防音対策を失敗しないために!防音のゴールの決め方と防音業者の選び方
皆さんこんにちは。防音アドバイザーのBudscene並木です。
今回は周囲からの音に悩まされている、あるいは自分が出す音で周囲に迷惑をかけたくないといったお悩みを持っている方向けの情報です。効果的な騒音対策ができるように正しい考え方と防音工事業者選びについて解説します。
目次
防音のセオリー
我々が投稿している、DIY防音シリーズ、「防音ブース」「間仕切りの強化」の動画をご覧になった方から、
「こういう作り方で防音できますか?」
「予算の関係で素材を減らしたい」
などのお問い合わせが数多くあります。
DIYの防音シリーズに限らず、防音対策全般に言えること「防音対策のゴールを設定する」ことが大切です。
・どこに対して
・どんな音を
・どれくらい防げるようにしたい
これを決めてから防音対策を行うのが、防音のセオリーです。
■DIY防音シリーズ
DIY防音シリーズの「防音ブース」「間仕切り強化」の動画は、非常に好評でたくさんの方が参考にしてくださっています。
DIY防音ブース
間仕切り強化DIY
これらの動画は我々、防音室づくりのプロとしての知識とノウハウを詰め込み、性能を保証できる作りとしてご紹介しています。
素材や作り方、一つ一つに意味があります。
どれか一つを省略すると、求める性能に満たない可能性があります。
ゴールを決めるまでの流れ
どのような方法で防音対策をするかは、最初にゴールを決めないと決めることができません。
ここではまずゴールの決め方を説明します。
■防ぎたい音がどれくらいの大きさか
1.スマートフォンで騒音計のアプリをダウンロード
2.音の大きさを測定
防ぎたい音の一番大きい音(=ピーク値)や平均値を確認します。
※スマートフォンの騒音計は低い音を正確に測れない場合があります。
※スマートフォンやアプリによって誤差があります。
■音がどれだけ外に漏れているか
戸建住宅で苦情を言われる部屋で確認できる場合は、以下の手順で測定します。
(集合住宅の場合はこちら)
1.ご自身のお部屋でピンクノイズを再生(スピーカーを使用すると〇)
ピンクノイズはYouTubeなどにあります。
https://youtu.be/frBLZES8hek
2.防ぎたい音とピンクノイズが同じ音量になるように、騒音計を使って調整
3.苦情が出てしまう部屋に行き、漏れている音の大きさを測定
※ピンクノイズとは
防音室の性能測定でも使われるノイズ。
ホワイトノイズと比べると低い周波数が強調され、高い周波数が抑えられている特徴がある。
間仕切りの遮音性能は
【音の大きさ ー 漏れている音の大きさ = 間仕切りの遮音性能】
で求めることができます。
例)
ピンクノイズが70dB、対象の部屋で聞こえるピンクノイズが40dBの場合
70dB ー 40dB =30dB
このように、間仕切りが持っている遮音性能は30dBになります。
■周囲の環境騒音(雑音)はどれくらいか
1.ピンクノイズを止める
2.部屋の周囲で発生している音の大きさを騒音計で測定
特に夜は車の音や人の声などが減ります。
昼間よりも環境騒音は小さくなります。
(環境騒音について、詳しくはこちら)
■防音工事のゴール
例)
漏れている音が50dB、環境騒音が30dBの場合
50 ー 30 = 20dB
この数字が小さくなるように防音対策をすることで、騒音が気にならなくなります。
漏れてしまう音を20dB減らすことを目標にすると良いでしょう。
※漏れている音の大きさ(50dB)を0dBにする必要はありません。
漏れてしまう音を減らすために、間仕切りの性能を+5dB、+10dBにするか、+15dBにするかによって必要な工事・DIYの内容が決まります。
・遮音性能を何dB向上させれば、問題が解決するか
・どのような手段で防音対策するか
防音対策のゴールを決めます。
間仕切り強化DIYの動画では、500Hzで19dB性能が向上しました。
間仕切り強化DIY
DIYの防音対策は、頑張っても20dB程度の性能向上になる可能性が高いです。
ここまでくると、自分でやるかプロに任せるか判断ができると思います。
まずは測定してみることが大切です。
自分でできる防音対策
ドアや窓の隙間やエアコンの壁穴など、音が漏れる場所が部分的であれば、自分で防音対策を行う事ができます。
■ドアの隙間
ドアの隙間からの音漏れが気になる時は、隙間テープや戸当たりテープと呼ばれる商品を使います。
空気の逃げ道=音の逃げ道 です。
空気の逃げ道が無くなるようなイメージで、隙間を塞ぎます。
■窓の隙間
窓もドアと同様、隙間テープが売られています。
空気の逃げ道が無くなるように、隙間を塞ぎます。
■エアコンの壁穴
エアコンの配管を通す壁穴が塞がれていない、パテが経年劣化でひび割れているなど。
空気の逃げ道がある場合は、エアコンの配管用パテで隙間を無くします。
防音工事業者の選び方
「二重サッシや壁の工事をしたけど、効果を感じられなかった!」
というお問い合わせも、よくあります。
大抵、どんな音を・どれだけ防ぐための工事かということを考えていません。
ノウハウがない工事をする業者が悪いのは大前提です。
しかし、知識がないと意味のない工事であることに気付くことができません。
■二重窓、二重サッシ
窓やサッシのガラスは、音を通しやすい素材です。
ガラスは、厚みや製品により通しやすい・通しにくい音の高さ(周波数)が異なります。
また、サッシの素材や隙間があるかどうかで音を防ぐ力が変わります。
板ガラスは元のガラスと厚みや種類の異なるものを選ぶと、効果的に音を軽減することができます。
サッシの素材は樹脂ではなく金属製を選び、ゴムパッキンなどにより隙間ができないようになっている物を選びます。
業者が同じ厚み・種類のガラスを二枚目のガラスとして勧めてくる場合は、どのような理由で同じものを勧めてくるか確認するといいでしょう。
■壁の性能強化
我々のYouTubeチャンネルでも、「間仕切り強化」の動画を出しています。
「隣の部屋がうるさい」「生活音が気になる」などのお悩みを抱えている方から、
弊社に間仕切り強化の工事をしてほしいとお問い合わせをいただくこともあります。
しかし、弊社は全てお断りしています。
理由は、性能の保証ができないからです。
YouTubeチャンネルに投稿している「間仕切り強化」は、500Hzで約19dBの性能が向上しました。この数字はどの環境でも保証されるものではありません。
他の環境であっても、同等の性能が見込める可能性がある予測値になります。
実際に防音工事として請け負っている業者もあります。
予測値である場合は、注意が必要です。
「工事してみたけどあまり変わらない」
となりやすいため、積極的にオススメできる防音対策ではありません。
■いい業者の見分け方
遮音性能・防音性能という言葉に対して、
・ちゃんと保証できるようなものがあるかどうか
・経験があるかどうか
という質問をしてみてください。
他にも少し嫌味な質問ですが、
・透過損失
・実測値
という言葉を知っているか質問を投げかけてみてください。
まともな返答がなければ、ノウハウがない業者である可能性が非常に高いです。
まとめ
今回は防音対策の正しい順序・業者選びについて解説しました。
トピックス記事・YouTubeチャンネルでは、音や防音についての情報を発信しています。
音にお悩みの方にご活用いただければと思います。
【今回の内容】
【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】
https://www.youtube.com/c/budscene_yuichi_namiki/featured