Budsceneならではの工夫で実現!エアコンなしだった1室を快適な防音室に!-施工事例4. マンションの防音室-
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
ただ今、以前弊社で施工した防音室に伺っております。
こちらはマンション1階の1室なのですが、楽曲制作やギター&鍵盤の演奏など、お客様のスタイルに合わせた使い方ができる防音スペースへと改造されています。
今回は施主であるDさんのご協力のもと、Budsceneの具体的な施工事例として、このマルチに使える防音室の工夫ポイントをご紹介いたします。
「設備・間取り的に無理かな?」という場合でも、工夫・アイディア次第では立派な防音室を創造できるケースもあるので、是非参考にしていただきたいと思います。
目次
工夫点をご紹介
それでは具体的な工夫点をどうぞご覧ください。
エアコン設置への道
ここは元々エアコンが設置されていない部屋でした💧
けれど、快適な空間として使うにはエアコンは必須ですよね!
そこでマンション側と交渉しエアコンを置く許可を得て、職人さん達の協力のもとエアコンを設置することにしました。
本来ならエアコン設置に向いていない場所なので、配管(ドレン排水管・冷媒管)の問題がありましたが、次のように解決しました。
- ドレン排水管 → 隣のトイレの手洗い箇所に水が流れ込むように引く。
Point! ドレン排水管には勾配を付けて、自動水洗のところに流れていくような仕様に。
- 冷媒管 → トイレのさらに向こうにあるキッチンのレンジフード用梁型内を通し、室外バルコニーまで引く。
Point! 空洞の梁型ダクトを活用し、エアコンと建物の外の室外機を冷媒管でつなぐ。
このような配管方法でエアコンが使えるようになり、Dさんにもすごく喜んでいただけました♪
ドアを大きく!
こちらの防音室はドア枠を元のドア枠とズラして大きめに創っています。
何故かというと、壁の内側に防音層を設けると部屋が狭くなってしまい、ドアの位置によっては出入りや搬入出がしにくくなることがあるためです。
(部屋の角にドアがある場合は、防音層によってドアそのものが開かなくなり、ドアの位置を丸々移動しなければならないケースもあります。)
新しいドア枠は元のドア枠で収めず、少し奥にすることで開口部を広く取り、大きなものも搬入できるスタイルを実現しています。
排水管の点検口
防音層の一部には取り外し可能な、排水管の点検口を付けています。
防音層の向こう側には水道などの排水管が2本流れているのですが、遮音仕様の点検口を設けることにより点検時はいつでも取り外して確認できるようにしました。
窓を塞ぐ
もともとあった窓は塞いで壁にしています。
ちょうどDさんの手持ちのデスクがピタッと収まり、スペースをフル活用できる仕上がりになっています。
クローゼットを解体
室内をなるべく広く使えるように、もともとあったクローゼットは解体しました。
内装
さて、次に内装をみていきましょう。
反射音対策
室内には吸音パネルを設置して、ボーカルや楽器演奏時に音が気持ちよく響くように吸音のバランスを調整しています。
天井
天上の仕上げは黒のソーラトンです。
黒のソーラトンは少しの傷でも目立ってしまい、かといってペンキを塗りなおすと吸音効果がなくなってしまうため上から塗ることもできず、職人さんの技術が必要なんですよ。
壁紙・吸音材のデザイン
壁のクロスはベージュ・緑・茶色の3色を使っています。
吸音パネルはベージュで統一しました。
この防音室は決して元々が広いわけではないのですが、一人で音楽を楽しむには十分な空間となっています。
設備や間取り・広さの点で無理かな?と諦めてしまうようなマンションでも、このように素敵な防音室を創れる可能性は十分あります。
弊社の事例を是非皆さまのヒントにしていただければと思います。
遮音性能の測定
それでは、防音性能の確認をしましょう。
防音性能が低かったら、いくら使い勝手やデザインがよくても意味をなしませんからね!
測定方法
防音室内でピンクノイズを発生させて防音室内外で音量を測定し、その音量差(室間音圧レベル差)から防音性能を算出しました。
騒音計は精密騒音計・A特性を使い、音域は周波数500 Hzの音量を比較しています。
測定結果
防音性能は表1.の通りでした。
表1. 500 Hzでの防音性能
測定音圧(音量) [dB] |
測定音圧(音量) [dB] |
防音性能 [dB] |
防音室室内①
約97 |
室外(防音室ドア前)② 約56 |
室外(防音室ドア前)①-② 約41 |
室外(キッチン)③ 約32 |
室外(キッチン)①-③ 約65 |
|
建物の外④ 約40 以下 |
建物の外①-④ 約57以上 |
建物の外④の音量約40 dBというのは、外の自然な雑音(環境騒音)の音量です。
屋外では環境騒音の方が、聞こえてくるピンクノイズよりも大きくなっており、騒音計には環境騒音が測定されてしまっている状態でした。
防音室内で100 dBほどのピンクノイズ音は、同じ住居内のキッチンで32 dB(ささやき声程度)、外では40 dB以下(環境騒音に紛れる程度)にしか聞こえませんでした。
近隣に迷惑をかけることなく音楽活動をできるレベルの防音性能がきっちりと確保できていることが確認できました。
まとめ
今回は施主であるDさんご協力のもと、エアコンがなかった1室を防音室に改造した事例を紹介いたしました。
このように、設備や間取り・広さによっては難しいと思える場合でも、工夫次第では立派な防音室に変身させられる可能性があります。
「防音室を創りたい!」という方は、複数の見積もりをとる中に是非弊社も加えてください。
皆さまにとって最適なコストと遮音性能のバランスを考え、ベストかつオンリー・ワンの提案をさせていただきます。
また、弊社では防音室お引き渡し前に性能測定をして防音性能を数値化します。
そして、もしお客さまと約束していた性能より測定した性能が低かった場合は無料で再工事を行い、必ず性能を保証します。
防音工事完了後に性能を曖昧(あいまい)にしたまま費用だけは請求する、といった無責任なことは絶対にしないのでご安心ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 防音室を快適に使うためには、エアコンの他にどういった設備が必要ですか?
A. 換気や照明の設備は必須です。電気機器やインターネットを使う場合はコンセントやLANなどの環境も整えた方がよいでしょう。
元からの部屋を防音室に改造する場合、上記は最初から備わっているケースが多いのですが、防音ブースなどを新たに室内に設置する場合は設計段階から考える必要があります。
ちなみに、今回もせっかくなので防音室内にはリビングからLANを引っ張ってきています。
Q. 何故、窓を塞ぐのですか?
A. 窓やドアはどうしても壁との隙間が生じるので、そこから音が漏れやすくなってしまうのです。
そのため防音の観点からいうと、採光や換気・景観などの問題がなければ、塞いでしまうのが一番なのです。
窓やドアの防音についてはこちらをご参照ください。
【ガラスでの防音は難しい!ガラス窓の防音方法を徹底解説】
【窓への防音対策!こんなに防げるDIY方法2パターン】
【防音ドアの違いを解説!選ぶ際の2つのポイントとは?!メチャクチャ素晴らしい掘り出しものもご紹介】
Q. 壁紙や吸音材はベージュや茶色だけなのですか?
A. いいえ。弊社では壁紙も吸音材も豊富なカラーや柄を取り扱っております。
壁紙は、単色だけでなく人気の木目調・レンガ調、下記のように石畳風の柄のものもありますよ。
上下でツートンカラーにすることも可能です。
吸音材も下記のように豊富な柄やカラーバリエーションがあり、お好みで選んでいただけます。
弊社の強みはデザインの自由度が高く、お客様の様々なご要望にお応えできるところです。
こだわりの防音室をお創りになりたい場合は是非お気軽にご相談ください。
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