【住まいの変化と新たな課題】
永年住んでいる住まいは、ご家族の成長やライフスタイルの変化に合わせて少しずつ変化を遂げてきました。かつては家族全員が集まり、食事や会話を楽しんだダイニングスペースも、時間の経過と共に役割が変わり、最近ではあまり利用されなくなっていたようです。ご家族の生活時間帯がそれぞれ異なり、ダイニングで一緒に食事をする機会が減少する中で、このスペースをどのように有効活用するかが新たな課題となりました。
【防音室の再生と設計】
今回、この使われなくなったダイニングスペースをお客様の趣味やリラックスできる空間に再生させるご要望を受け、防音室を作り上げました。ご趣味の楽器演奏やボーカル練習が思う存分できるよう、防音機能を備えた専用ルームを設ける計画を進めました。楽器や歌を楽しむにはご家族や近隣に迷惑をかけず、趣味に没頭できるプライベートな空間が必要です。戸建て住宅内は非常に静かな空間のため、同居世帯の他の部屋に演奏音が聞こえないようにするのは防音室としての工事も膨らんでしまいます。
【特徴的な工事手順と工夫】
今回施工をしたダイニングはリビングともセパレートされており、隣接するお部屋はなく、完成後にはキッチンが隣接する間取りとなっていました。よって、防音室で遮音性能を40dB減衰を確保すれば、他の部屋にはほぼ聞こえない環境が整えられると言えます。基本的な防音設備の他、エアコン用の電源や防音室専用のLANケーブルの新規引き込みを行い、快適な環境を整備しました。また、工事手順としてダイニングとキッチンの間仕切り、廊下と防音室の間仕切りを先行して作り、その内側に防音室を施工する順序で進めました。キッチン側から見える間仕切りにはコンセントを移設し、壁にはキッチンパネルを設置することでお料理がしやすい環境を整え、ご家族に「あると良いもの」を実現しています。
【お客様との打ち合わせと防音性能の実現】
防音室の施工に至るまでに2年以上の時間をかけて様々な業者と打ち合わせを重ね、最終的に弊社の防音室を選んでいただきました。お客様自身も防音室に関する予算や遮音性能を様々検討され、他の防音メーカーも視察されたとのことです。防音室の検討を始めた初期にご連絡をいただいていましたが、お客様が検討を重ねている2年間の間に、失注物件として弊社のサーバーから整理されておりました。その後再びご連絡をいただき、弊社を最も信頼できると判断していただけたことをとても嬉しく思っています。
【 工事中の柔軟な対応と完成】
工事中は資材置き場や加工場を建物内に確保することが難しかったため、駐車場スペースに簡易的な小屋を建てて対応しました。限られたスペースや環境条件の中で最大限の効果を発揮するため、現場の状況に応じて柔軟に対応し、防音室の工事期間中にご家族にもご協力いただきました。その結果、工事による影響を最小限に抑えつつ、完成まで進めることができました。最終的に完成した防音室は、オーナー様にとって新たな趣味の拠点となり、これからも長くご愛用いただける空間になったと確信しています。楽器演奏やボーカル練習を通じてオーナー様が心から楽しめる時間を過ごせる場所ができたことを、大変嬉しく感じています。この防音室が、ご家族の新たなライフスタイルを支え、豊かな時間を提供する場となることを願っています。
後日談ですが、お客様は更に趣味の時間が増えたとのことで、音楽鑑賞用のスピーカーの相談なども都度連絡をいただいております。