【パチンコ店の騒音】-窓で少しでも防音したい-
戸建て 木造住宅 防音室の費用 防音対策木造の集合住宅で、外からの低い騒音に困っています。
窓の防音強化へのアドバイスをよろしくお願いします。
防音のお悩み・質問コーナー。
今回のゲストは、窓を改良して騒音対策をしたいRさんです。
では、お悩み・質問をどうぞ!
初めまして、Rと申します。
戸建て木造住宅にて屋外からの騒音を防ぎたく、ご相談したいと思っています。
窓を防音強化したいのですが、どのような材料でどのように施工すればよいかといったアドバイスやコンサルティングをしていただくことは可能でしょうか?
コンサルティング費用などありましたら教えてください。
アドバイスに費用はいただいておりませんのでご安心くださいね!
さて、Rさんはどういった音を防ぎたいのでしょうか?
まずは、どんな音がどれだけ室内に侵入してきているかをお聞かせください。
それによって選択肢も変わってきます。
隣にあるパチンコ店の空調やBGMが、低音の唸りのように聞こえてきて困っています。
パチンコ店操業中の騒音であることは店側も認めています。
ミミガーというアプリを使い、うるさいと感じた時に室外で何度か音が大きく聞こえる周波数域を測定したところ、31、63、125、250 Hzの音域辺りでした。
お隣にパチンコ店があるのですね!騒音の具合、お察しします。
周波数域は室内でも同様なのでしょうか?
屋内ではまだ測っていませんでしたので、測ってみます。
古い家なので隙間や天井、床など、順次手を入れていくつもりでおりましたが、窓の木製サッシが古く、至急入れ替えの必要性がでてきたため新調することしました。
それでこの機会に窓部分を防音対策したいと思い立った次第です。
サッシ費用を軽減するために現在の掃き出し窓から腰窓に変えて、残りの部分を壁にし、壁も低音に対して防音向上させたいと思っています。
窓サイズは、現状の幅:2630 mm/高さ:1750 mmから、幅:1900 mm / 高さ:1170 mmになる予定です。
設置できる壁の厚みは100 mmくらいまでです。
まず窓ですが、窓を防音強化したい場合、
①ガラスの遮音性能の向上
②サッシの気密性UP
③窓の大きさ
の3点がポイントとなります。
そして、①のガラスの遮音性能を上げるには
・ガラスを厚くする
・ガラスを複数枚、できるだけ距離を空けて使う
といったことが効果的です。
ただし、ガラスを複数枚使う時はガラスの厚さの組み合わせやガラス同士の距離が重要となります。組み合わせしだいでは逆に音がガラス間で共鳴して大きくなってしまうケースもあるからです。
内窓(インナーサッシ)ならガラス同士の距離も確保でき、①ガラスの遮音性能の向上、②サッシの気密性UPの両方を叶える方法として最適です。
ガラスの防音特性について詳しくは
【ガラスでの防音は難しい!ガラス窓の防音方法を徹底解説】
をご参照ください。
やはり内窓が理想ですよね。
費用が足りないため今回は断念して、YKK AP社のアルミサッシ+複層ガラスの商品「フレミング J」を考えているのですがどうでしょうか?
内窓は費用が貯まったら追加したいと思います。
そうなのですね。
内窓はおすすめなので費用が貯まったら是非!
というのも一部だけ防音性能を向上させても、音が他の防音性の弱いところへ伝わると、そこから侵入してきてしまうのです。
だから壁をどれだけ強化しても、内窓がないと窓から音が漏れて防音強化が無駄になってしまいます。
我々はこれを風呂桶理論と名付けています(笑)
こちらをご参照ください。
【「防音室の風呂桶理論」その音、漏れてますよ!】
複層ガラスでも低音域に効果を得られることもありますが、ガラスの厚さやガラス同士の距離の組み合わせが、さらに重要になります。
ガラスの厚さが同じであるとコインシデンス効果(高音域での共鳴)の影響が強くなり、ガラス同士の距離が近いと太鼓現象(低音域での共鳴)が大きくなるためです。
複層ガラスは内窓よりガラス同士の距離が近いので、太鼓現象に対して注意が必要です。
複層ガラス・内窓共に、防音性能を上げるためには
・ガラスの厚さを同じにしない
・ガラス同士をできるだけ離す
ということがポイントになります。
Rさんの状況だと
・複層ガラス:PL3+A8(6)+PL5
・内窓(設置する場合):防音ペアガラス、もしくは10 mm単層ガラス
が効果的かと思います。
※PL:透明フロートガラス、例えばPL3は3 mm厚の透明フロートガラスという意味
※A:空気層、例えばA8は8 mm厚の空気層という意味
ただし、利用できる内窓メーカーが限られてきてはしまいますが。
具体的なガラスの組み合わせをありがとうございます!
その場合、3 mmと5 mmのどちらを外側にしたらいいでしょうか?
裏表は特にないので、どちらを外にしても効果は変わりません。
もっと高性能のガラスもありますが、選択しているサッシ枠によって利用できる・できないがあるため、そこはリフォーム会社さんに相談してみてください。
PL4+A8(6)+PL6はどうでしょうか?
少しでも低音を防ぎたく、以下の「板硝子の遮音性能」も参考にしています。
http://www.itakyo.or.jp/upload/kenchiku23.pdf
PL4 +A8(6)+PL6 の方が遮音性は高いでしょう。
ただし、内窓を設置する場合には2つの効果の差を感じられるかもしれませんが、窓1層だけでは性能の違いを実感できるくらいの影響はないでしょう。
窓は防音の肝なんですね!
とても勉強になりました。
窓を小さくした分は壁にするので、壁の方でも多少なりとも低音を防げるように工夫したいと思っています。
使用する外装板、ボード、断熱材、遮音材、などの材料や厚みや構成についてどのようにすればよいでしょうか。
壁についてですが、低音には音を遮る材料の質量を増すことが最も効果的です。
よって、壁の厚みには制限があるようですが、
吸音材16 kg/m3を柱部に充填 ⇒ 石膏ボード12.5 mm厚 ⇒ 遮音シート ⇒ 石膏ボード12.5 mm厚 ⇒ 仕上げ
といったかたちがよいと思います。
吸音材は、密度を高くすると効果ももっと上がるのでしょうか?
密度200 kg/m3 、50 mm厚のMGボードという商品を見つけました。
先ほどの風呂桶理論のように、一部分だけ吸音材の密度を上げても効果は得られないので、吸音材の密度はこのままでよいと思いますよ。
密度を上げるとコストもかかりますし。
そうなのですね!
では、このままにします。
遮音シートで何かおすすめの商品はありますか?
低音に効果のあるものを探しているのですが、なかなか見つかりません。
遮音シートの効果についてはどれも大差ありません。
こちらをご参照ください。
【【防音DIY】オススメの遮音シートを防音室のプロが解説】
価格によって効果にも差があるのかと思っていました。
効果が変わらないのであれば、なるべく安いものを使おうと思います。
窓の両脇には、通し柱(建物を支える床から天井までの柱)が通っていて、下地を目透かし(2枚の板の接合部に隙間を設ける建て方)にはできないので注意してくださいね。
目透かしは一般的な戸建て住宅の下地の建て方ではないのですが、念のため。
わかりました。
大工さんに伝えます。
ご相談に乗っていただき、とても助かりました。
ありがとうございました。
これからも音に悩んだら、お気軽にご相談ください!