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違法?合法?ビルトインガレージを防音室にしよう!

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皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

限られた土地を有効に活用でき、なおかつ愛車を身近に感じられるビルトインガレージ。
車好きな方にとっては憧れですよね!

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しかし中には、ビルトインガレージ付きの家を購入したものの乗る機会がなくて車を手放してしまった、スペースを眠らせておくのはもったいないというケースもあるようです。
また、車好きが高じてビルトインガレージ内で愛車を眺めながら映画鑑賞やバンド演奏をしたい!というご相談を受けることもあります。

そこで今回は、ビルトインガレージを防音室に改造して有効に使いたい!というご要望に応え、その際に生じる幾つかの注意点について解説していきます。

ビルトインガレージを防音室へ変身させるには

ビルトインガレージを防音室へ改造する場合は、通常の部屋に施行するようにそのまま防音層を設けて「はい!お終い」というわけにはいきません。

ビルトインガレージは中で人が長時間過ごす前提で作られていないため、防音室の工事前に一度居室、もしくは納戸に変身させなければならないからです。

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もちろん勝手に「今日からここは居室で~す^^」と名乗るだけではアウトです。
建物を新築したりリフォームしたりする際には、その建物が建築基準法に適合し安全面をきちんとクリアしているか、行政からチェックを受けなければなりません。

「ガレージ → 居室」へのリフォームも例外ではなく、ガレージを居室として使えるように予め計画し、建築確認申請をして行政からの検査に合格する必要があります。
建築確認は工事前後の2回行われ、それぞれOKとなった時点で「確認済証」「検査済証」が発行されます。

「確認済証」はこれから作る建物の条件がきちんと建築基準法に適合しているという証明書で、確認済証が交付されて初めてリフォーム工事に着手できるようになります。
「検査済証」は工事が申請通りに完了したという証明書で、建築基準法では工事完了4日以内に検査を行うように定められています。

確認済証は建物の売却、新たな増改築、金融機関からの融資、不動産の登記など色々な機会に必要となります。
検査済証も新たな増改築時などに必要となるので、両方とも失くさないように大切に保管しておきましょう。

また、増築や減築で床面積が変わったり、建物の用途に変更があったりした場合は工事完了1ヶ月以内に「建物表題変更登記」を行うことが義務付けられています。

ビルトインガレージを防音室として利用するには、まずこの建築確認の2回の関門を突破し、変更登記もしなければなりません。
どちらの手続きも設計事務所や工事施工会社、司法書士などに依頼することが一般的ですが、DIYで改造したい場合は全て自分で進めていくことになります。
確認申請も変更登記もうっかり忘れていると行政から指導が入り、全て台無しになることがあるので気をつけましょう。

防音室への変身を阻む色々なハードル

ビルトインガレージを居室へ変身させるには大きなハードルが2つあります。
1つは容積率、もう1つは採光窓です。

ハードル1. 容積率

容積率とは敷地面積に対する延床面積の割合であり、建物を建てる際には人口過密防止の観点から容積率に上限が設けられます。

そしてこの容積率を考える時、ビルトインガレージに関しては容積率に含めなくてよい(延床面積の1/5の面積まではノーカウント)という緩和措置が設けられています。
そのためビルトインガレージを一般的な居室にしてしまうと、容積率がオーバーしてしまうリスクが生じます。

例えば、敷地面積100 m2、容積率160%で現在の延床面積が150 m2の建物を考えてみましょう。
この場合、延床面積は160 m2までならOKであり、上限まであと10 m2の余裕があります。
また、ビルトインガレージは150 m2の1/5である30 m2までノーカウントとなります。
しかし、ここでビルトインガレージをもし20 m2分居室にしてしまうと、150 m2+20 m2=170 m2の延床面積となり、容積率160%をオーバーしてしまいます。

そのため工事前には、容積率を超えない範囲でリフォームできるように計画を立てなければなりません。

(ちなみに似た基準として建蔽率という敷地面積に対する建築面積の割合もありますが、こちらはビルトインガレージを居室にするにあたって特に関わりはありません。建蔽率も火災時の延焼防止や風通し・日当たり・景観の確保を目的として上限が決まっています。)

ハードル2. 採光窓

ビルトインガレージを居室として利用するには採光面も考える必要があります。

居室の窓面積はその居室の床面積の1/7以上なければなりません
床面積が20 m2なら2.86 m2以上の採光窓が要ることになります。

そして、この窓の設置には想像以上に費用がかかります。
壊す壁の広さがかなりの面積になること、外からの光が採れるように外壁に窓をつけるので防水処理をしっかり行わなければならないことなどが主な理由です。

もし採光窓をどうしても付けられない場合には居室ではなく納戸として申請するという手もあります。
納戸なら本来は人が生活するための空間ではないので、採光窓や換気窓の基準が居室よりも緩くなります。

ハードルをクリアできないとどうなるのか

もし建築確認申請をしなかったり、ハードルをクリアできないままビルトインガレージを防音室に改造したら、一体どうなるのでしょう?!

その場合、建物は違法建築となり、次のような様々なデメリットが生じます。

  • 建築前に「違法建築」と発覚 → 建築許可が下りない。家のプランは練り直し。
  • 建築中に「違法建築」と発覚 → 工事はストップし、建物は取り壊し。多額の建築費用が無駄になる。
  • 建築後に「違法建築」と発覚 → 建物の使用禁止・改築など。
  • 売却時 → 違法建築の建物の売買では、買い手側に金融機関からの融資が下りない。そのため買い手が付かず、建物の市場価値が低くなる

違法建築であるということは、その建物が住人や近隣の人々に対して安全基準を満たしていないということです。
せっかくガレージを防音室として活用しようとしても、できあがった空間が健康を害するものでは意味がありません。
工事前に条件や環境をよく考慮し、建築基準法を順守した安心して使える防音室を目指しましょう。

まとめ

ビルトインガレージを防音室にする場合は、すぐに防音施工ができるわけではありません。
まずは法規上のステップをきちんと踏んで居室もしくは納戸として変身させ、ワンクッションおいてから防音室にする必要があります。

ビルトインガレージと居室では、主に次の基準が違います。

  • 容積率(ビルトインガレージは延床面積の1/5の面積までは容積率に含めなくてよい)
  • 採光窓(居室の床面積の1/7以上の面積が必要)

計画を立てる際はこの2点を踏まえて、建物が違法建築にならないように気をつけてください。
せっかく防音室として空いているスペースを有効活用するなら、見切り発車して計画が頓挫してしまわないように、慎重にプランを練ってから工事に着手しましょう。

私たちBudsceneは防音に対する知識・技術・ノウハウにより、求められた防音性能を確実に実現することでお客さまのご要望にお応えしています。
ビルトインガレージから防音室への改造も豊富な実績がございますので、どうぞお気軽にご相談・ご依頼ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 建築確認の申請先は具体的にどこですか?
A. 特定行政庁の「建築主事」か民間の「指定確認検査機関」に申請します。
建築主事とは、建築基準法第4条で規定されている、都道府県・市区町村の一部に置かれている建築確認申請の審査を行う専門の役職です。
指定確認検査機関とは、国土交通大臣や知事から指定された建築確認申請の審査を行う民間機関です。

Q. 建築確認申請にはどんな書類が必要ですか?
A. 主に以下の書類が必要となります。

  • 建築確認申請書・・・施主、住所、用途、建蔽率、容積率などを記載した申請書。
  • 建築計画概要書・・・不動産調査の際に閲覧される書類。建築確認申請書と内容は同じ。
  • 委任状・・・設計事務所や工事施工会社が代理で申請書を提出する場合に必要。
  • 工事届・・・工事の種別、用途などを記載した書類。
  • 公図・・・土地の形状や位置が記載されている図面。法務局で入手可。
  • 案内図・・・工事先の所在がわかる地図。Googleマップでも可。
  • 配置図・・・敷地の形状や建物がどのように配置されているか記載されている図面。
  • 求積図・・・敷地面積や建築面積・延床面積などを算出するための図。
  • 平面図・・・建物を上から見た間取り図。
  • シックハウス換気計算表・・・ホルムアルデヒドの使用面積や換気回数など記載した書類。

Q. 建築確認申請にはどのくらいの費用がかかりますか?
A. 建物の床面積や、どこに申請するかで費用は変わります。
東京都で建築主事に申請した場合の費用は東京都都市整備局で確認できます。
建築主事に申請する方が民間の指定確認検査機関に申請するよりも、費用は安く審査に時間がかかる傾向にあります。

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【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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