サックス、管楽器、エレクトリックドラム防音室
【YouTubeからのご縁とご依頼の経緯】
今回のオーナー様は、YouTubeで弊社「バドシーン並木」のチャンネルをご覧いただき、防音室を創ってほしいと直接ご連絡くださいました。
チャンネル内のほぼすべての動画をご視聴いただいたうえで、「自分の求める防音室を実現できるのはバドシーン並木しかいない」と感じてくださったとのことです。大変光栄であり、心から感謝申し上げます。
【オーナー様のご要望と現状の利用状況】
オーナー様はクリニックを運営されており、今回リフォームするマンションの一室を、休憩スペースや事務作業用の空間、さらに友人やご家族が宿泊できるスペースとして利用されていました。
その用途を残しつつ、趣味として始めたサックスとドラムの練習ができる防音室を設けることが理想でした。
【マンションでのドラム演奏に関する認識】
弊社のYouTube動画をご覧いただいていたため、「マンションで生ドラム演奏は難しい」という点はすでにご理解いただいていました。
また、エレクトリックドラム(エレドラ)についても、振動音がわずかに下階に伝わってしまうことをご承知のうえで、下の階がオフィスフロアであるため、「エレドラなら練習できるのでは?」という前向きなご意見をお持ちでした。
さらに、不動産に詳しいご家族やご友人がいらっしゃり、「バドシーン並木が関わった防音室であれば、将来的な価値がある」とおっしゃっていただきました。お引き渡し時には、オーナー様から「並木さんと一緒に記念撮影をしたい」というお申し出までいただきました。
【開始と間取りの工夫】
当初は、キッチンスペース、防音室スペース、生活スペースがワンルームとしてつながる状態からの工事スタートでした。そのため、まず先行して間仕切り壁を設置し、加工場、防音室、キッチン、生活スペースを明確に分離。工事期間中も休憩や事務作業が可能な部屋を確保しながら作業を進めました。
また、キッチンカウンターと防音室の距離や動線を考慮し、防音室入口には防音ドアを設置。このドア部分を斜めの壁にすることで、人が通りやすいスペースを確保しています。
【窓周りの改修と空調設備の確保】
元の防音室スペースには、縦長の窓があり、FIX部分と引き違い部分が組み合わされていました。開閉可能な部分やクレセント(窓の鍵)に触れられる部分を残しつつ、上下を部分的に塞ぐことで、窓上にエアコンを設置できるスペースを確保しました。
【防音構造の設計と下階への配慮】
防音性能確保のため、他住戸と接する壁には強化防音層と防振防音層を設け、十分な遮音性能を実現しました。下階については通常のピアノや木管楽器向けの防振構造で十分と判断し、コスト面とのバランスも踏まえて施工を行いました。
【完成後の使用状況とエレドラへの懸念】
完成後、オーナー様は毎日練習をされていますが、「一度もクレームがない」とのご報告をいただいています。
エレドラのペダルを踏む振動音は、空気音と違って集合住宅や戸建ての宅内でも響きやすく、我々としてもやや不安を感じる要素でした。しかし、今回の設計ではコストを抑えた通常の防振床を採用しながらも、結果として問題なくご利用いただけています。
【内装仕上げと映像鑑賞環境】
内装は、映画鑑賞やYouTube動画に合わせた演奏ができるよう、プロジェクターの投射スペースを確保しつつ、必要な吸音率を保っています。
吸音パネルについては、当初メーカーの在庫切れにより仮設パネルを使用し、後日オーナー様が選定された製品に交換いたしました。この際はお待たせしたことをお詫び申し上げます。
【完成した防音室の特徴】
こうして、楽器演奏の趣味に特化した防音室が完成しました。
サックスやエレクトリックドラムの練習だけでなく、映像と音楽を組み合わせた多彩な楽しみ方ができる空間となり、オーナー様にも大変ご満足いただけています。
【関連YouTube動画のご紹介】
今回のオーナー様のサックスの先生であるプロサックス奏者の方が、こちらの防音室についてYouTubeで取り上げてくださいました。ぜひご覧ください。
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