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【事例54】-新進気鋭!若手ミュージシャンの防音事情!-

自宅でレコーディングやリハーサルを行いたく、防音対策に着手しはじめました。
窓とドアは対策したのですが、その後をどうすればよいでしょうか。

防音のお悩み相談・質問コーナー。
今回のゲストは、Yutori Care Inc.として活動している深町さんです。
いつものLINE相談ではなく、今回は弊社に直接ご訪問いただいております。

ゆとりinc

はじめまして。
Yutori Care Inc.の深町です。
本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

Yutori Care Inc.とはどういったレーベルなのか、まずは簡単にご紹介いただけますでしょうか。

ありがとうございます。

Yutori Care Inc.は「シンガーとラッパーのボーカル2人+鍵盤」の3人組編成で、私は鍵盤を担当しています。
ドラムとベースはルーパー(※1)から流しています。

 ※1 ルーパー・・・録音して繰り返し再生し重ね録りすることで、1人でリアルタイムに多重録音を行うことができる機器。ライブパフォーマンスなどに使われる。

音楽のジャンルとしてはヒップホップ系で、たまにストリートライブも行っています。
2026年2月14日には、楽曲「アレルギー」が発売されるので、皆さまも是非聞いてみてください。

私も聞かせていただいたのですが、ちょっとフュージョンぽくてかっこいいんですよ!

後ほど音量を確認するところで、皆さまにも楽曲を少し聞いていただけるかと思いますので、お楽しみに♪

では本題に移りましょう。
本日のご相談なのですが、今はどういった状況なのですか?

-防音用途・現在の状況-

はい。
分譲マンション1階の角部屋に住んでいるのですが、レコーディングやライブのリハーサルを自宅でしたいと思いまして。

ただ、外からの音がすごく聞こえるので、「逆に自分の出す音も外に漏れて、周囲に迷惑になっているのではないか」と気になったのが防音対策を始めようと思ったきっかけです。

なるほど。
いつから防音対策に着手し始めたのですか?

一年半前くらいからです。
部分的に、まずは窓を2重窓にして、玄関ドアを変えて、さらに内ドアを付けた段階です。

かなり時間がかかっていますね💦

マンションなので規制が厳しく、管理組合とも話し合いながらやっているため、なかなか進まないんです💧

一応、隣や上階にも、ボーカルや演奏音がどのくらい聞こえているかを度々確認はしていまして。

隣の方からは全く聞こえてこない、と言われています。
作業部屋は本当に一番角で、隣居との間に1部屋あるからかと思います。

真上の方には、爆音でリハーサルする時は聞こえるみたいです。
ちなみに、ドラムは生ドラムではなくスピーカーからです。
 
利用する時間は制限をかけて、夜9:00以降は音をださないようにしています。

色々と周囲にも配慮されているのですね。

-2重窓-

現時点で窓を2重窓にしているとのことですが、2枚のガラス、2重のサッシで防げる音量は40 dBぐらいなんです。
熱の入ったボーカルの声などは90~100 dBでるので、外へは50~60 dBほど漏れてしまうことになります。
だから2重窓では外への対策として弱いかと。

それから、ぶっちゃけていうと選択したガラスがあまりよくないと思います。
【ガラスでの防音は難しい!ガラス窓の防音方法を徹底解説】

2重窓の設置を依頼した業者からは、ガラスの提案ってありましたか?

カタログのこれを、みたいな感じでした。

業者の中には、モノが売れればあとは知らない!と、適当に済ますところもあるので注意が必要です。

あとは、リフォームの補助金などで賄うと、指定ガラスで選択肢が限られてしまうこともあります。
でも助成金で安くできるのだったら、その分もう1枚別のガラスを増やすことも可能ですね。

-ドア-

玄関には防音ドアを付けたのですか?

いえ、一般のドアです。

まさに、リフォームの補助金を使ったので断熱仕様ではありますが・・・。
ただ、あまり防音に対しては効果ありませんでした💧

-防音専門業者ではなく、リフォーム会社へ依頼した理由-

2重窓や玄関ドアの設置を、防音工事の専門業者ではなくリフォーム会社に依頼した理由についてうかがってもよろしいでしょうか。

断熱リフォームなどの、国や東京都が行っている助成金制度を利用したかったためです💦

なるほど。
防音リフォームも助成金制度に組み込まれるといいのですが・・・。

リフォーム会社は防音についての専門家ではないので、防音に関して依頼しても結局は目的を達せないことが多いんですよね💧

現状は、床・壁・天井が一切手つかずなんですよね?!

はい。
一応、床にピアノの防振マットを敷いていますが・・・。

-防振マット-

防振マットは力を発揮する場面が限定的なので、あまり効果を期待できないかもしれません。

えっ、どういうことですか?

確かにマットに接している物体、今回でいうとピアノですね。
ピアノ自体の振動は少し抑えられるでしょう。

ただ、ピアノの音ってマットに接している部分からだけでなく、ピアノ全体から空気を介して四方八方に伝わりますよね。
防振マットは、ピアノ自体の振動以外には効かないので、今現状はその他の「空気で伝わる音」には対策していないのと同じ状態なんです。

そうだったのですね💧

スピーカーは思いっきり床置きなんですけど、スタンドのようなもので立てていたら音の伝わり方は変わりますか?

多少は変わります。
スタンドの足に防振マットを敷くのであれば、振動をさらに床に伝えにくくなります。

ただし、空間にでている音は変わりませんが・・・。
それが聞こえていってしまいますね。

床にだけ対策しても、結局聞こえてしまう、ということですか。

-風呂桶理論-

そうですね。
なので、まだ手を付けていない天井や壁の施工もこれから必要になってきます。

音って伝わる際に真っ直ぐ進むだけでなく、障害物を回り込む性質があるんです。
だから天井だけ防音性能を高くしても、音は性能が低い壁などから建物の構造を伝わって結局上階に伝わってしまうんですよね。
余談ですが、弊社ではこれを「風呂桶理論」と呼んでいます。
【「防音室の風呂桶理論」その音、漏れてますよ!】
【防音を成功させるカギ!風呂桶理論を徹底解説】

一部分だけ対策しても工事の費用も手間も時間も無駄になってしまうので、やるなら全てセットでないと意味がありません。

なるほど💡
そうなのですね。

-防音のゴールセッティング-

風呂桶理論を考えた際に「どんな音を・どこに対して・どれだけ防ぎたいか」というゴールセッティングをしないと、これまた工事全てが無駄になってしまいます

だから「レコーディングやリハーサルの音がどのくらい発生しているか・現在どのぐらいの音量を防げているか・近隣の方にどれくらい聞こえていているか」を工事前に予め把握しておく必要があります。
そこから防音性能をプラスαするのが防音工事の役割ですので。

ちなみに弊社では、「これだけの音を防ぐために、こういう工事をします」という説明書を工事前にマンション管理事務所に提出します。
既定範囲の中で行うことも証明したうえで工事に入るのでご安心くださいね。

ありがとうございます!

-直近の課題=換気扇-

直近の課題は、換気扇から音が入ってくることです。
外の音が全部聞こえる、みたいな。
1階の角部屋だから、誰かの話している声も筒抜けなんです。
逆に「こちらの音も聞こえているんじゃないか」という懸念もあって。

レンジフードとトイレ、浴室に換気扇がついているので、全部対策をしたいと思っています。
レンジフードは換気扇の出口の方しかいじれない、ということを聞いたことがあるのですが、実際はどうなんでしょうか。

レンジフードの換気扇は確かにそうですね。
防火の問題が絡むので。

だからレンジフードは、弊社が使うような「音を減衰させながら換気も行う消音ダクト」を使えないんですよ。
ダクトを建物の外側に固定しようにも躯体構造の部分にアンカーを打ったりするので、マンション側が絶対認めないでしょうし。

そこでどうすればよいかというと、通常は空間を全部セパレートさせていきます。
キッチンもトイレも浴室も、レコーディングやリハーサルのスペースに含めない。

その上で収録スペースの空気の流れがなくならないように、先ほどの換気・消音ダクトを使っていきます。
ただ今回はドアを換えてしまったということなので、給気口の部分がどうなっているのか確認しないといけませんね・・・。

ドアや換気口など、総合的に考えないといけないのですね💧

こういうこともあるので、防音を考える際は行き当たりばったりではなく、ゴールを見据えて計画的に進めていくのがおすすめです。

ゆとりinc_2

そうだったんですね。
もっと早い段階で相談するべきでした💧

防音室を快適に使うためには、酸欠にならないように新鮮な空気を循環させないといけませんからね。

結構、頭痛持ちだったりするんですけど、ドアを換えたことと関係ありますかね?💦

いや、わからない(笑)

ゆとりinc_4

頭痛には気圧とかも関係ありますしね。

Budsceneさんの、今いるこの部屋はとても快適ですよね。

レコーディングスタジオなどは大体こういう造りです。

新鮮で温度調節した空気を取り入れるために換気扇やエアコンを室外に設置して、そこから空気を引っ張りこみ、風によるノイズも「〇dB以下」のように設定するんです。

徹底していますね。

収録用の精密なマイクを使って録った時に、できるだけノイズは避けたいでしょうからね。

そこまで考えられているんですね。

瞬間的に1曲だけ、換気扇もエアコンも止めて・・・っていうかたちなら、そこまでしなくてもいいのでしょうけどね。
 
換気扇は難しい問題です。

-天井・壁-

換気扇が終わったら天井と壁を考えたいのですが、大体コストってどれぐらいかかるものなんですか?

部分的な答えはだしづらいのですが、一つの壁で材料費が2万円ぐらいですかね。
あとは手間賃です。
大工さんによって作業費用は変わりますが、1壁で大工さん3人ぐらいにお願いする感じです。

ただ、弊社では本来、天井単体、壁単体での費用はだしていないんです。
先ほどの風呂桶理論のように、部屋を丸々施工しないと遮音性能の保証ができないという考えからです。

全部セパレートさせるために、壁を建てて、その建てた壁に天井を乗っけるかたちが効率がよいですよ。

なるほど💡
じゃぁ、天井は少し低くなるのですか?

そうですね。
弊社で防音工事する場合は、最低15 cmは下がります
最低限15 cm下げないと防振がとれないので。

もっと下がる場合ももちろんあります。

防振をとれば、上階からの足音は防げますか?

足音は、防振金具を使っても結構聞こえてしまうんですよ。

だからやるんだったら、天井をもう一つ作ります
はじめからある天井に全く接触させないかたちで。

足音で収録に影響がでないように、新しく作る天井には石膏ボード3枚くらい貼るとよいでしょう。
部屋がそんなに大きくなければ、木材の梁背(梁の上下方向の高さ寸法)をとることでたわみも少なくすみます。

なるほど、わかりました。
ありがとうございます。

-大工さん-

DIYに近いような施工なら、大工さんに直接お願いしてもよいかと思いますが、大工さんのお知り合いとかいますか?

知り合いの知り合いだったら、という感じですね。

大工さんに依頼する場合は、自分で防音知識を蓄えて、指示をだして監修した方がいいですよ。
技術はあるけど、防音の知識やノウハウはもっていない大工さんが多いので。
中には知ったかぶりの大工さんもいるので気をつけてくださいね。

ある物件に防音工事に入った時に、防音工事以外を担当している他会社の大工さんと同席したんですね。
はじめは「僕ら防音工事やったことあるよ、こうこうこうでああだろ」と、まるで施工したことがるかのように言っていても、私たちが工事を終えて帰る頃には、「さすが専門家、すごいな!」という感想に変わります。
ドラム向けの防音で入る時なんかは、「オレ達そういう工事、絶対できない!」って言ってきます。 

技術的な部分だけ大工さんに任せる場合は、弊社で監修してもよいですし。

ありがとうございます!
よろしくお願いします。

-ネット検索-

深町さんは、どういうリサーチで2重窓やドアの工事をしようと考えたんですか?

インターネットで「防音 2重窓」とかのキーワードで検索しました。

なるほど。

インターネットでの情報は信用しすぎないでくださいね。
例えば「防音」って打ち込むと、大体「吸音材」がでてくるんですよ。
でも、吸音材は防音に対して全く効果ありません

え、そうなんですか?!
というか、防音と吸音は違うのですか?

はい。
防音は聞こえる音量を小さく抑えることで、吸音は音の響く時間を短くすることです。
吸音材で防音できれば、お手軽なので世の中の人みんな音に悩まなくなると思うんですけどね。そういうわけにもいかず・・・。

そもそも防音できるんだったら、名称も「吸音材」でなく「防音材」になっているはずです(笑)

確かに!(笑)

でもインターネット上では吸音材が防音材扱いですよ💧
ショップが吸音材を売りたいから。
吸音材よりも防音材の方が検索数が多いので、効果があろうがなかろうがキーワードに「防音材 吸音材 遮音材」など、関連しているワードをとりあえず全部入れるんです。
本当は別モノなのに。

インターネットで検索する時は、正しい情報か、間違っている情報かを精査する目を養わなければなりません。

-リハーサルの音量-

こちら、ガンマイクで収録したリハーサルの音です。
実際にリハーサルで出している音量ぐらいまで上げてみてください。

このくらいの音量なら爆音とまではいかないと思いますよ。

ジャンル的に、全力でグワーッて歌う感じじゃないですしね。

そうなんですか、安心しました。

声を張り上げる系ではありませんね。

1,000 Hzまでの周波数で、音量を測定してみましょう。

 <リハーサルの音量>
・オールパス → 92 dB
・63 Hz → 88 dB
・125 Hz → 85 dB
・250 Hz → 80 dB
・500 Hz → 85 dB
・1,000 Hz → 81 dB


ゆとりinc_リハーサル音

一般的な分譲マンションの遮音性能(上下階間)は、だいたい次の通りです。

<分譲マンションの遮音性能>
・125 dB → 35 dB減衰
・250 Hz → 40 dB減衰
・500 Hz → 50 dB減衰

だから、上階に聞こえる音量はこのくらいになります。

<上階に聞こえる音量>
・125 dB → 50 dB
・250 Hz → 40 dB
・500 Hz → 35 dB


ゆとりinc_遮音125Hz
ゆとりinc_遮音250Hz
ゆとりinc_遮音500Hz

なるほど💡
数値化していただくと、イメージしやすいですね!

だいぶ防音しないといけない状態ですね。

はい💦

-環境騒音-

防音を効率的にするためには、室内の環境騒音(暗騒音)を把握することが重要です。
環境騒音とは、測定したい音以外の背景的な雑音全般のことです。

相手の部屋の環境騒音が大きくて常に騒がしければこちらの防音対策は軽度でも大丈夫ですが、環境騒音が小さくて静かであれば防音性をより高めなければなりません。

例えば、幹線道路近くの昼間の環境と、寝静まってシーンとしている夜の環境では、隣室から同じ音量が聞こえてきても気になり方が違いますよね?!

確かに、そうですね。

ちなみに、今この部屋の環境騒音はこのくらいです。
 
<トークルームの環境騒音>
・16 Hz → 40 dB
・31.5 Hz → 33 dB
・63 Hz → 35 dB
・125 Hz → 25 dB
・250 Hz → 22 dB
・500 Hz → 15 dB
・1,000 Hz → 13 dB
・2,000 Hz → 11 dB


ゆとりinc_環境騒音

音を環境騒音に紛らせるためには
防音性能=聞こえる音量-環境騒音
の式で、追加する防音性能を計算することができます。

だから、深町さんの上階がもしこの部屋くらいの環境騒音だった場合、
・125 dB → 50-25 = 25 dB
・250 Hz → 40 -22 = 18 dB
・500 Hz → 35 - 15 = 20 dB

の防音性能が必要になってきます。

なるほど💡
必要な防音性能を計算して導けるんですね!

-リフォームローン-

リフォームローンはできるんですか?

もちろんです。

住宅ローンは審査が厳しいですが、リフォームローンはそこまででもありませんよ。
2026年1月に防音室をお引き渡したお客様の中に、個人事業主のミュージシャンの方がお二人いらっしゃったのですが、そのお二人も利用しています。

そうなんですね!

金額や期間はどのくらいなんですか?

700万円くらいの防音工事を、20年ローンで組んでいます。

住宅ローンの方の審査はそんなに厳しいんですか?

1月のミュージシャンの方は、会社役員になってすぐだったためか、銀行から「住宅ローンを組めない」と言われたらしいですよ。
役員の場合、5~10年くらい勤務して売上の成果がでてからでないと、住宅ローンは中々組ませてもらえないようです。

住宅ローンは金利が安い上に期間も長くて35年プランなどもありますが、それをクリアしているなら信販会社のリフォームローンは大体通るはずです。

ただ弊社のリフォームローンの場合は、信販会社の担当者が防音室完成品を確認しに来ます。
報告書を提出して、きちんと施行していることを証明しないといけません。

なるほど💡

リフォームローンの注意点として、リフォームローンは必ず住宅ローンが実行されてから組んでくださいね。
住宅ローンが実行される前にリフォームローンを組むと、住宅ローンが破棄されてしまう可能性があります。
一回でも実行されていれば、リフォームローンを組んでも大丈夫ですから。

マンション購入とリフォームを同時進行でやりたかったんですけど、ローンを組めなかったのはそういうワケだったんですね💡
なるほど、謎が解けました。
 
家を買う前に並木さんに出会っていればよかったですね。

是非また、防音についてのご相談やミュージシャン目線のご質問などがあれば、お気軽にご連絡ください。

部分的な工事については直接アドバイスいたしますので。

はい、助かります。
よろしくお願いします。

皆さま、いかがでしたでしょうか。
実は私たち、10時間くらい話しているんですよ!
編集して短くしていますが。

深町さんも、長い時間お疲れさまでした。

こちらこそ、ありがとうございました。

レコードレーベルの方も応援させていただきますね♪
Yutori Care Inc.のホームページはこちらになります。
【Yutori Care Inc.】
皆さまも、よろしければ是非ご訪問してみてください。

本日は、本当にありがとうございました。

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