今回のプロジェクトは、分譲マンション内での映画鑑賞と、音楽鑑賞の音が他住居に聞こえないことを前提に実施している防音室工事です。また、今回のオーナー様はアメリカと日本を行き来されていたため、打ち合わせの大半はZoomを活用して遠隔でのコミュニケーションを取りました。
今回のお客様は既にバドシーンのYOUTUBEチャンネルを沢山見てくださっていた方で、防音施工の基本である、浮き構造の必要性や予算内で確保できる遮音性能についても認識されていましたので、防音室の創り方や利用する資材についてはほぼ熟知されており、お打ち合わせがスムーズに進行しました。
今回のプロジェクトでは、もともと6畳×2部屋だったスペースをつなげて、12畳1部屋の防音室として施工しました。元々、分かれていたスペースを一つに統合することで、広々とした12畳の部屋が生まれ、より開放的で多目的に利用できる空間が提供できるようになりました。
防音材の選定においても、オーナー様と綿密な打ち合わせを行い、
具体的な音響特性や要求される防音性能について詳細にヒアリングを行いました。
例えば、壁には高密度の吸音材を使用し、音の反射を最小限に抑えることで、クリアな音響を実現しています。また、外部からの騒音を完全に遮断するために、複層構造を採用し、最大限の防音効果を得ました。天井に関しても、音の響きを最適化し、より豊かで臨場感のあるサウンドが楽しめる空間を作り上げ、ホームシアターを最大限楽しめるように努めました。
防音だけでなく、他設備に関しても弊社のこだわりがありますので、
音響・照明・空調に分けてご紹介いたします。
最初に、音響設備についてです。
今回は、天井の埋め込み型スピーカーを採用しました。
7.0.6chのDolby Atmosに対応したスピーカーシステムを天井全体に6か所埋め込むことで、映画館にも劣らないホームシアター環を実現しました。
Dolby Atmosは、従来のサラウンドシステムとは異なり、音が上下左右全方向から包み込むように鳴らせるため、ホームシアターでありながら立体的で臨場感のある音響体験が可能になります。
次に、照明設備については、今回は天井埋め込み型の調光可能なダウンライトを使用し、スイッチにはシーンライトコントロールを導入しました。シーンに応じて明るさや色調を自由に調整できるようになっています。これにより、映画鑑賞時の照明シーン、音楽鑑賞時の照明シーン、リモート会議時の照明シーンに加え、リラックスしたい時や集中したい時の灯りを作ることが可能です。
今回は照明・音響ともに、埋め込み型を採用するために、防音層の下に仕上げの二重天井を組んでいます。これにより、防音層には穴を開けずに埋め込みタイプの商品を設置できます。デメリットとしては天井高が下がってしまうことですが、スクリーンサイズからの逆算でクリアしています。
最後に、空調設備に関しても工夫を凝らしました。
特に防音室では、外部からの音を遮断するために、空気の流れが制限されやすく、室内の空気がこもりがちになります。そこで、給排気には消音ダクトを採用し、防音性能を維持しつつ、効果的な空気の循環を確保しました。特に、壁の一部に腰掛けスペースを設け、その足元に消音ダクトを通すことで、目立たない形でのバルコニーからの給気を実現しました。足元だけでなく、廊下側に排気口を設置することで防音室内の空気を循環させています。
機材関連は、お客様の持ち込み機材を我々で設置いたしました。
スクリーンは電動タイプの4K HDR対応スクリーンです。このスクリーンはエレベーターに搬入できないため、14階のお部屋まで階段で運んでいます。プロジェクターは、SONYのXW7000を造作家具に設置。テレビモニターは有機ELを壁掛けにて設置しております。フロントスピーカー・センタースピーカーはBowsers & Wiliknsの800シリーズを使用しております。リアスピーカー・サラウンドバックスピーカーはDALIの壁掛けスピーカーを利用。AtmosスピーカーはBowsers & Wiliknsの埋め込みスピーカーを採用。
実例の機材はハイエンドな商品が多いお施主様でしたが、
これからホームシアタールームを防音室で創りたいとお考えの方にも
同様のお部屋をバドシーンでは進めていくとお考えください。
機材の金額は防音には関係なく、音の大きさからの逆算で防音室の仕様を
創っていくことになるからです。
同様のお部屋では、カラオケなども可能な遮音性能が確保されるので、
趣味の映画鑑賞や音楽鑑賞に加えて、ご家族やお仲間とカラオケも可能な防音室になります。
今回の施工では、オーナー様のこだわりと弊社のこだわりをうまくミックスさせながら、マンションでは最高設備に近いと言えるホームシアターを作り上げました。上記でご紹介しましたように、弊社の防音室は、ただ音を防ぐだけでなく、音響や照明などの環境設備のノウハウもたっぷり詰め込んで、防音室を完成させます。壁紙や、電源をどう引っ張るかといった細かい部分も、オーナー様とご相談しながら、場合によってはご提案させていただきながら設計を行っております。
実は、お部屋が完成後も連絡をいただき、別の場所にお持ちのマンションの簡易的な防音仕様の作り方などもご相談いただき、現地の工務店さんに指示書を作成するなどで関わらせていただきました。
お部屋の紹介をYOUTUBEで行っておりますので参考にしてください↓
https://www.youtube.com/watch?v=JyCdCOPJDHo