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【事例31】-チェロ奏者の自宅防音-

チェロを弾き始めたので、部屋の防音を本格的に考えています。
どういった対策をすればよいでしょうか。

防音のお悩み相談・質問コーナー。
今回のゲストは、自宅でチェロの練習をしたいeさんです。
では、ご相談・ご質問をどうぞ!

YouTubeで御社の動画を拝見しました。
チェロを弾き始めたのですが、周囲に気兼ねすることなく演奏できるように自宅の防音環境を整えたいと考えています。
チェロ
どういった対策をとればよいのか教えていただければありがたいです。
よろしくお願いいたします。

チェロを弾けたら素敵ですね!

まずは現在お住いの環境を詳しくお聞かせください。

防音は「どんな音をどこに対してどれだけ防ぎたいか」というゴール設定を決めて、そこから防音性能を逆算することで成功します。
eさんの場合は、「どんな音→チェロの音(低~中音域で音量90 dB超)」なので、次は「どこに対して防ぐか」を考えていきましょう。

そういう風にステップを踏んで考えていくのですね💡

住んでいるところは次のような環境です。
 
<住環境>
・賃貸マンションの3階(最上階)角部屋
・真下は空き部屋っぽい(郵便ポストが塞がっているため)
・間取りは1DK
・洋室5帖を楽器部屋として使用中
eさん

今は隣の部屋1室にだけ住人がいる状態です。
朝たまにお隣から音が聞こえてくることがあるので、こちらの音も聞こえるのではないかと気にしています。
 
チェロは時間帯を決めて14:00~18:00の間だけ弾いています。
チェロの支えが床と接しているので、そこから振動が伝わりやすいのではないかと心配です。
P社の振動マットを検討していたのですが、どうでしょうか。
床への対策を強化するべきですか?

集合住宅で隣居に対してチェロの音を防ぎたいということですね。

チェロは250~1,000 Hz付近の低~中音域で、音量が90 dBを越えてきます。
そのため、隣居と密接している集合住宅でチェロの音を完全に隣人に聞こえないようにするには、部分的な防音処置では間に合わないでしょう。
本格的に音を防ぐとなると、防音室の施工が必要になります。

そうなのですね。
現在の状況ですぐに防音室を施工するのは無理なので、将来的に楽器可能な物件への引っ越しも考慮したいと思います。

今の部屋でチェロを練習するとしたら、何かよい対策はありませんでしょうか。

では対策を考えるために、次に音を「どれだけ防ぎたいか」を把握しましょう。

必要な防音性能=発生する音の音量-(現状の遮音性能+環境騒音
の式で、防音性能がどのくらいあればよいのか計算できます。
発生するチェロの音量、現状の遮音性能、ご自宅の環境騒音がどのくらいあるのかを測定してみてください。
測定方法は、こちらの動画で説明しています。
【【防音DIY】最短最速で防音の結果を出す方法!】

部屋の内外の環境騒音を時間帯別で確認すると、何か発見があるかもしれませんよ。

ありがとうございます。
やってみます。
 
今日から色々なところで環境騒音の測定をしています。
16~17時台に測定した結果です。
 
<発生する音の音量>
チェロの音量:70〜88 dB
 
<環境騒音>
部屋の中:32 dB
ベランダ:52 dB
玄関前:54 dB、車が通ると70 dB以上
 
ベランダと玄関前の環境騒音は時間帯によってかなり変わりそうです。
 
玄関前は大通りではなく車通りも少ない場所ですが、車1台で70 dBくらいの音量になるんだと驚きました。
 
勧めていただいた動画を拝見した時は、測定ってなんだか難しそうで自信がありませんでしたが、いざやってみると自分の出す音や環境騒音が把握できたのでよかったです。
 
また夜に測定してみます。
夜は静かなので全く違う結果になると思います。

マンションの階段で、たまにパーティーを開いているような声や音楽がどこからか漏れてきていたのですが、聞こえるのは夜だけだったんです。それも環境騒音が昼と夜とで違うからかもしれないと思い当たりました。ちなみにその音は部屋の中に入ると一切聞こえなくなります。

そうだったのですね。

階段での音が昼間に聞こえないのは、ご推測の通り環境騒音が大きいからでしょう。

例えば、階段で聞こえているパーティー音を60 dB(一般的な話し声レベルの音量)、壁の遮音性能を25 dB減衰と仮定します。
この時、室内の環境騒音が35 dB以上であれば
必要な防音性能=60-(25+35)=0 dB
となり、パーティー音は環境騒音に紛れて気になりません。

しかし、同じパーティー音の音量でも室内の環境騒音が夜のため25 dBほどであると、
必要な防音性能=60-(25+25)=10 dB
となり、僅かに音が気になってしまうかもしれません。

なるほど!そうやって必要な防音性能を導いていくんですね。
大変勉強になります。

何度もすみません!

ピンクノイズでの音量測定について質問です。
色々な場所でのピンクノイズ測定は、こちらの動画
【防音室や防音の、音漏れ確認や防音DIYの目安の簡易測定に利用できる【ピンクノイズ】】
に挙げられている全部の周波数でやらなければいけないのでしょうか?
動画は45分ほどあり、隣の部屋の玄関前でも音量を測定したいのですが、長く居ると不審者っぽくなりそうです。
 
コンデンサーマイクでチェロの音を録音し、それをモニタースピーカーから出して音量を同じにするというやり方ではダメでしょうか?やはりピンクノイズの方がいいのでしょうか?

動画に様々な周波数を収録しているのはご自身に合った周波数を使ってもらうためです。
チェロは250 Hz、500 Hz、1,000 Hz付近の音圧が大きいので、これらの周波数で95 dBほどの音圧を出すと、楽器演奏と同等の音漏れのテストになりますよ。

ご提案の方法でもよいのですが、マイクやスピーカーの精度によっては生楽器のパフォーマンスが再現されない可能性があるので注意してくださいね。

そういうことだったんですね💡
ご丁寧にありがとうございました。
 
【防音の目標設定から実行までを解説!防音の成果を出したい方は必見です!防音=ダイエット】
 
こちらの動画も拝見しました。すごくわかりやすかったです。

嬉しいお言葉です!

eさんの場合は
・時間的な配慮で今まで苦情が来ていないこと
・環境騒音が時間帯によってかなり変わること

を鑑みて、練習のタイミングを図ることで問題解決できるかもしれませんね。

時間帯による環境騒音をもっと測定してどの時間帯がいいのか分析してみます。
ありがとうございました!

これからも音に悩んだら、お気軽にご連絡ください!

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