所在地
東京都世田谷区
工事内容
マンション、ピアノ 防音室
防音性能
防音室⇆建物外部 50dB以上減衰
防音室⇆建物内部 35dB以上減衰
(500Hzの場合)
マンション、ピアノ 防音室
【都内新生活に向けたピアノスタジオ付き住まいの実現】
地方で暮らすご主人が新たに都内で生活するための住まいを探す中で、奥様やお子様が演奏できるピアノスタジオを思い描き、弊社へご連絡をいただいたのは防音室完成からさかのぼること約1年前でした。
防音に関するご質問も的確で、事前にさまざまなことを調べていらっしゃったことが伝わりましたが、その時点では物件が決まっていなかったため、防音に関する質疑応答やアドバイスのやり取りに留まっていました。
【物件決定とピアノ搬入の課題】
数か月後、物件が決まり防音室の計画がスタートしました。
しかしマンションではよくあるように、廊下からお部屋が直角に曲がる間取りの場合、ピアノの搬入が困難になるケースがあります。今回も間取り上は厳しく思われましたが、幸運なことに廊下を挟んで向かい側に奥行90㎝ほどの収納があったため、この収納を活用すれば搬入可能かもしれないと判断。ピアノ搬入業者と連携し確認を行ったところ、ギリギリではありましたが搬入可能となりました。
そのため防音ドアを特注し、部屋をできるだけ広く使えるように設計を進めました。
【勾配天井と窓の工夫】
完成した防音室内では、お持ちのギターをできるだけ室内に収納できるよう、壁掛け金具を複数設置しました。バドシーンの防音室は、ギターの壁掛け程度であればどの位置にも対応できる構造体を採用しており、この金具の設置によって遮音性能が低下することはありません。
写真からもお分かりいただけるように、楽器を効率よく収納することで空間を広く活用できるようになっています。
【音響調整と吸音対策】
ペントハウスとなる今回のお部屋は、もともと勾配天井で仕上げられていました。この特徴を活かし、防音室の設計に取り込みました。
また、小さなバルコニーに出入りできるガラスサッシは、外部から丸見えになる懸念があったため、防音工事でハイサイドサッシに加工。ピアノの椅子に座ると空だけが見えるようになり、演奏時の心地よい環境が整いました。
【エアコン設置の特異な条件】
通常であればバルコニーは室外機置き場となりますが、この物件では隣の部屋のバルコニーがその役割を担っていました。既存のエアコンは一度隣室に冷媒管とドレンを引き出し、そこから外壁を貫通してバルコニーに室外機を設置するという珍しい構造でした。その点を踏まえながら工事を進行しました。
【工事中の工夫と完成後の響き】
約4畳の防音室では材料加工のスペースが不足するため、奥の寝室を一時的に加工場として活用しました。
完成後、奥様も娘さんも演奏時の響きを大変喜んでくださり、安心して演奏できるだけでなく、心地よく演奏できる空間となったことを実感されています。勾配天井を活かすことで吸音材の使用を最小限に抑えた設計が、良好な響きを生んだと考えられます。
【防音室以外の提案と暮らしの充実】
工事の過程で、ご夫婦が希望されていた姿見の鏡についてもご相談いただき、玄関に大型の鏡を設置しました。
さらに、リビングにはご主人こだわりのオーディオシステムが設置されていましたが、テレビの無機質さについて話題となり、私から「超短焦点プロジェクターに変えて壁を広く見せる方法」を提案。その数週間後には実際に導入され、大変喜んでいただけました。
【理想の住まいに加わった防音室】
ご主人と奥様の理想の住まいに、防音室という新たな要素が加わり、より豊かな暮らしが実現しました。バドシーンにとっても、よき理解者であるご夫婦と共に完成させられた案件となりました。
今回ご紹介した防音室は、YouTubeでも映像付きでご覧いただけます。
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