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防音室を施工すると部屋が狭くなります!ピアノ用・電子楽器用・ドラム用の防音室でそれぞれどのくらい狭くなるの?

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皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

ロシアの工芸人形・マトリョーシカをご存知でしょうか?
人形の中に小さな人形が入っていて、剥いても剥いても延々と続いていく、どこまでも人形な人形です。

マトリョーシカ

 

ふと思ったのですが、防音室の究極系はこのマトリョーシカの家バージョンなのかもしれません。

マトリョーシカ家

 

どういうことなのか、ご説明していきますね。

重さと防振と複構造と

防音には

  • 音を遮る材料を重くする
  • 防振を図る
  • 異なる素材で複構造にする

という3点が大切となります。

そしてこの3点を実施すると、どうしても部屋の壁や床、天井が厚くなってしまいます。

重さ

空気を伝わる音を弱くするには、音を遮るものを重くすることが有効です。

振動である音は、媒質(音を伝えるもの)を揺らしながら伝わっていくのですが、軽い空気は重いものを揺らすのが難しいからです。

よって防音室を創る際は、通常の部屋より壁・床・天井の重さ(厚さ)を確保しなければなりません

防振

固体から固体へ伝わる音を弱くするには、固体どうしを離して接しないようにすることが効果的です。

そのため、部屋の中に新しく設置した壁・床・天井が傾いたり歪んだりして元の部屋にくっつくことがないように、防音室には構造を支える下地材が必要になってきます。

下地材は部屋をグルっと囲んで組んでいかなければならないので、防振を図るには十分なスペースを取らなければなりません

複構造

また音を弱くするためには、異なる素材を何層も重ね、複構造にすることも忘れてはなりません。
音は密度の異なるものに伝わると反射や屈折をするので、違う素材を通過する度に段々弱くなっていくからです。

入射・反射・屈折_

 

特に空気層を設けると防振も図ることができるので一石二鳥です。

しかし複構造にすると当然、壁・床・天井の厚さが増すのは避けられません

防音室は「部屋 in 部屋」が理想

このように防音室の壁・床・天井には厚さが必要になります。

そのため通常の部屋をリフォームして後付けで防音室にする場合は、「部屋 in 部屋」のかたちが理想となり、必然的に元の部屋より狭くなってしまうのです。

防音室の究極系が、マトリョーシカの家バージョンといった意味がおわかりいただけたでしょうか?
(スペース・金額・性能の面でマトリョーシカは2段階までが現実的ですが^^)

マトリョーシカ家_

壁・床・天井はこのくらい狭くなる

では、具体的にどのくらい部屋が狭くなってしまうのでしょうか?

防音室の用途別に3パターンの性能に分けてご説明します。

【パターン1】  ピアノ、ヴァイオリン、声楽(防音室性能D-35)

防音室の用途がピアノ、ヴァイオリンの演奏、声楽である場合、防音室の性能を音の減衰値35 dBほどにする必要があります。

この場合は壁1面につき10 cmほど狭くなり、向かい合っている壁では合わせて20 cmほど迫ってくることになります。

床は防振をとるため、元の床より10 cmほど上がります。

天井は上から重力がかかってきているものをしっかり支えないといけないので、元の天井より15 cmほど下がります。

そのため、天井高は床と天井合計分で25 cmほど低くなります。

【パターン2】  管楽器、エレキギター、エレキベース(防音室性能D-40)

防音室の用途が管楽器、エレキギター、エレキベースの演奏である場合、防音室の性能を音の減衰値40 dBほどにする必要があります。

この場合は壁1面につき20~25 cmほど狭くなり、向かい合っている壁では合わせて40~50 cmほど迫ってくることになります。

床は防振をとるため、元の床より15 cmほど上がります。

天井はパターン1よりさらに低くなり、元の天井より23 cmほど下がります。

そのため、天井高は床と天井合計分で38 cmほど低くなります。

【パターン3】  ドラム、和太鼓などの打楽器(防音室性能D-45以上)

ドラム、和太鼓など打楽器の演奏を目的としている場合、防音室の性能を音の減衰値45 dB以上にする必要があります。

この場合は壁1面につき35~45 cmほど狭くなり、向かい合っている壁では合わせて70~90 cmほど迫ってくることになります。

床は剥がし、コンクリートの基礎部分から25 cmほどかけて作っていきます。

天井はパターン2よりさらに低くなり、元の天井より30 cmほど下がります。

そのため、天井高は床と天井合計分で55 cmほど低くなります。

部屋の狭まる間隔

各パターンで、壁・床・天井がどのくらい狭くなるのかを表1.にまとめました。

表1. 部屋の狭まる間隔

壁(1面につき) 天井
パターン1(D-35) 約10 cm 約10 cm 約15 cm
パターン2(D-40) 約20~25 cm 約15 cm 約23 cm
パターン3(D-45) 約35~45 cm 約25 cm 約30 cm

 

高い防音性能が必要な部屋ほど、壁・床・天井を重く(厚く)して何層も重ねる必要があるため、部屋は狭くなってしまいます

よって、打楽器スタジオのような高い防音性能が必要な部屋は後付け設置は難しいので、建物設計時から計画的に施工するのが望ましいでしょう。

なおD値というのは壁の遮音性能を表す数値で、例えばD-35と示されていれば、壁を通る前後で音を35 dB弱くする性能を持っていることを意味しています。
数値が大きいほど遮音性能が高い、ということになります。

ドアの位置問題

ドアが室内の端に設けられている場合、後付け防音室で壁を内側につけ足すとドアの開閉ができなくなります

壁の端のドア

 

その場合はドアを移動させる工事を実施することになり、さらに費用や時間がかかります。

どうしてもドアを移動したくない時は、部屋の中に一部、前室のようなものを作ってドアを設置するかたちになりますが、そうすると部屋はさらに狭くなってしまいます。

防音室を後付けする場合は、このようにドアの位置が問題になるケースもあるのでご注意ください。

まとめ

防音には重さ・防振・複構造が重要です。

現状の部屋に防音室を後付けすると「部屋 in 部屋」の構造となり、どうしても室内が狭くなってしまいます。

部屋を広く快適に使いたい場合は、設計時から計画的に防音室を織り込みましょう。

もしリフォームで防音工事を行いたい場合には、弊社に部屋の写真など間取りの情報を送ってください。
よりよい空間を手に入れられるよう、お手伝いさせていただきます。

私たちBudsceneは、皆さまが少しでも快適に過ごせるような防音室を提案・提供しております。
音にお悩みの方がいらっしゃいましたらご相談・ご依頼などいつでも承りますので、どうぞ気軽にご連絡ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 鉛などの密度が高い金属で防音室を構成すれば、重さは確保しつつ壁・床・天井を薄くできるのではないですか?
A. 確かに薄くはなるのですが、費用・加工の点からおすすめしません。
(もし特別な事情がある場合は、金属での施工も承っております。)
防音材の重さ・費用・加工性のバランスについてはこちらで解説しています。
【コスパ最強の防音材はこれ!】
どうぞご参照ください。

Q. 壁・床・天井を今以上に薄くする方法はないのですか?
A. 弊社でも材料の重さや厚さの問題と戦いながら試行錯誤に励んでおり、現時点での最適方法で施工しています。
また、新しい技術や知識にもアンテナを張って取り入れるようにしております。
こちらで弊社の防音室への取り組み方や姿勢について紹介しているので、是非ご覧ください。
【【防音室設計】試行錯誤の裏側を紹介!】

Q. 古い木造の戸建て住宅の2階に、防音ブースの設置を考えています。
床が重量に耐えられるのか心配です。
A. ご心配の通り、木造2階以上への設置は家が傾く可能性もあるのでおすすめできません。
造りによって違いはありますが、戸建て木造住宅の2階以上では、1 m2あたりの耐荷重は約150~200 kgです。
まずは設置予定の防音ブースが1 m2あたり、どれくらいの荷重になるかを確認してみてください。

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【防音室工事をすると壁〇㎝天井〇㎝床〇㎝狭くなります!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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