DTM、DAW 防音室
      【新築後に実施した防音室リフォーム工事】
今回ご紹介するのは、新築の建物が完成した後に着手した、防音室のリフォーム工事事例です。
オーナー様は音編集のプロとして日々お仕事をされており、これまでも音に関するさまざまな取り組みを行ってこられました。しかし、防音に関してはまだ本格的な対策をされていなかったため、防音室の施工はバドシーンにお任せいただくことになりました。
その後の音響調整に関しては、オーナー様のアイデアやこだわりを反映しつつ、バドシーンからの提案も組み合わせながら、最適な音場づくりを進めていく形となりました。
【シンメトリーなモニタースピーカー配置へのこだわり】
まずオーナー様が強くこだわられたのが、モニタースピーカーを設置する面を左右対称(シンメトリー)にすることでした。
防音工事前、この位置には給排気用のパイプファンの穴が開いており、「この穴を活かして外気を取り込みたい、そして左右対称な設置環境を実現したい」というご要望をいただきました。
【ギターの壁掛けと防音性能の両立】
完成した防音室内では、お持ちのギターをできるだけ室内に収納できるよう、壁掛け金具を複数設置しました。バドシーンの防音室は、ギターの壁掛け程度であればどの位置にも対応できる構造体を採用しており、この金具の設置によって遮音性能が低下することはありません。
写真からもお分かりいただけるように、楽器を効率よく収納することで空間を広く活用できるようになっています。
【給排気穴の活用と設計変更】
通常、防音室のリフォーム工事においては、外壁側への新たな給排気用の穴あけは行いません。
これは、給排気口を新設する場合、防水処理や止水処理が必要となりますが、完成済みの建物に後から穴を開けた場合には、十分な防水・止水処理が難しいためです。
そのためバドシーンのリフォーム物件では、室内の空気を防音室に取り込み、別の部屋へ排出する方法を採用するケースがほとんどです。
しかし今回の物件では、すでに適切な位置にパイプファンの穴が開いており、さらに外気を取り込みたいというオーナー様の強いご希望があったため、工事を進めながら設計を変更しました。
 結果として、スピーカー背面上部には給排気用の消音ダクトを設け、機能性とデザイン性を両立させることができました。
【コンクリート床によるスピーカー性能の引き出し】
次に実施した音へのこだわりは、スピーカーを設置する床面をコンクリートで構築することです。
スピーカーやスタンドは、固い床面に設置した方が本来の性能を損なわず、濁りのないクリアな音を再生できます。逆に、柔らかい床ではスピーカーの振動が吸収されず、音に濁りが混じる場合があります。
そこで、防振仕様の積層床を施工しつつ、スピーカー下の部分のみコンクリートを打設しました。
この部分的なコンクリート打設は、経験豊富なベテラン大工さんのご協力によって実現。木工を中心に活躍される大工さんが、左官作業も兼ねて施工してくださった点は、この工事の印象的なエピソードです。
【日光を取り入れつつ音響バランスを確保】
オーナー様は長時間の作業が多く、部屋にこもる時間が長くなるため、自然光を取り入れることを希望されました。
そのため窓は三重サッシで残しつつ、防音性能を確保。しかし、窓があることでスピーカーの左右対称な響きが損なわれるため、窓部分を覆う吸音パネルを取り外し可能な形で設置しました。
さらに、バドシーン側の吸音はあえて控えめにし、オーナー様がお持ちの吸音パネルやオーディオアクセサリーを組み合わせて音場調整を実施。これにより、リスニングポイントでは鮮明で美しい音を楽しめる環境が整いました。
【完成した音場とオーナー様の声】
こうして完成した防音室は、外気の取り込み、コンクリート床によるスピーカー性能の引き出し、窓を活かした明るさと音響バランスの両立など、多くのこだわりを反映した空間となりました。
オーナー様には、バドシーンのYouTube動画にもコメント付きでご出演いただき、施工後のご感想や音響の魅力について語っていただいています。
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YouTube動画はこちら
今回の工事においても、オーナー様のこだわりとバドシーンの技術が融合し、唯一無二の音響空間が誕生しました。