【10万円】完全解説!防音のプロがDIYで防音室を創る
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザー改め勇者・並木です。
私、重大なミッションをクリアしなければならなくなりました。
それが何と、「予算10万円以下で防音ブースを創り、悪さをしている音魔王を閉じ込めて弱体化せよ!そして悩める騒音難民への道標となるように!」というものなのです。
中々難しそうですが、ミッション・コンプリートした暁にはお宝をゲットできるかもしれません!
(お宝はTwiceのプレミアムチケットでしょうか)
それでは張り切って、勇者・並木と戦士(大工さん)の2人でミッション遂行に取り掛かっていきます♪
目次
ミッション・コンプリートの条件
ミッション・コンプリートの条件は500 Hzの音魔王をレベル25 dB以上弱体化させることです。
よって以下のような防音ブースを創っていくことにします。
価格 | 10万円以下 |
性能 | 500 Hzの周波数の音を25 dB以上減衰 |
大きさ | ・広さ:1畳(1820 mm×910 mm)ほど ・高さ:2 m10 cm(部屋の天井より30 cm低い高さ)ほど |
重さ | 約450 kg |
DIY作業人数 | 2人 |
DIY作業時間 | 14~15時間ほど |
この防音ブースはゲーム実況やボイスチャット用として利用できます。
装備
まず、手持ちの10万円でアイテムや武器を買い揃えましょう。
初めに揃えておかなければならない装備は以下の通りです。
布の服はともかく、木の棒は何本も要りますよ!
アイテム(材料)
材料 | サイズ | 個数・用途 | 価格 |
木材(垂木) | ・太さ45 mm × 45 mm 2 m
・太さ45 mm × 45 mm 1 m |
19本(柱15本+床・天井の骨組み4本) 12本(床・天井の枠組み) |
約15,000円
約5,000円 |
石膏ボード | ・面積910 mm × 1820 mm、 厚さ12.5 mm |
30枚 | 約30,000円 |
GCボード(吸音用) | ・面積910 mm × 1820 mm、 厚さ50 mm ・密度32 kg/m3 |
1枚 | 約9,000円 |
グラスウール(吸音用) | ・厚さ55 mm ・密度10 kg/m3 |
2梱包 | 約5,600円 |
遮音シート(遮音用) | 1本 | 約6,000円 | |
一般木製ドア+ドア枠 | ・面積1907 mm × 735 mm | 1台 | 約20,000円 |
沓摺り | ・高さ30 mm × ドア枠内寸長さ | 1本 | 約340円 |
防振ゴム | ・10 cm×10 cmを10枚作れる大きさ | 1本 | 約700円 |
コーキング材 | 2本 | 約1,200円 | |
戸当たりテープ | 厚さ4 mm、横幅15 mm | 約300円 | |
両面テープパネル用 | 厚さ1.1 mm、横幅20 mm | 約1,800円 | |
ビス | スリム(半ネジ)120 mm | 床・天井の骨組み用 | 約200円 |
スリム(半ネジ)50 mm | 柱固定用 | 約200円 | |
コーススレッド(半ネジ) 65 mm以上 |
床・天井の骨組み用 | 約200円 | |
コーススレッド(半ネジ) 32 mm以上 |
石膏ボード1枚目用 | 約200円 | |
コーススレッド(半ネジ) 45 mm以上 |
石膏ボード2枚目用 | 約200円 | |
120 mm | 沓摺り用(3本) | 約60円 | |
合計 | 計96,000円 |
※2023.2.27現在の価格
武器(工具)
- 集塵丸鋸、カッター → 石膏ボード切断
- スライド丸鋸、電動ノコギリ など → 木材カット
- タッカー → グラスウール留め
- インパクトドライバー → ビス留め
- 電動ドライバー → 下穴開け
- メジャー、定規
- 脚立
裏技(サービス)
アイテム(材料)と武器(工具)はホームセンターで揃えられます。
ホームセンターでは色々なサービスも提供されているので、事前にどんな裏技を使えるのか確認してみましょう。
<裏技(サービス)例>
- 木材カット(石膏ボードのカットは断られる場合あり)
- 工具レンタル
- 材料運搬用に軽トラックの貸出
これらの裏技を利用するとミッションが格段に楽になります。
<木材カットの寸法・本数>
用途 | 寸法 | 本数 |
床・天井の長方向 | 1820 mm | 4本 |
床・天井の短方向 | 770 mm | 12本 |
柱 | 1990 mm | 15本 |
沓摺り(くつずり) | ドアの内枠分 | 1本 |
床、天井、柱の骨組みを上から見たをところを図1に示します。
図1. 床・天井・柱の骨組み
任地
ミッションを遂行するためには、適した場所であるかを見極めなければなりません。
今回の防音ブースの設置場所のポイントは「重さ」と「高さ」です。
- 重さ → 約450 kgと非常に重いので、木造住宅の2階などは設置が困難な場合があります。
- 高さ → 今回紹介するのは2 m10 cmの防音ブースです。
実際にDIYするときは、作業するスペースを確保するために、部屋の天井との間を30 cmほど空ける必要があります。取り付けるドアの大きさを考慮しつつ、スペースに応じて高さを変更してください。
今回の防音ブースの設置が難しい場合は、また違う方法をお伝えいたしますのでご連絡ください。
ミッション1. 木材で骨組みを作成
最初のミッションは防音ブースの骨組みの作成です!
骨組みの組み立て工程は次のようになります。
- 床の骨組み
- 天井の骨組み
- 防振ゴムの設置
- 床の骨組みにグラスウールを充填
- 柱の取り付け
- 天井の骨組みを固定
床の骨組み
【アイテム】
- 木材1820 mm × 2本
- 木材770 mm × 5本
- 細ビス
- コーススレッド(半ネジ)65 mm以上
【武器】
- インパクトドライバー
- メジャー、定規
床の骨組みを上から見たところとビスを打ち込む個所を図2に示します。
図2. 床の骨組みとビスの個所
床の骨組みは455 mmピッチで留めます。
端は細ビスを、他はコーススレッド(半ネジ 65mm以上)を使ってください。
全ネジだと木材同士を緩くしか固定できないので、半ネジ・65 mm以上が推奨です。
端に細ビスを使うのは、コーススレッドを使用すると木材が割れてしまうためです。
天井の骨組み
【アイテム】
- 木材1820 mm × 2本
- 木材770 mm × 7本
- 細ビス
- コーススレッド(半ネジ)65 mm以上
【武器】
- インパクトドライバー
- メジャー、定規
天井の骨組みを上から見たをところとビスを打ち込む個所を図3に示します。
図3. 天井の骨組みとビスの個所
天井の骨組みは303 mmピッチで留めます。
天井の重さを支えるため、床よりも垂木を多く使います。
床と同様、端は細ビスを、他はコーススレッド(半ネジ 65mm以上)を使ってください。
少々の誤差があっていびつでも、上に乗せる石膏ボードなどで調節できます。
防振ゴムの設置
【アイテム】
- 防振ゴム(ロングタイプ) 1本
【武器】
- カッター
防振ゴムの設置個所を図4に示します。
図4. 防振ゴムの設置個所
防振ゴムを10 cm × 10 cmにカットして10枚用意し、床の骨組みと床の間に挟みます。
防振ゴムには主に次の2つの役割があります。
- クッション性で防振
- 床を傷つけない
ゴムの下にさらにタイルカーペットを敷いたりマスキングテープを貼ったりすると、床に跡が付きにくくなります。
防振ゴムと同等の効果が期待できるタイルカーペットやクッションフロアで代用することも可能です。
防音ブースは、その重さと大きさで移動が困難です。
組み立てやセッティングは防音ブースを設置する場所が確定してから行ってください。
床の骨組みにグラスウール(吸音材)を充填
【アイテム】
- GCボード
【武器】
- カッター
- メジャー、定規
グラスウールは吸音効果があるため、床下で発生する太鼓現象(二重構造になっている、板や壁の片方が振動すると、もう片方も振動する現象)を防いでくれます。
GCボード(グラスウールにガラスクロスの仕上げがされているもの)を枠の大きさに合わせて約770 mm × 399 mmにカットし、床の骨組みの間に詰めてください。
その際、仕上げ側を下にしてはめることで、ガラス繊維が散布しにくくなります。
柱の取り付け
【アイテム】
- 木材1990 mm × 15本
- スリム(半ネジ)50 mm
【武器】
- インパクトドライバー
- 電動ドライバー
柱の設置個所を図5に示します。
図5. 柱の設置個所
柱1本に付き両脇から2本ずつ、計4本のスリムの半ネジを斜め打ちして柱を固定します。
斜め打ちしにくい場合は下穴を開けておくとよいでしょう。
柱と柱は床の垂木と同じく455 mmピッチとなるように建てると、石膏ボードを貼るのにちょうど良い間隔になります。
外側からだけでなく内側からも石膏ボードを貼るので、角のコーナー部分は柱が3本必要(横からビスで固定)です。
天井の骨組みを固定
【アイテム】
- 天井の骨組み
- ビス
【武器】
- 脚立
- インパクトドライバー
骨組みの上からビスを打ち、柱と天井をぴったり合わせることで、防音ブースの土台をしっかりと組み立てることができます。
これで防音ブースの骨組みが完成です!
ミッション1をクリアしました♪\(^▽^)/
なお、ここまでで勇者・並木と戦士(大工さん)の2人で3時間ほどかかっています。
ミッション2. 石膏ボードで壁・天井・床の作成
次のミッションは壁・天井・床の作成です!
壁・天井として、防音ブースの外側と内側に石膏ボードを各2枚ずつ重ねて貼っていきます。
また、床は4枚重ねとし、音・重さの両方に対して強化を図ります。
各箇所に貼る石膏ボードの枚数とサイズを図6に示します。
図6. 各箇所に貼る石膏ボードの枚数とサイズ
また、石膏ボードを各箇所に貼った後の断面図を図7、図8に示します。
ブース外側
【アイテム】
・石膏ボード14枚
・ビス
・コーキング材
【武器】
・インパクトドライバー
・集塵丸鋸、カッター
・メジャー、定規
・脚立
ブース外側の石膏ボードの貼り方を図9に示します。
1. 左右の壁(石膏ボード8枚+α使用)
1層目
①石膏ボード910 mm × 1820 mmを4枚使い、左右の壁として2枚ずつ並べて柱に留める
石膏ボードは精密な長方形になっているので、柱との角をぴったりと合わせることにより、防音ブースの歪みを修正することができます。
そのため、床側から貼り付けていくのが垂直に建てるコツとなります。
②足りない部分に石膏ボード910 mm × 260 mmを4枚貼る
石膏ボード同士の接合部分に隙間が空くと音が漏れてしまうので、少々の歪みよりは接合部に隙間が出ないことを優先させてください。
③隙間をコーキング材で充填
目地にコーキング材を充填し、石膏ボード同士の隙間を埋めることで遮音性をアップします。
コーキング材はアクリル系でもシリコン系でも構いません。
2層目
①石膏ボード910 mm × 1820 mmを4枚使い、1層目と目違い貼りで目地部分が重ならないように貼る
継ぎ目が重ならない目違い貼りにすると隙間からの音漏れが少なくなり、遮音性能が上がります。
②③も1層目と同様にします。
2. 奥の壁(石膏ボード2枚+α使用)
①石膏ボード910 mm × 1820 mmを柱に留める
②③も左右の壁と同様にします。
3. 天井(石膏ボード2枚使用)
天井には、910 mm × 1820 mmの石膏ボードをそのまま2層重ねします。
ブース内側
【アイテム】
- 石膏ボード16枚
- ビス
- コーキング材
- グラスウール
【武器】
- インパクトドライバー
- 集塵丸鋸、カッター
- タッカー
- メジャー、定規
1. 床(石膏ボード4枚使用)
①石膏ボード4枚を770 mm × 1775 mmに切断
②床に1枚毎ビスで固定
※ブース内を移動する時は、石膏ボードを1枚入れてからその上を歩くようにしてください。
2. 壁・天井にグラスウール(吸音材)を充填
3. 天井(石膏ボード2枚使用)
①石膏ボード2枚を770 mm × 1775 mmに切断
②天井に1枚毎ビスで固定
※1 天井の貼り付けは2人以上で作業を行ってください。
※2 石膏ボードは壁より先に天井に貼ってください。仮に天井のビス留めが甘くても、壁の石膏ボードの厚み分で支えられます。
4. 壁(石膏ボード10枚+α使用)
①奥用:石膏ボード770 mm × 1915 mmの面積を各2層分用意
②横用:石膏ボード1750 mm × 1915 mmの面積を各2層分用意
③奥側に石膏ボード1層目を貼り、コーキング
④奥側に石膏ボード2層目を目違い貼りで貼り、コーキング
⑤左右の壁に石膏ボード1層目を貼り、コーキング
⑥左右の壁に石膏ボード2層目を目違い貼りで貼り、コーキング
※ ドア側の2枚目の石膏ボードはドア設置後に貼り付けます。
これで防音ブースの壁・床・天井が完成です!
ミッション2をクリアしました♪\(^▽^)/
なお、ここまでで勇者・並木と戦士(大工さん)の2人でさらに4時間ほど、計7時間ほどかかっています。
ミッション3. ドアの設置
次のミッションはドアの設置です!
価格を抑えるため、防音ドアではなく一般のドアを強化して防音性能を上げる工夫をしていきます。
上から見た石膏ボードのサイズとドア真正面から見たサイズを図10、図11に示します。
図10. 上から見たサイズ 図11. ドア真正面から見たサイズ
ドアの取り付け
1. ドア枠を差し込む
ドア枠がブースから35 mmはみ出るように位置を調節し、ビスを打ち込んでください。
ビスで押し込みすぎるとドア枠が歪んでしまうので、ビスを打つ位置の裏側にスペーサーとして薄ベニヤを挟んで隙間を調整します。
2. ドア枠の寸法が上下で合っていることを確認
3. ドアの「当たり」をサイズに合わせてノコギリで切断し、手で叩き込んではめていく
👉Point 縦勝ち(縦方向の長さが優先)で設置してください。
4. ドア枠と壁をコーキング(外側からも内側からも)
👉Point 幅広い部分をコーキングするときは、コーキング材の口を斜めに切ると量が多く出ます。
👉Point コーキングをならすようにふき取ると、しっかりと隙間を塞ぐことができます。
5. ブース内ドア側の、まだ貼っていなかった2枚目の石膏ボードを貼る
6. ドア枠の周りにも石膏ボードを2層貼る
ドア周辺に貼る石膏ボードのサイズを図12に示します。
7. ドアを差し込む
8. ドアの下端の隙間を埋めるために沓摺りを取り付ける
(ドア枠の内寸で切ってある30 mm高さの垂木をビスで床パネルに打ち込む)
ドアの防音性強化
ドアの遮音性能を上げるために、次の作業をします。
1. ドアの「当たり」に戸当たりテープを貼る
ドア本体とドアの「当たり」の間の気密を上げるために、「戸当たりテープ」(厚さ4 mm、横幅15 mm)を「当たり」の四方全てに貼ってください。
その際、ゴムパッキンなどが元からついていた場合は取り除いておきましょう。
引っ張りながら貼ると戸当たりテープの厚みが薄くなるので注意が必要です。
👉Point ドアにかするくらいがベスト!
2. ドアを遮音シートで3枚重ねして覆う
ドアの外側に「両面テープパネル用」(厚さ1.1 mm、横幅20 mm)で遮音シートを仮留めします。
ドアノブの部分は遮音シートに切り込みを入れて、ドアノブをめりこませるように外に出します。
遮音シートを貼ったら、落下防止のためにビスで固定します。
👉Point ドア本体より大きめに貼るのがコツです。
これでドアの設置完成です!
ミッション3をクリアしました♪\(^▽^)/もう少しです!
ミッション4. 性能測定
いよいよ、最後のミッションです!
周波数 [Hz] | 遮音性能(実測値) [dB] |
125 | 22 |
250 | 27 |
500 | 28 |
1,000 | 30 |
2,000 | 36 |
これはメーカーが販売しているブースの35仕様に匹敵する性能です。
実測値でここまで確保できれば、一般的な大きさの声・約60 dBが減衰されて32 dBになり、声を使ったゲーム実況やボイスチャットにはかなりの効果を発揮します。
ということで、ミッション・コンプリートォォォ!
なお、今後ブース内でもっと快適に過ごせるように適宜アップデートを図っていく予定です♪
<アップデート内容>
- 換気扇の設置 → 壁付けロスナイ
- 温度調節 → スポットクーラー
- 電気の引き込み
まとめ
予算10万円でDIYの防音ブースを創ってみました。
いかがでしたでしょう。悩める騒音難民の一部の方には道標となりましたでしょうか?
性能は500 Hzで28 dBほどですが、もしかして「これだけやってもここまでしか性能が得られないのか」と捉える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし音を減衰させることは難しいので、これ以上簡易的な方法ではさらに防音性能は落ちてしまいます。
「これだけ効果があるのなら取り組む価値がある」と思えたなら是非ミッションにチャレンジしてみてください。音魔王を防音室内に閉じ込めて、音トラブルを防ぐことができるかもしれません。
防音室に求められる性能は、利用用途により異なります。
まずは自分が何をしたくて防音室を求めているのか、それを実現するためにはどのくらい音が減衰すればよいのかを事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 換気や温度調節はどうすればよいでしょう。
A. 換気は壁付けロスナイ、エアコンは暖房不要のためスポットクーラーを考えています。
換気システムを整える前であれば、1時間ごとにタイマーをセットし息苦しさを感じたらドア開放を行ってください。
Q. 電源コードをブース内に引き入れたいのですが、どうすればよいでしょうか?
A. なるべく小さな穴を開けてコードを通し、エアコンパテという粘土を利用して塞ぐと穴からの音漏れを防ぐことができます。
Q. 今回は半ネジのみで、全ネジは使いませんでしたが、全ネジはどういう場合に使うのでしょうか?
A. 全ネジには次のような特徴があります。
・押し付けて固定する力は弱いが、引っ張って引き離そうとする力には強い
・ネジ頭が取れてしまっても締まったままの状態を維持できる
全ネジは一般的には半ネジの補強に使われることが多く、弊社では下地材に合板や石膏ボードを固定する際に使用しています。
Q. 斜めビス打ちが難しいのですが、どうすればよいでしょうか?
A. コストはかかってしまいますがL字金具などでも、もちろんOKです。
Q. 石膏ボード切るときに丸鋸の刃の厚さ(約3mm)で無くなってしまう分は特に気にしなくてよいのですか?
A. コーキングの処理時に調整しております。
Q. この防音ブースを2畳にしたいのですが、材料の長さを変えるだけでOKですか?
A. 2畳にすると、壁と床は大丈夫ですが天井は重さを支えられず中央が垂れ下がると予想されます。
天井のみ木材を45 mm × 90 mmに代え、90 mmの方を高さ方向に使うことで対策できるはずです。
Q. なぜ床は、壁や天井のように石膏ボード2層で挟まないで片面だけに4層を貼っているのですか?
A. 理由は3つあります。
・両面貼りの場合、床をひっくり返す作業が入るが、重いのでひっくり返すのが大変
・石膏ボードを床の骨組みの上から重ねても、天井や壁に貼った時のように剥がれ落ちてくる心配がない
・床の底面に石膏ボードを貼ると、荷重により防振ゴムに当たっているところなどが徐々に破損してくる
もし底面に貼りたい場合は石膏ボードより高価格ですが、合板がよいでしょう。
Q. なぜ壁や天井は、床のように石膏ボードを片面に4層重ねずに2層ずつに分けて挟んでいるのですか?
天井では石膏ボードを全て上に載せれば落下の危険性はなくなり、壁も全て外側に貼ればブース内の空間を広く使えると思うのですが。
A. 壁や天井を「石膏ボード+空気層(垂木幅)+石膏ボード」とし空気層を作らないと、音の減衰効果が薄くなるからです。そして、その空気層で起こる太鼓現象を、充填しているグラスウールで抑えています。
Q. なぜ床と壁・天井でグラスウール(吸音材)の密度を変えているのですか?
A. 床のグラスウールの方の密度を高くしているのは、土台となる床の作りで足音の響きが変わるからです。
吸音材は太鼓現象を防ぐために充填しているので、壁や天井の方のグラスウールを高密度のものに替えても遮音性能はアップしませんのでご注意ください。
Q. 設置場所が狭いので、壁にくっつけたいのですが防音効果は変わりますか?
A. ピタッとくっつけると壁に振動が伝わっていってしまい、防音性能が格段に落ちてしまいます。
部屋の壁とブースが60 cm以上離れていれば理想ですが、無理な場合は1㎝でもよいので隙間を開けるようにしてください。
完成してからブースを動かすのはメチャクチャ大変ですので(450 kgほど)、予め決めた場所で組み立てた方がよいでしょう。
Q. 金管楽器を演奏したいのですが、追加で施工する項目はありますか?
A. 管楽器演奏に対しては一般的な市販のドアでは性能が足りません。
スチール製の防音ドアが適していますが価格が高くなるため、この防音ブースを使うとなると、部屋の壁とブースを90 cm以上離して設置するのが望ましいでしょう。
Q. 合うサイズのドアが見つかりません。
A. 防音ブース自作の場合は、市販の寸法のドアでは高さが納まらないため特注サイズでのドアの発注となります。
今回の動画では
・横幅735 mm
・高さ1907 mm
にて一般ドアを建材メーカーに発注しています。
Q. 壁や天井の石膏ボードを3枚にしたら遮音性能はどれだけ向上しますか?
A. 石膏ボードを1枚足しても、性能は1㏈変わるかどうかです。
性能を5dB向上させたい場合、理論上は石膏ボードを4枚追加する必要があります。
さらに、壁・床・天井の性能が増してもドアの性能が及ばないため、スチール製の防音ドアを用意しなければなりません。
Q. 床の骨組みの下にグラスウールの繊維散布防止で薄いベニヤで底を作りたいと考えています。(下から防振ゴム→ベニヤ→垂木)何か不都合が生じるでしょうか。
A. 効果的です。性能にも影響しませんので、是非ご実施ください。
Q. 柱に石膏ボード貼り付けるときに、先に柱にコーキング材を塗っておくと遮音効果が上がらないでしょうか?
A. 後々ブースを垂直に保っていく際に動かなくなってしまうので、おすすめはしません。
Q. 遮音シートと石膏ボードでは、同じ重さの場合、遮音効果は同じなのですか?
A. 遮音シートの方が遮音性能は向上します。
しかし、遮音シートだけでは部屋を構成することができないため、両方を使っていくことになります。
Q. 引っ越しなどの際に、バラしてもう一度組み立てることは可能でしょうか?
A. 将来的に、解体して再度組み立てる可能性がある場合は、石膏ボードの代わりに合板を使うことを推奨します。石膏ボードは脆い素材なので、施工中や解体中にかなり痛んできます。
Q. 防音リフォームを業者さんにお願いした場合、部屋の家具は全て移動して空にしておかなければなりませんか?
A. はい。防音室施工をする部屋は何も無い状態が望ましいです。
床から工事を開始するので、家財を動かしながらの作業はできないからです。
Q. ここまで重さを増やしてこの数値だとすると、市販の15万円クラスの簡易防音ブースでは全然防音出来ないのではないですか?
A. お察しの通りです。
どんな音をどこに対してどれだけ防ぎたいのか?
そこから逆算をしたときに性能が不足しており、効果を実感できない場合が多いかもしれません。
Q. 防音室は自作した場合であっても固定資産税が発生するのでしょうか?
A. 自作した防音室には税金はかかりません。
購入した場合は、建物が自分の持物であればかかりませんが、賃貸物件であれば税金がかかる可能性もあります。
しかし、これはあくまで一般的な回答です。個々の状況に応じた正確な情報を知りたい場合は管轄の税務署などにご確認ください。
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