【事例56】-ボイスチャットができる環境を求めて-
この事例のポイント
- 鉄骨造の最上階1Kで夜間ボイスチャット中に隣室から「壁ドン」され、大家経由で苦情が届いた。近隣への配慮と、活動環境の確保をどう両立するか——が相談の背景。
- まず"測り方"と"床対策"の誤解を指摘される。自室の収納と隣のトイレ間で測っても実際の隣家との遮音性能は反映されない。さらに床に直接シートやマットを貼っても効果はなく、遮音には「浮き構造」が必須。良かれと思った対策が空振りしやすい落とし穴。
- 必要な性能は「音量」から逆算できる。深夜のボイスチャットは実測で約75dB(笑い声は最大85dB)。これを抑えるには55dB以上、安心水準なら60〜65dBの減衰が必要——一方、建物構造の目安は鉄骨造で約30dB、RC造で約45〜50dBと大きく差がある。
- 解決策は「物件選び」と「浮き床+防音ブースの正しい設置」の二本立て。OTODASUなどの防音ブースは壁から最低5cm離すことで性能が出る。グラスウール+ハードボード3枚重ねの床防振や、コタツで20cm浮かせて+10dB稼ぐ方法まで、耐荷重(1m²あたり180kg)も踏まえた具体策が示される。
集合住宅に住んでいます。
部屋でボイスチャットをしていたら、隣室から壁ドンされ、大家さんを通して苦情がきてしまいました。
悠々とボイスチャットができる環境に身を置きたく、アドバイスをよろしくお願いします。
防音のお悩み相談・質問コーナー。
今回のゲストは、ボイスチャットで隣人から苦情がきてしまったβさんです。
では、ご相談・ご質問をどうぞ!
はじめまして。
YouTubeの動画を色々と拝見させていただいております。
鉄骨造の集合住宅で、最上階1Kに住んでいます。
夜間にボイスチャットをしていたら、隣人から壁ドンされ、大家さんを通して苦情がきてしまいました。
近隣に配慮して対策をするため、御社の下記YouTube動画を参考に、まずは隣居との間の壁の遮音性能を測定しようかと考えています。
【音が漏れてしまう仕組みを解説【防音のゴールセッティングとは!?】】
隣室からの喋り声などを測定できるタイミングがなかったので、代わりに自室の収納近くで(収納を開けた状態で)80 dBの音をだし、どのくらい減衰しているかをトイレで測定しました。
部屋の間取りです。
この測定方法は適切でしょうか。
よろしくお願いいたします。
はじめまして。
自分の声が隣家にどのくらい聞こえているかは、実際に隣家で測定しないと判断できませんよね。
お隣からの音から自分のだす音量を予想しようにも、いつ聞こえてくるかわからないのでタイミングを図るのも難しいですしね。
ご質問の「測定方法は適切か」ですが、集合住宅において「他家との境」と「自宅内の間仕切り」では遮音性能は異なるはずです。
恐らく、「収納とトイレ」の方が「自室と隣居」よりも遮音性能は低いため、その測定方法で得られた数値は防音の目安にならないでしょう。
隣家との正確な遮音性能がわからない場合は、鉄骨造の建物ということで、30 dB減衰ほどと想定するとよいでしょう。
鉄骨造建物の遮音性能の目安は30 dBほどなのですね!
ありがとうございます。参考になります。
今の物件は、天井が高すぎたり移動できないものが多かったりと、必要な防音性能を得るための対策をするには向いていないので、引っ越しを考えています。
希望は、鉄筋コンクリート造、できれば2部屋で外と接していない小部屋がある物件です。
求めている環境が手に入るとよいですね!応援しています!
~数日後~
こんにちは。
先日はお世話になり、ありがとうございました。
ただ今引っ越しを検討している部屋が2つありまして、並木さんから見て「ボイスチャットしても近隣に迷惑をかけない環境どうか」をお聞きしたく連絡いたしました。
1つ目の物件Aは、鉄筋コンクリート造10階建ての建物の5階・角部屋・2Kです。
間取りはこちらです。
昼間に内見に行った際には、上の階からの物音とかはたまに聞こえたものの、話し声などは聞こえませんでした。
ボイスチャットは納屋で行う予定です。
納屋から75 dBの男性の声の音源を流して、洋室やドアの外で35 dB程でしたので問題ないと考えております。
納屋-洋室間の遮音性能は75-35=40 dBほどと計算できますね。
そうすると、隣居や上下階への遮音性能はもう少し高く、45~50 dBほどと想定できますかね。
ボイスチャットをする時間帯は夜中ですか?!
夜中のボイスチャットの声が60 dB以下の音量であれば、納屋でのボイスチャットは大丈夫と判断してよいでしょう。
自分の声は普通に喋っても75 dB程なので、苦情などがありましたら追加でDIYを行おうと思います。
1Kの物件で苦情がきたので、次は2Kにして隣居との間にスペースを入れようかと考えたのですが、あまり意味はないでしょうか?
隣の家に対して1部屋挟むのは効果的です!
襖程度ではさほど効果ありませんが、部屋として独立しているスペースなら有効な防音方法ですよ。
納戸の扉はスライド式で、壁は6.5 cm程でした。
2つ目の物件Bは、鉄筋コンクリート造で最上階、両隣に住居あり・1Kです。
間取りはこちらです。
特徴としては、窓がペアガラスで、刀屋が近くにあることから日中刀を打つ音が聞こえるので日常的に騒音値が高い環境だそうです。
物件Aと物件Bのどちらがボイスチャットに向いているでしょうか。
それとも、どちらもあまり変わらないでしょうか。
賃貸物件の構造次第なので、遮音性はどちらが高いか、というのは言い切りにくいところがあります。
申し訳ございません!
ただ、深夜に75 dBの声をだす場合は、55 dB以上の防音性能が必要です。
手を加えなくても大丈夫なのは、
・床 → 2重床
・天井 →コンクリート厚み150 mm以上、懐あり
・壁 → コンクリート厚み150 mm以上
・内装ボード → GL(コンクリート表面に石膏ボードを貼り付ける工事)ではなく、内装下地を建てて施工
というような物件になります。
物件選びは構造と間取りが肝です。
こちらの動画をご参照ください。
【圧倒的コスパの間取り防音の秘訣!】
【【宅内防音】引き戸や防音困難な間取りを防音する方法!】
いえ、ありがとうございます!
どちらにしても防音性能は足りなさそうなので、追加で防音室を購入する予定です。
角部屋で小部屋がある物件Aに惹かれていますが、2Kで家賃がお高めなので、物件Bと迷っています。
物件Aは、隣居に対して1部屋を挟むことができる点がメリットです!
ただ、10階の建物の5階ということで、上下階に対しては空間を挟めずに対策できない点が懸念されます。
床は[ジョイントマット&遮音シート&カーペット]を敷いて対策する予定です。
それでも苦情がきたら、さらに[合板&スタイロフォーム&ジョイントマット]で対応しようと思います。
天井は防音室との間に50 cmの空気層があるので「まぁ大丈夫かな?」と考えています。
上階から苦情がきたら、ファンに静音ダクト付けたり、遮音シートと吸音材を増量したりして対策するつもりです。
防音室は、重いものは置けないので60 kgのOTODASUを使用しようかと検討しております。
下階に対して遮音性能をかせぎたいなら、物理的に浮かす+オトダスの中に[ジョイントマット&遮音シート&カーペット]の施工がよいですよ。
床に直接[ジョイントマット&遮音シート&カーペット]を敷いても遮音性能は改善しないので注意してくださいね。
質量則の観点では、現在の床に掛かっている重さと同じ重さを加えて遮音性能が5 dB上昇します。
床に直接何かを貼っても、改善はさほど期待できません。
スタイロフォームは効果がないので、利用してもしなくても同じでしょう。
承知しました。
OTODASUを設置して、それでも下階から苦情がきたら、防音室の床には下から順に
①防振ゴムを点置き
②12 mm厚の合板を乗せる(防音ブースの床と同じサイズ)
③遮音シートを敷く
④OTODASUを乗せる
⑤OTODASU内にジョイントマット&カーペット
という対策をしようかと思うのですが、どうでしょう。
防振ゴムは、ゴムブロックだと床への負担が大きそうなので、ゴムレールにしようと思います。
最終的に夜中のボイスチャットの声を自室内で60 dB以下に抑えられれば十分かと思います。
オトダスの遮音性能に関しては、以前に弊社で検証したデータがありますので、ご参照ください。
【忖度なし!市販の防音ブースの遮音性能を検証、結果を発表!-検証企画第1弾-】
【【忖度無し!】話題の防音ブースを性能測定してみた!Part1】
【話題の防音ブースの性能が足りないので、勝手に強化してみました!Part2】
OTODASUの実測の遮音性能は500 Hzで14 dB、毛布で覆ったら18 dBといったところなのですね。
床の話、参考になりました。
無駄に費用かけずに済みます。
もし苦情がありましたら、その時はまた参考にさせていただきます。
相談にのっていただき、ありがとうございました!
~数日後~
OTODASUを含めた遮音性能についての質問です。
声の音量が75 dBであれば、OTODASUで-14 dB減衰、鉄筋コンクリートの壁・床・天井で-45~50 dB減衰されるので、隣居には10~15 dBほどとなる計算です。
これなら夜間の室内の環境騒音20 dBほどに紛れるので、OTODASUを改良しなくても大丈夫でしょうか?
防音ブースを壁から十分離して置いた場合には、計算通りになると想定されます。
ただし下階に関しては、浮き構造でないと直貼りと同じ状態なので、防音ブース分の遮音性能がプラスされません。
そのため、想定よりも下回った遮音性能になることを念頭に入れておいてください。
隣居に関しても同様です。
壁にピッタリくっつけると距離減衰がないので防音ブースの性能を十分発揮できません。
防音ブースを最大限活かすためには、壁との間に空気層を設けることが大切です。
承知しました。
もし下階から苦情がきたら、浮き床を作って浮かせてみようと思います。
壁側も、防音ブースの効果が低下しないように、最低でも5 cmは空けるようにします。
床も目指すは復構造です!
はい!
OTODASUなのですが、並木さんが検証されていたOTODASUから更に進化したようです。
今のOTODASUは吸音材と遮音シートが付いて、重さも倍近くに増えているので、一旦ほぼ改造なしで試そうと思います。
500 Hzであれば、20 dB近くの減衰が確保できるとよいですね!
ありがとうございます!
OTODASUを注文してから届くまでには2ヶ月くらいあるので、その間せっかくなので床の防音について考えたり調べたりしています。
元々は下階から苦情がきてから浮き床を検討する予定でしたが、せっかく防音するのなら最初から完全に不安を解消してしまおうかと思いまして。
床に対する声漏れについての質問なのですが、3点ほどよろしくお願いします。
<1点目>
・椅子に座って前方のPCに向けて喋る → 声の方向が真下ではない
・自分の口と床まで120 cmほど、下階の人と天井にも50 cmほど距離がある → 距離減衰がある
ということから、下階に聞こえる音量は10~15 dB(=声の音量75 dB-鉄筋コンクリート造の床45~50 dB減衰-OTODASU14 dB減衰)よりも小さくなるのではないでしょうか?
実際に床にスマホを置いて声を測定した時は、声の音量は大きくて71 dBほどでした。
<2点目>
浮き床を、防音室外ではなく防音室内に作るのは効果アリでしょうか?
購入予定のOTODASUは、大きめのOTODASU DX145なため、室内に置いた時にエアコンとの距離が10 cmほどになります。
防音室を浮かせてしまうと、さらにエアコンとの距離が縮まり、エアコンからの風を塞いでエアコン性能がガタ落ちするのではないかと危惧しております。
<3点目>
浮き床にする時、10 cmと5 cmでは防音性能は何dBの向上が見込めますか?
<質問1に対して>
防音ブース内での音の大きさは、向きや位置ではさほど変わりません。
高域の音はちょっとした妨げがあるだけで減衰しても、低域の音はむしろ部屋の中央より隅の方が大きくなります。
<質問2に対して>
防音ブース自体を浮き構造にしないと直貼りと同じ状態なので、防音ブース分の遮音性能が床にプラスされません。
床の遮音性能にオトダスの遮音性能分を上乗せさせるには、オトダスそのものを床から離す必要があります。
イメージとしては、防音ブースの下に空間が生まれるように、こたつの上にオトダスを置く感じです。
オトダス内に浮き床を創るのも全く効果がゼロなわけではありませんが、床面のパネルが重さに耐えられず潰れてしまう可能性があるため、好ましくないかもしれません。
<質問3に対して>
下階に対して何dB減衰させる床を期待して質問されていますか?
それによって素材も厚さも違ってきます!
<質問1に対して>
向きや位置では、対策としては不十分ということですね。
<質問2に対して>
やはり、防音ブース自体を床から離した方がよいのですね。
そうするとOTODASUとエアコンは3 cmほどの距離になるのですが、ダクトなどを使って頑張って調整してみます。
<質問3に対して>
床の防音性能45~50 dBに+10~15 dB向上して、計55~65 dBほどを期待します。
最低でも55 dBは欲しいです。
ボイスチャット時の音量は大体75 dB、1番大きいのは笑い声で85 dBほどなので、笑い声までケアできる計65 dBあれば安心です。
私たちが、180 mm厚のコンクリートで60~65 dB減衰させる床を創る時は、防振をとる際に、
①床
②グラスウール96k 25 mm
③タイガースーパーハードボード 12.5 mm×3枚
④タイルカーペット仕上げ
としています!
画像では直置きしているように見えるのですが、合っていますか?
空気層を挟んで浮き床にしなくてもよいのでしょうか?
上記は、浮き床の防振をとる時の素材や敷き方の例として紹介させていただきました。
なるほど、わかりました。
敷き詰め方なのですが、③の段階でスーパーハードボードの上にOTODASUを置いて、OTODASUの床の上に④のタイルカーペットを敷いても大丈夫でしょうか?
それは大丈夫です。
タイルカーペットは仕上げに利用するだけなので。
オトダスの側面は真っすぐではないので、カーペットを綺麗に敷き詰めるのは難しいかもしれませんが💦
タイガースーパーハードボードを3枚注文するのは搬入が難しそうなので、OTODASUの床外寸1590 mm×1590 mmを4分割した800 mm×800 mmを12枚注文して気密遮音テープでくっつけようかと思っています。
どうでしょうか?
ジョイントをコーキングすれば問題ありませんよ。
施工方法は
・積層の接着剤は木工用ボンドかネダボンドでOK
・積層の際はタッカーもしくはビス打ち
です。
引っ越しなどで、分解する時はどのようにすればいいでしょうか?
退去時のことを考えると、接着剤を使っている場合は分解が大変になるので、退接着剤は使わない方がよいかもしれませんね。
床鳴りはしてしまいますが、気にしないようにしてください。
ありがとうございます。
では接着剤は使わないで、ビス打ちだけにしようと思います。
防振施工+OTODASU(78 kg)+PC・机・椅子・人(120 kg)が乗っても、フローリングの沈み込みなどは大丈夫でしょうか?
建築基準法により、1 m2あたり180㎏の耐荷重が定められているので、問題ないはずです。
安心しました。
タイガースーパーハードボードを800 mm×800 mmで注文するのが難しそうなので(家で切るのも難しい)、他のオーダーカット石膏ボードを使うかもしれません。
その場合、5枚重ねにすると近い重さになるので代替になるでしょうか?
一般の石膏ボードだと、床の中央がたわんで沈んだり、DIYの際に上に乗ると割れてしまったりする可能性があります。
加えてビスが効かないので、一番下と中央は合板にしてビスを効かせ、DIY中は上に乗らないようにすれば大丈夫かもしれません。
なるほど💡そういうリスクがあるんですね。
かなり大掛かりな施工になるので、物件の管理会社か不動産屋に確認を取ろうと思っています。
OTODASU設置に関しては既に許可が取れているのですが、床の防振に関してはまだの状況です。
もし重量が重すぎて管理会社から許可が降りなかった場合に、「グラスウール+12.5 mm合板」×2でサンドイッチのようにして防振を取ろうかと考えたのですが、効果があるでしょうか。
それだと、防音性能としては5 dB向上するかどうかになりますね。
床がフワフワして歩くのが大変になると思いますし。
最終手段としては、コタツの上にオトダスですかね。
下階に対して60 dB以上の減衰は難しくなってしまうかもしれませんが。
使っていて苦情が入ったら、声の大きさを調整してください。
ありがとうございます。
防振施工が無理だったらそうします。
防音ブース含めて最終的に55 dB減衰の防音性能があれば、普段の声75 dBは夜の室内環境騒音に紛れるはずですよね?!
だから、ボイスチャットでテンションが上がりすぎないよう気をつければ、苦情は来ないと想定しています。
鉄筋コンクリートの性能が50 dBとして、5 dB向上しようとするならどのくらいの施工が必要でしょうか?
コタツとか台などで10 cm浮かせた場合は何dB上がるのでしょうか。
10~15 dB向上するスーパーハードボード3層が140 kgでしたので、5 dB向上の場合はその半分の70 kg増やせばいいのかな、と単純に考えました。
質量則の観点では、直接何かを貼るなら、既にある防音材の重さと同じだけの質量を貼って5 dB向上です。
それでは効率が悪いので、防振や浮き構造を利用して音を減衰させています。
コタツなどで20 cm以上浮かすことができれば、+10 dBくらいの防音性能を確保できると思います。
コタツの足に防振ゴムは必要ですね。
ありがとうございます!
少し使いづらくなりそうですが、それなら許可が降りなくてもできそうです!
フローリングを傷つけないように、足の下に更に合板とかも敷こうと思います。
動画にも高評価させていただきました。
色々と話に乗ってくださり、本当にありがとうございました。
これからも音に悩んだら、お気軽にご連絡ください!


