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スマホの騒音計アプリで防音対策!

更新日:

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木勇一、改め名探偵・金田一勇一、いやナーミック・ホームズです。

「犯人はお前だ!」という決め台詞。かっこよくて憧れますよね!

でも日常でこのセリフを言う機会が中々ない・・・そんな方へ朗報です。
防音対策をする機会があれば、その一環として自室から音漏れしていないか騒音計で確認してください。
そしてみごと音漏れ箇所の犯人を突き止めた暁には、是非このセリフで決めてみましょう♪

名探偵

今回は、スマホの騒音計アプリを使って音量を測定し、防音対策のゴールを設定する方法について解説していきます。

スマホの騒音計アプリを選ぼう

探偵といえば、助手とセットですよね。

そこで音漏れ箇所を突き止めるために、優秀な騒音計に相棒になってもらいましょう。

自宅に騒音計がある方は中々いないと思うので、無料で使えるスマホの騒音計アプリさん達に相棒候補者としてエントリーしていただきました。

今回の相棒候補者は、こちらの5名です!

騒音計アプリ

 

審査基準は「ピンクノイズの測定結果が弊社で使っている騒音計と近いかどうか」としました。

私、名探偵ナーミック・ホームズが厳正に審査した結果がこちらの表となります。

評価 総評
1.     騒音測定器 ☆☆☆ 数値が10 dBほど低く出る傾向
2. Sound Level ☆☆ 数値が30 dBほど低く出る、騒音計として使うのは苦しい
3. 音メートル ☆☆☆☆☆ 超優秀!
4. 騒音メーター ☆☆☆☆ なかなか優秀
5. Sound Meter ☆☆☆ 数値にバラつきがある

 

ということで、相棒のオトソン君オーディションではエントリーナンバー3番の「音メートル」さんが優勝しました♪

皆さんが相棒を選ぶ時の参考としてください。
(※スマホのバージョンやマイクの環境などで固体差がでる可能性があります。)

音メートルのダウンロードはこちらからになります。
App StoreGoogle Play

騒音計アプリの活躍

音漏れ犯を探そう

相棒が決まったら、いよいよ音漏れ箇所の特定です。

スマホ2台をそれぞれ次のような役割で使い、犯人を捜していきます。

  • 1台→ピンクノイズを流し続ける
  • もう1台→相棒として選んだ騒音計アプリを使い、どこから音漏れしているか探索

こちらはピンクノイズ素材です。ご利用ください。
【防音室や防音の、音漏れ確認や防音DIYの目安の簡易測定に利用できる【ピンクノイズ】】

室内のドアや壁、室外の廊下や隣の部屋など、至るところの数値を騒音計アプリで測定してください。
部屋の内外での数値差が大きければ、その部分の遮音性能が高いということです。
従って部屋の外で、ある個所にスマホを近づけた時にそこでだけ数値が上がれば、そこが音漏れ犯の容疑者となります。

ドアは四方に隙間があるので一番怪しい容疑者です。
数値を測る際には絶対に確認しましょう。

また、マンションやアパートなどの集合住宅では、天井裏に間仕切りが無くそこから音が回り込むというケースもあります。
その場合は、騒音計アプリを天井に近づけるにつれ数値が高くなるので犯人か判定してください。

防音対策の方向性を決定しよう

例え犯人が見つからなくても「探す」という行為が大切です。
音漏れ犯を無事見つけられたらそこを強化見つからなければ全体的に間仕切りを強化、という今後の防音対策の方向性が見えてくるからです。

この方向性が定まらないまま見当違いの防音対策をすると、例えば「DIYで頑張って間仕切りを施工したけれど原因はドアだった。そのため音漏れが改善されず、労力や費用も無駄になってしまった。」というようなことが起こり得ます。

方向性が間仕切り強化に決まった場合には次の2パターンのようなDIY対策がありますので、是非ご参照ください。

なお、音漏れ箇所捜しはピンクノイズ以外の音がなるべく発生していない静かな空間で行ってください。
エアコンや換気扇などがついていると、ノイズで正確な数値が測定できないことがあります

防音対策のゴール設定の仕方

防音対策の方向性が決まったところで、必要な防音性能の具体的な求め方について説明します。

ここでも相棒の騒音計アプリには張り切って活躍してもらいましょう。

防音性能があとどれくらい必要なのか、というゴールを導き出す手順は、大まかに次のようになります。

<手順>

  1. 自分の出す音Aを測定
  2. 環境騒音Bの確認
  3. 対象の部屋で聞こえる音量Cを測定
  4. 部屋の現状の遮音性能Dを計算
  5. 必要な防音性能Eを計算

1. 自分の出す音A

まず、自分の出す音Aがどのくらいの音量であるのか測定します。

その際、音源と騒音計があまりに近すぎると適正な数値がとれません。
声の場合は50 cm以上、スピーカーや楽器の場合は1 m以上離しての測定を推奨します。

2. 環境騒音B

環境騒音は、音漏れさせたくない対象の部屋で測定します。
環境騒音とは日常を営む上で自然に耳に入ってくる雑音全般のことで、人間の活動量に比例するため、昼は大きくなり夜は小さくなる傾向があります。
そのため、測定する時間帯が重要であり、自分が音を発生させる時間帯での環境騒音を確認する必要があります。

夜のピアノ

3. 対象の部屋で聞こえる音量C

次に自室でAの音量をピンクノイズで再現したまま、対象の部屋でどのくらい聞こえるのかという音量Cを測定します。

4. 部屋の現状の遮音性能D

Aと、対象の部屋で聞こえた音量Cの差が、現状の遮音性能Dということになります。(D=A-C)

5. 必要な防音性能E

最後に、上記ABDの値を使って必要な防音性能Eを求めます。
自分の出す音は必ずしもゼロにする必要はなく、環境騒音B程度にまで小さくして紛らせばよいので、必要な防音性能Eの値は次のように計算できます。

必要な防音性能E=自分の出す音の音量A-(環境騒音B+現状の遮音性能D)

実際の具体例

では実際の例として、夜にボイスチャットをしたいが隣室で寝ている両親に迷惑をかけたくないケースを考えてみます。

  • 自分の出す音A=ボイスチャットの音量 → 70 dB
  • 環境騒音B=夜間の隣室での音量 → 25dB
  • 対象の部屋で聞こえる音量C → 40 dB

という数値が測定された場合、

部屋の現状の遮音性能D=A-C=70-40=30 dB

必要な防音性能E=A-(B+D)=70-(25+30)=15 dB

と計算できます。
余裕をもってさらに+5 dBほど遮音性能を向上させておくと安心なので、最終的に+20 dBの性能アップが必要であることがわかります。

詳しくはこちらで述べていますのでご参照ください。
【プロが教えます!必要な防音性能を確実に調べる方法とは】

別世帯の居住者に対して音を防ぎたい場合は対象の部屋へ行けないため、手順2、3は予測するしかありません。
それぞれ次のように予測するとよいでしょう。

  • 手順2 → 隣室と窓ガラスやドアが同じで、外の環境も近い自分の部屋で環境騒音を測定
  • 手順3 → 隣から聞こえてくる音で予測

隣から聞こえてくる音の目安として、くしゃみは瞬間的に70~80 dBほど、深夜のテレビは50 dBほど推測されます。
タイミングを計るのが難しいですが、隣室からのそれらの音が自分の部屋で何dBで聞こえるのか測ってみましょう。

まとめ

皆さんも音漏れに困ったら是非、騒音計アプリを相棒にして犯人=音漏れ箇所を突き止めてみてください。

そして防音対策の方向性を決めてゴールを設定したら、そこへ向かって効率的に施工を行いましょう。

私たちBudsceneは様々な防音情報を発信していますので、是非正しい知識を得てDIYの参考にしていただければと思います。
音にお悩みの方がいらっしゃいましたらご相談・ご依頼などいつでも承りますので、どうぞ気軽にご連絡ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 御社で使っている騒音計の種類や価格を教えてください。
A. 今回測定に利用したのはリオン社製の精密騒音計NL-52Aです。
測定周波数10 Hz〜20,000 Hzで、オクターブバンドでの測定に対応しています。
本体のみで約30万円ほど、実際には純正オプション品が必要なのでそれ以上します。

Q. 騒音計のA特性、C特性、F(Z)特性って何ですか?
A. 音の周波数への補正のかけ方の違いを表しています。
人間の聞こえ方は、音の高い低い(周波数の大小)により感度が変わります。
音として感知できる周波数域は20~20,000 Hzほど、その中でも特に聞き取りやすい領域は2,000~4,000 Hz辺りです。
聞き取りやすい周波数の音は、音量が小さくても大きく感じられ、聞き取りにくい周波数の音はその逆となります。
そのため周波数により騒音としての感じ方も変わるので、騒音計で音を感知する際には体感的な音量に補正する必要がでてきます。

  • A特性・・・音量が小さい場合の人間が聴き取れる周波数域に重みづけがしてあるタイプ
  • C特性・・・音量が大きい場合の人間が聴き取れる周波数域に重みづけがしてあるタイプ
  • F(Z)特性・・・特に人間の聴覚には合わせておらず、音圧測定に補正がないタイプ

以前はA、B、C、D、Eの特性がありましたが、現在はA、Cのみが残り、そこに補正なしのF(Z)が追加されているかたちです。
現在では音量が大きくても小さくても騒音測定にはA特性が使われます。

Q. 測定には絶対にピンクノイズを使わないといけないのですか?
実際の声を使って確認してもよいのですか?
A. 実際の声でももちろんOKなのですが、連続音でないと騒音計が拾わないため、叫び続ける必要があり大変です!

Q. スマホでは音のボリュームを再現できません。
A. スピーカーを用意して接続すると、音量を増幅させることができます。
おすすめはbluetoothスピーカーです。

Q. DIYで防音ブースを作ろうと考えているのですが、長い木材や大きな石膏ボードを室内に搬入するのが難しい状況です。小さいものを搬入後に部屋の中で組み立てた場合、つなぎ目など隙間が増えてそこから音が漏れ遮音性が落ちてしまうでしょうか?
A. 木材は1本の柱としての強度を確保できるくらいしっかりとつなぎの部分を固定すれば大丈夫です。
石膏ボードはつなぎ目が増えても隙間をコーキング処理すれば問題ありません。

Q. 木造アパートで防音室を作りたいのですが、床が歪まないか重量が気になっています。
A. 何dBの遮音性能が必要なのか、まずゴールを設定してください。
木造アパートですと、耐荷重は100~150 kg/m2ほどと推測されます。
その場合、500 Hzで30 dB減衰できる防音ブースを作ろうとすると耐荷重オーバーとなってしまいます。
しかし、500 Hzで20 dB減衰程度であれば、タンスほどの重さなので設置可能かもしれません。

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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