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あなたのために必要な防音室の遮音性能は?

更新日:
防音アドバイザー 並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

今回はご要望の多かった、防音室の利用用途に対する必要な遮音性能についてまとめました。

「どのくらい防音性能を確保すればいいのかわからない」といった時に、参考にしていただければと思います。

防音室の用途と必要な遮音性能

遮音性能について戸建て住宅と集合住宅(マンションなど)の2パターンに分けてご紹介します。

戸建て住宅は隣家と距離があるので、空気による距離減衰が期待でき、相手側の家の壁などでも音が弱まります。
一方、マンションは隣接住居と壁1枚でしか隔たれておらず、さらに上下階もあるので、同じ用途でも戸建て住宅より「向上させなければならない遮音性能」は高くなります。

戸建て住宅_集合住宅_1

 

表1.に近隣から苦情がこないことを目標とした、様々な用途の遮音性能をまとめました。
戸建て住宅は建物外部に対してマンションは建物内部の隣接住居に対して迷惑をかけないための遮音性能となります。
よって、防音室単体の性能ではなく、自宅の建物なども含めた総合的な遮音性能とお考えください。

楽器

表1. 防音室の用途と必要な遮音性能

用途 戸建て マンション
ピアノ D-55以上 D-70以上
木管楽器 D-55以上 D-70以上
金管楽器 D-65以上 D-80以上
エレキギター・エレキベース D-50以上 D-75以上
DTM・DAW D-55以上 D-75以上
声(一般的な話し声60 dBほど) 向上の必要なし D-50以上
声(熱の入った声70 dBほど) D-50以上 D-60以上
オーディオルーム・シアタールーム D-55以上 D-75以上
エレクトリックドラム D-55以上 要相談
生ドラム D-75以上 不可
和太鼓 D-75以上 不可
ダンススタジオ D-55以上 要相談
電動工具を使うアトリエ D-50以上 D-70以上

 

D-〇〇は壁の遮音性能を表す表記で、例えばD-60は音を60 dB減衰させる性能をもつことを表します。

並木のつれづれ解説

気が向いたまま、表1の補足をしていきます^^

エレキギター、エレキベース、DTM(※1)、DAW(※2)のような電子楽器の場合、ボリュームを上げないと満足できないこだわり派の方がいらっしゃいます。
そういった方には、弊社防音ショールームなどで音量を体験していただき、あと10 dBくらい高めていくような処置をすることもあります。
※1 DTM・・・Desk Top Musicの略。パソコンを利用して楽曲を制作すること。
※2 DAW・・・Digital Audio Workstationの略。楽曲の録音、編集、ミキシング、編曲などの一連の作業をデジタルでできるシステム。

一般的な話し声60 dBほどに対してなら、戸建て住宅や鉄筋コンクリート造のマンションであれば新たに遮音性能をプラスする必要はないでしょう。
建物が元から持っている遮音性能で十分なはずです。
ただし、古い木造建築だと声に対してでも少し足りないかもしれません。
配信系のコンテンツのように声を張り上げることをしたい場合は、戸建て住宅や鉄筋コンクリート造のマンションでも遮音性能の向上が必要になります。
遮音性の高い物件を選ぶか、もしくは自分で防音DIYをするか工夫してみてください

オーディオルーム、シアタールームの場合は、持っている機材によって必要な遮音性能の設定がかなり変わってきます。
優れたオーディオシステムだと音の濁りが少ないので、体を揺さぶるような大音量でも心地よい音になったりするんですよね。
すると、自分では大きな音と意識しないで大音量になっていることがあるんですよ。
部屋の広さや音響特性でもかなり違います。
こういった場合だと設定する遮音性能を高めておいた方がよいかもしれません。
マンションのオーディオルームで、上下隣接に対してD-85くらい確保できる施工をしたケースもあります。

エレクトリックドラムは、集合住宅の場合は要相談になります。
バスドラムを踏む音やパッドを叩く音が下の階に響いてしまうんですよ。
そのため、「2階に自分の住まいがあって下が店舗です」というようなケースならお応えしているんですが、下が別の世帯の住居の場合はご依頼があってもお断りしています。

生ドラム、和太鼓は戸建て住宅で新築から防音室設計しないとほぼ無理です。
何故かというと、生ドラム・和太鼓仕様の防音室を造るとなると床を解体しなければならないためです。
けれども床が構造体になっている物件で床を剥がすと、建物が構造の保証から外れてしまうんです。
だからはじめから、ドラム・太鼓向けの防音室を作ることを前提に家を造っておかないと難しい。
けれどリフォームでもお応えできる場合もあるので、まずはご相談ください。
しかし、残念ながらマンションでお応えできることはありません💧
生ドラム・和太鼓は戸建て住宅オンリーと考えていただければと思います。

ダンススタジオの場合は、何を防ぎたいかによって必要な性能が異なってきます。
音は防ぎやすいのですが、ダンスで跳ねる足音のような振動音だと高い防音性が必要です。
集合住宅でも1階だったらお応えできるのですが、2階以上だと難しくなります。

電動工具を使うアトリエに関しても、ガレージを改修したいなど結構お問い合わせがあります。
電動工具などがあるので使う時間帯に配慮して防音室を利用いただければと思います。

まとめ

防音室の利用用途とそれぞれに必要な遮音性能についてまとめました。
いかがでしたでしょうか。

遮音性能の設定の違いは、防音室の価格の違いにもつながります。
今回記載した数値は、あくまで近隣住居から苦情がこないようにするための遮音性能です。
費用を安くするために、それよりも性能を低く設定して防音室を作る場合もあるでしょう。
安いということは使う材料も施工の内容も変わってくるので、当然実現できる遮音性能も低くなります。
防音室購入の際はそのことを踏まえ、また今回の内容を参考にしたうえで、慎重に性能を決定しましょう。

もっと細分化した音の種類での遮音性能をお知りになりたい場合は、LINEのお問い合わせやYouTubeのコメントの方で個別にご連絡いただければと思います。

私たちBudsceneは皆さまが少しでも快適に過ごせるように、音の悩みを減らすことでお役に立てればと思っております。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. ドラムの場合、浮き床は乾式で施工するのですか?
A. 弊社ではドラム向け防音室に乾式の床は利用しません。
必要と考える遮音性能が確保できないからです。

Q. 車の免許を持っていないので、DIYをしようとすると送料が材料代の3倍以上かかってしまいます。
A. 赤帽さんなどに相談をして、軽トラックで運んでもらう方が予算は抑えられるかもしれませんね。

Q. チェロに対する遮音性能はどのくらいになりますか?
A. チェロは弦楽器の中でも低域の音圧が強いので、住居の条件によって異なりますが、
・戸建て住宅 → D-60以上
・マンション → D-80以上
ほどを推奨します。

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【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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