防音界隈、今→昔「なぜ現代人は音に敏感になったのか?」
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
「以前よりも音楽をやりにくくなった」という声をよく聞きますが、果たして本当なのでしょうか。
もし本当なら理由はいかに?!
今回は防音界隈の今昔に焦点を当てていきましょう。
音に対する世相
ストリートミュージシャンの路上ライブも規制によりめっきり減り、保育園や公園でも子供の声がうるさいと近隣から苦情が入るとニュースでみかけます。
聞くところによると、最近はお祭りに欠かせないお囃子(笛・鼓・太鼓など)のような、伝統的なパフォーマンスさえ練習に苦慮しているとか。
公民館やお寺などを借りて練習していたのが、今は苦情につながるため使えないところも多いそうです。
世間一般の風潮として、音に対して徐々に厳しくなってきていると感じます。
世間が音に不寛容になった理由
では何故、世間は段々音に対して不寛容になってきているのでしょうか。
これはプライベートな空間を重視する現代の風潮が影響していると考えられます。
1人暮らしや核家族が増え、スマホやパソコンが普及してくるなど生活様式が変わってくるにつれ、世の中では個々への干渉が減ってきました。
そこへ、自分とは関係のない音が外界から聞こえてくると自分の世界が脅(おびや)かされることにつながり、音に敏感になるのではないでしょうか。
また「リモートで家にいる時間が長くなった」「近隣との密なおつきあいが減った」というような暮らし方の変化もみられます。
高気密の住宅が普及したため漏れ聞こえる音自体は小さくなっているはずですが、こういった個々を取り巻く環境や価値観の変化が音に厳しくなった要因と思われます。
テクノロジーの利用
しかし、時代が進むにつれて音楽や音界隈に対して不利な世の中になっているのかというと、決してそうではありません。
音楽分野のテクノロジーの進化には目覚ましいものがあるからです。
ノイズキャンセリングのイヤホン・ヘッドホンの実力なんて、すごくないですか?
Budsceneスタッフ中居くん「デッド(音が壁などに吸収されて反響しない状態)な空間に入ったことあるんですけど、ノイズキャンセリングと全く一緒でした。」
並木「いや、全く一緒じゃないです(笑)」
デッドな空間は音の響きがない状態であって、ノイズキャンセリングは周囲のノイズの振動を打ち消すように逆位相の音波をだす手法です。
聞きたい音だけを耳に届ける点でもデッドな空間とは違います。
他にテクノロジーの発展といえばBluetooth(近距離無線通信、ケーブルなしでスマホと接続可能)も欠かせません。価格も安いですしね。
30年前くらいはCDやカセットテープに音楽を収録してミニコンポで聞いていたのが、今はスマホからBluetoothのスピーカーやイヤホンで聞くこともできるようになりました。
Bluetoothを利用して、サウンドマスキング(別の音を流すことで、気になる音に意識が向かないようにする手法)を防音にうまく取り入れられるのもテクノロジーの進化のお陰です。マスキングで流す音にはYouTubeチャンネル「超熟睡」などおすすめですよ。きちんとした音楽になっておらずゴーっていうような音になっているんですが、低い周波数の音もしっかりでているので、他の音を紛らわせるのに最適です。
あと、今は宅録も進化してきましたよね。
昔はマーシャル社のアンプ(音の電気信号を増幅する装置)をいちいち調整していたのが、今はLine6社のデジタルモデリングアンプ(様々な音質・音色をデジタル技術によって擬似的に再現できるアンプ)などを使えば近しい音がでます。
昔だったら、宅録は「音が悪い!」って事務所から突き返されていたのが、今はメジャーデビューもできる世の中になってきましたよね。
現代のシンガーソングライターや歌い手さん、音楽プロデューサー、ボカロPのような、新しいテクノロジーを利用して音楽にチャレンジしていく姿勢には是非エールを送りたいです♪
そうそう、テクノロジー進化の影響で、音の苦情の内容にも変化があるんですよ。
例えば、ゲーム。
ゲームの苦情といえば、15年前くらい前はゲームから直接出る音だったんですよ。
それが、現在はゲームに熱狂する声に対しての相談が増えています。
ゲームからの直接音はヘッドホンが進化したためそこまで問題ではなくなり、代わりにゲームのボイスチャットに困っているというお問い合わせが多いんです。
こういった苦情の移り変わりにも時代の変化を感じます(笑)
まとめ
音や音楽に関わる人たちにとっては、これからますます世知辛い世の中になってくるかもしれません。
しかし、諦(あきら)めることなかれ。
テクノロジーを上手に活用すれば、音を大きく出さないように、あるいは音を気にせずに済むようにして音楽活動を充実させることも可能です。
ノイズキャンセリング、サウンドマスキング、Bluetoothなどなど。
日々進化するテクノロージーを使って他の人に迷惑をかけないように配慮しつつ、音楽活動の自由をつかみ取りましょう。
私たちBudsceneは暮らしの中で音と上手に付き合っていけるように、これからも防音に対して正しい情報を発信し、皆さまを応援し続けていきます。
音にお悩みの方がいらっしゃいましたらご相談・ご依頼などいつでも承りますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 昔と今で防音方法はどのように進化したのですか?
A. 実は防音方法は私が防音に携わってから約20年間、全く発展していません。
「音を防ぐ=振動を少なくする」という原理は不変なので、重い防音材を使う・音源に接しないように防音層を設けるといった根本的なやり方は変わらないんですよね。物理法則を変えることはできないので、これからもテクノロジーは自然の原理を応用して防音材や音の再現機器を発展させる方向に進むと思われます。
Q. オーディオ業界でテクノロジーは進化していますか?
A. ルームチューニングは昔からほとんど変わりませんが、音を出す機材や再生フォーマットはかなり進化しています。
Q. 新築を検討中でして、車やバイクのような外からの音をできる限り抑えたく悩み中です。
自分なりに考えたのですが、外壁は下記のうちどの選択が最適でしょうか?
①通常壁+断熱材(セルロースファイバー)
②二重壁+断熱材(外側ネオマフォーム・内側ロックウール)
③千鳥間柱構造+断熱材(ロックウール)
A. 窓の強化をしないと、外壁に防音対策を施しても全て無駄になってしまいます。
①②③の方法については、違いがあるとしても5 dB以下となるでしょう。
感覚的に誤差程度なので、コストで決めて大丈夫かと思います。
窓ガラスで対策する方がガクンと遮音性能が落ちます!
下記を参考にしてみてください。
【どうなる?トリプルガラス・2重窓・3重窓+防音カーテンの性能を検証!】
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