わりやすく、速く遠くまで届く
  • 同じ媒質(物質)を伝わる場合、音は媒質との摩擦でのみ減衰するのであまり弱まっていかない
  • 異なる媒質に伝わる場合、音は境界面で反射・屈折をする

つまり、音は単一の媒質では減衰しにくく遠くまで届き(特に固体中)、異なる媒質を通ることにより反射・屈折を繰り返して段々とエネルギーを失っていきます。

そのため、空気層→壁→空気層→壁というように何度か媒質の状態を変えることで、音の減衰が大きくなります
(ただし、回り込んで廊下や天井から伝わる音には別途対策が必要です。)

また、壁一層で音を減衰させようとすると重さが必要になるので材料費がかかり、壁が厚くなるため部屋のスペースも狭くなってしまいます
壁のみで防音性能を5 dB高めるためには2倍の、10 dB高めるためには4倍の質量が必要となります。

仕切りによる足し算

そこで、材料費や手間をかけずに防音性能を高める手段として、部屋を挟むという方法が大変有効となります。

音源の部屋Aと自分がいる部屋Cとの間に部屋Bを挟むと、防音性能は部屋A+B分となるためです。

例えば部屋A、部屋Bとも30 dBの防音性能を持っていて、部屋Aで80 dBの音が発生したとすると、部屋Cには60 dB減衰した20 dBの音が届きます。20 dBほどであれば生活音に紛れるので、届いたとしても気にならないレベルです。

従って、建物の外に対する音に関しては、建物の中央に防音室を配置することで多くの問題が解決できます。
高い周波数(高い音域)になるほど、音の減衰は大きくなります。そのためヴァイオリン、ボーカルなどの高い音であれば、より効果を得られるでしょう。

防音室を制作する場合にはあらかじめ間取りを考慮しておくと、費用面でもかなりのコスト削減が可能になります。
周りの部屋による音の減衰分を、防音室に必要な性能から引くことができるからです。

新築の注文住宅を考えている場合で防音室の予算がないときは、音の発生源となる部屋を建物の中央に設置することを是非考慮してみてください。

防音室周りの部屋の配置

次に建物の中で発生する騒音を減らすための、具体的な間取りについて紹介していきましょう。

防音室の周りには、浴室やトイレなどの水回り階段、納戸(収納スペース)など、防音性を必要としない空間を設計することを推奨します。落ち着いて居座ることがないので、音が気になりにくいためです。

また、防音室の上はキッチンリビングなどがおすすめです。
冷蔵庫やエアコン、換気扇などのような常に稼働音を発している電化製品が多くあるので、音が紛れます。

くれぐれも防音室の隣・上下には、寝室や書斎など静かさが重んじられる部屋を設けないようにしてください。

まとめ

間取りを上手にプランニングすると最小限の労力と費用で、建物内外のどちらに対しても防音効果を得ることができます。
新築で家を建てる際や賃貸物件を探すときには、是非間取りでの防音を検討してみてください。

私たちBudsceneは暮らしの中での音との上手な付き合いを応援しています。
音にお悩みの方がいらっしゃいましたらご相談・ご依頼などいつでも承りますので、どうぞ気軽にご連絡ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 媒質が変わっても、媒質が固体どうし、気体どうしであれば音の反射や屈折は起こらないのでしょうか?
A. いいえ。音は速さが変わる境界面で反射や屈折をします。
音の速さは、密度や弾性率が異なる媒質の境界面で変わるので、固体どうし、気体どうしであっても反射や屈折は起こります。

Q. サックスやドラムは間取りだけで対応できますか?
A. サックスやドラムは約100dBほどと音量が大きく、またドラムは低音域であるため、間取りだけではなく本格的な防音工事が必要となります。

Q. タンスや本棚も間仕切りに役立ちますか?
A. はい。特に高音や小さな音に対しては効果があります。
隙間をなくすことがポイントとなるので、タンスや本棚の上には雑誌を詰めたダンボールなどを置いて、天井との隙間を埋めるとさらによいでしょう。

関連動画

【【防音】コストを掛けずに間取りで防音する方法】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
BACK 一覧に戻る

CONTACT

防音アドバイザー 並木勇一チャンネル 防音のプロが正しい情報を発信
プロならではの性能測定を行った検証動画や
すぐに役立つ防音のノウハウも公開しています

音についての悩みを相談したい方は
YOUTUBEチャンネルのコメント欄に記載ください