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【集合住宅】隣の住居からテレビの音が聞こえてくる!なぜ?防音対策は?

公開: / 更新:
防音の仕組みを知る

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

春眠暁を覚えず。
春はいつまでも寝ていたいですよね。
我が眠りを妨げるものは許さーん!(笑)
ということで、当社スタッフへの調査による安眠妨害ランキングの発表です!

ダダダダダダ・・・

3位:夜中のサイレンの音
2位:家族のいびき

注目の1位は

1位:隣の住居からのテレビの音漏れ

でした!

今回は不名誉No.1に輝いた「隣の住居からのテレビの音漏れ」の原因と、解決するための対策について紹介していきます。

テレビの音漏れ原因

隣の住居からのテレビの音漏れに困っている方の中には、何故そんなにボリュームを上げるのか不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、音漏れの理由は単純にテレビの音量が大きいからだけではありません。
テレビの音声が伝わりやすくなる環境があるのです。
その主な原因は次のようなものです。

  • テレビのスピーカーが背面側についている(音声が壁向き)
  • テレビと壁が直に接触している
  • 壁の構造が複構造でない

スピーカーがテレビの背面向きの場合、音声は隣の住居との壁側に向かいます。
テレビを見ている人はテレビの後側から回り込んだ音を聞いているので音量が小さいと感じますが、実はテレビの背面では想像以上に大きな音が発生しているのです。

また、音は振動なので音源のテレビと壁がくっついていると、音声がダイレクトに壁に響きます。
テレビ→テレビ台→床を伝って振動が伝わることもあります。

 

壁に関しては、例えコンクリート造でも完全に安心できるわけではありません。
コンクリートの遮音効果は空気で伝わる音に対しては高いのですが、固体で伝わってくる音には弱いからです。
コンクリートは、固体からの振動を糸電話のようにダイレクトに伝えてしまうのです。

遮音等級をしっかりと謳(うた)っている物件であれば、単なるコンクリートの界壁(隣の住居との間の壁)だけではなく、その上に内装下地や石膏ボードが貼られています。
そして内装下地はコンクリートに触れないように、空気層を設けるように作られているはずです。
そのためコンクリートを伝わっていく振動を効果的に防ぐことができます。

しかし、例えばコンクリートに直接ビニールクロスが貼られているだけの場合は、ダイレクトに振動が伝わるので音が遠くまで届きます。

また造作の壁の場合は、内装下地を隣の部屋と共有で使っていることがあります。
防音性能に力を入れている建物であれば隣室との内装下地を別々にし、互い違いに設置することによって固体を伝わる音への対策もとられています。

しかし、賃貸住宅だとそういった界壁で建てられている物件は少ないので、契約する前にきちんと確認することをおすすめします。

テレビの音漏れ対策

では、どういった対策をとれば音漏れを防げるのでしょう。

音に迷惑している側の対策

  • 間仕切り強化

壁自体の遮音性能が低い場合、その壁に何か貼り付けても改善されません。
部屋の中にもう1つ、間仕切り壁を作って複構造とするのが最適です。

方法についてはこちらで述べています。
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】

労力面でも費用面でもかなり本格的なDIYとなり、気軽にできるわけではありませんが、興味のある方は是非ご参照ください。

音を発生させている側の対策

  • 外部スピーカーを利用
  • テレビと壁を触れさせない、テレビ台の防振

手元スピーカーなどで音源を壁から離し、自分の近くに移動させる方法がおすすめです。
テレビのHDMI入力端子付近に「ARC」と記載されていれば、HDMIケーブルを使ってテレビからの音声を離れたところにあるスピーカーで聞くことができるはずです。
スピーカーはBluetoothスピーカーやネットワークスピーカー、MIRAIスピーカーなどに対応しています。

 

また、空気と固体では固体の方が音を伝えやすいため、音源であるテレビと界壁をできるだけ離して空気の層を挟むと音トラブルに効果的です。
防振には、テレビ台の底にクッション性のある材質(フェルトなど)を貼るとよいでしょう。

まとめ

夜、眠ろうとしているのに隣の部屋からテレビの音が聞こえてきて寝つけない・・・。
そんな時、家族なら一言いえば済むけれど、隣の住居だと中々いい出せませんよね。

逆に、自分では気づいていなくても隣の住人に迷惑をかけていることだってあるかもしれません。

お互いに音のケアへ配慮しつつ、円満に暮らせるように心がけることが大切ですね。

私たちBudsceneは皆さまが少しでも快適に過ごせるように、音の悩みを減らすことでお役に立てればと思っております。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 「造作」とは何ですか?
A.  建築物内部の仕上げ材・取り付け材の総称です。
骨組みが完成した後で施工する、建物の構造に直接関わるわけではない、使い勝手の部分に影響してくる部材や設備のことです。
例)部材:ドア、窓、畳など
設備:水道、空調など

Q. 「界壁」と「間仕切り壁」は違うのですか?
A.  界壁は集合住宅などで、世帯の違う各住戸を区切る壁のことです。
遮音性や防火性において建築基準法などを満たし、一定のレベルをクリアする必要があります。

間仕切り壁は同一世帯の各住戸内の部屋と部屋を区切る内壁をさします。
視線を遮り部屋の独立性を保つためのパーテーションの役割を果たし、界壁ほど耐性や強度を必要としない場合もあります。

Q.  ARC、HDMI、各種スピーカーについて簡単な説明をしてほしいです。
A. ARCとはオーディオリターンチャンネル(Audio Return Channel)の頭文字を取った略称で、HDMIケーブルを通してテレビの音声を外部スピーカーに送る機能です。
テレビのHDMI入力端子付近に「ARC」と記載されていればARCに対応しています。

HDMIとは高精細度マルチメディア接続(High-Definition Multimedia Interface)の頭文字を取った略称で、高品質な音声と映像を1本のケーブルで伝送できます。

各種スピーカーの特徴は以下の通りです。

  • Bluetoothスピーカー・・・デジタル機器用の近距離無線通信が可能
  • ネットワークスピーカー・・・ワイヤレススピーカーの一種でWi-Fiスピーカーのこと
  • MIRAIスピーカー・・・聞き取りやすさに重点を置いているスピーカーで、小さい音量でもはっきりと聞き取ることができる(ボリュームを上げずに済む)

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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