石膏ボード2枚貼れば防音できる?!嘘or本当?
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
防音DIY界隈の一部には「石膏ボード2枚貼れば防音できる!」説が流布しているようです。
そこで今回は、「この説は本当なのか」を解説していきます。
そもそも防音とは
この「石膏ボード2枚貼り」説に対して、まず疑問が2つあります。
1つ目は「何をもって“防音できる”としているか」です。
だって、「どんな音を・どこに対して・どれだけ防ぎたいか」という前提条件が抜けているじゃないですか。
例えば、次のケースを思い浮かべてみてください。
- ピアノの音を建物外に聞こえないようにしたい。
- ボイスチャットの熱のはいった声を隣室の家族に聞こえないようにしたい。
- リモート会議の声をマンション隣室に聞こえないようにしたい。
これらのケース全て、発生する音量も音域も時間帯も、既にもっている(今の壁などの)遮音性能も違いますよね?!
すると当然、必要な防音性能も異なってきます。
それを一律に「石膏ボード2枚貼っておけばOK!」なんて乱暴すぎません?
ちなみに1~3のケース全て、石膏ボード2枚貼っただけでは全く解決できません!断言します(笑)
2つ目の疑問は、石膏ボード2枚といっても「柱の片面に1枚ずつ貼る(計2枚)」なのか「柱の片面に2枚ずつ貼る(計4枚)」なのか、どっち?ということです。
曖昧なので、両方のケースをみていきますね。
石膏ボード2枚貼りの遮音性能
では、気になる石膏ボード2枚貼りの実際の遮音性能をお伝えしていきましょう。
柱片面に石膏ボード1枚ずつ(両面で計2枚)
柱の表裏に石膏ボードを1枚ずつ(計2枚)貼る場合の遮音性能は25 dB減衰ほど(500 Hz)です。
「一般的な話し声(60 dBほど)」が「話の内容がなんとなくわかるぐらい(35 dBほど)」になります。
柱片面に石膏ボード2枚ずつ(両面で計4枚)
柱の表裏に石膏ボードを2枚ずつ(計4枚)貼る場合の遮音性能は30 dB減衰ほど(500 Hz)です。
「一般的な話し声(60 dBほど)」が「人の声であると認識できるくらい(30 dBほど)」になります。
弊社の発信しているDIYの防音ブースでも45 mm厚の柱に石膏ボード両面2枚貼り(計4枚)で、30 dB減衰(500 Hz)を再現しています。
ご興味のある方は、ぜひ下記をご参照ください。
【【10万円】完全解説!防音のプロがDIYで防音室を創る】
柱片面に石膏ボード2枚ずつ+遮音シートを1枚挟む
30 dB減衰よりもっと遮音性能を向上させたい場合は、表裏2枚ずつ(計4枚)の石膏ボードの間にそれぞれ遮音シートを貼りましょう。
ゴムの制振効果と、遮音シート自体のちょっとした重さで35 dB減衰ほど(500 Hz)になります。
「一般的な話し声60 dBほど」が「エアコンの稼働音でほぼ聞こえなくなるくらい(25 dBほど)」になります。
柱片面に石膏ボード3枚ずつはやめた方がよい
歌声やボイスチャットの熱の入った声などは60 dBを上回るので、2枚貼りや遮音シートを利用しても隣室に聞こえてしまうでしょう。
そういった時は石膏ボードを壁の表裏に3枚ずつ(計6枚)貼ればよい、と思うかもしれません。
けれど、壁へ石膏ボードをDIYで貼る場合、片側3枚以上は推奨しません。
ビス留めの際に、「ビスを支えている石膏ボード表面の厚紙の皮」に負荷がかかりすぎて剥がれやすく危ないからです。
遮音性能を35 dB減衰以上必要な場合は、複構造の壁を創った方が効率的です。
壁1枚で実現するのは難しいですが、新たに壁を創って、壁と新壁の間に空気層を挟めば、45 dB減衰ぐらいまでは期待できます。
まとめ
防音DIYで、石膏ボードを壁に直接貼る場合の遮音性能を表1. に記載しました。
表1. 石膏ボードを壁に直接貼る場合の遮音性能
| 石膏ボード枚数 | 遮音性能 | 一般的な話し声(60 dB)がどのくらいまで減衰するか |
| 片面1枚ずつ (計2枚) |
25 dBほど | 話の内容がなんとなくわかるぐらい(35 dBほど) |
| 片面2枚ずつ (計4枚) |
30 dBほど | 人の声であると認識できるくらい(30 dBほど) |
| 片面2枚ずつ (計4枚) +遮音シート |
35 dBほど | エアコンの稼働音でほぼ聞こえなくなるくらい(25 dBほど) |
DIYで防音するなら、石膏ボードは壁の片面2枚まで、得られる遮音性能は35 dBほどまでとなります。
遮音性能がもっと必要なケースでは、「石膏ボード2枚貼れば防音できる!」は当てはまりません。
複構造を推奨します。
私たちBudsceneは様々な防音情報を発信しています。
効率よく防音するために、皆さまのお力になることができれば幸いです。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 石膏ボード1枚貼りから2枚貼りで、石膏ボードの枚数を2倍にしたのに、遮音性能は5 dBしか向上しないのですか?
A. 遮音性能(透過損失値)は、遮る物質が重ければ重いほど高くなり、質量則に従うことが実験的に求められています。
―――――――――――――――――――――――――
<質量則>
透過損失値TL[dB]=20・log(f・m)-42.5
f:周波数[Hz]
m:面密度[kg/m2]
―――――――――――――――――――――――――
質量則によると、遮音性能を5 dB向上させるには遮る材料の重さが2倍必要になります。
Q. なぜ「石膏ボード2枚貼りで防音できる」説が一部でまことしやかに広まっているのですか?
A. 次のような流れがあるのではないか、と推測しています。
①音に困っている人たちが建築会社や工務店に相談
②実は、建築会社や工務店のスタッフは音に関しては専門外
③スタッフがよく調べず、なんとなく知っている「石膏ボード」「2枚」という知識だけで対応
④相談者は建築会社や工務店からアドバイスされた内容だからOKと思いこむ
⑤SNSなどで広まる
・・・当たらずとも遠からず、だと思っているのですがいかがでしょう。
Q. 集合住宅に住んでいます。
ゲーム中の感情が高ぶった時の会話や大きめの声、宅録などで騒音トラブルにならいように、隣室側に新たな壁を創ろうと考えています。
壁一面ではなく、デスク周辺一部の対策のみの場合、隣室への騒音対策として有効でしょうか?
A. 壁全面を複構造でDIYしないと防音効果は著しく低下します。
室内で生じる自分の声は真っ直ぐ・前にだけ進むわけではないからです。
一部だけ対策をしても、そこ以外の部分からは現在の状況と変わらずに音漏れをします。
施工面積を減らしたいのであれば、作業スペースをブースとして覆うかたちがよいでしょう。
いずれにせよ、声の大きさ、隣室に対してあとどれだけの遮音性能をUPさせたいか、からの逆算でDIYを進めることをおすすめします。
ゴールセッティングの仕方は下記をご参照ください。
【防音を考える際に最も重要な事はゴールセッティング!】
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