防音マンションの選び方のコツを伝授!
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
閑静な住環境のニーズが高まっている昨今、注目を集めているのが防音マンションです。
防音マンションを選ぶ理由としては、従来の「自宅で楽器演奏やボーカルをしたい」という動機に加え、この頃は「ゲーム配信をやりたい」という要望も増えてきています。
しかしこの「防音マンション」というワード、実は曲者です。
防音マンションと謳(うた)われている物件でも、防音レベルはピンキリだからです。
皆さんも、防音マンションなら全て高い防音性能を備えていると思っていませんか?
もしそうなら、今回は防音マンションの選び方のコツについてお伝えしていくので、是非防音マンションを選ぶ際の参考にしてみてください。
防音マンションの種類
一口に防音マンションといっても色々なタイプがあります。
まずはどんな種類の防音マンションがあって、どんな防音対策をしているのかをご紹介します。
タイプ1. 設計段階から防音に関して考慮している防音マンション
(防音レベル:☆☆☆☆☆)
設計段階から防音を考慮している防音マンションは、コンクリートの躯体構造から徹底した防音対策がとられています。
このタイプの防音マンションは、例えば次のような工夫を取り入れて防音効果を高めています。
- スキップフロアにする
- スラブを厚くする
スキップフロアとは、建物の床や天井の高さをずらして造った各階の中間スペースのことです。
壁に段差をつけることで音を伝える壁の面積を少なくし、近隣住人の部屋に届く音を弱める効果を狙います。
スラブとは鉄筋コンクリート造の建物の床や天井のことです。
スラブ厚は特に、重いものを落とした時に固体を伝わって届く重量床衝撃音に影響します。
防音マンションであればスラブ厚200 mm以上は欲しいところです。
このように設計段階から防音を考慮しているタイプの防音マンションは抜かりのない防音対策がとられているので、音トラブルとは無縁の生活を送れるでしょう。
タイプ2. リフォームや改装のタイミングで防音仕様にした防音マンション
(防音レベル:☆☆☆)
リフォームのタイミングで防音仕様に改装した防音マンションは、学生や単身者用の1 K(キッチン+1部屋)マンションに多くみられます。
しかし、音を伝わりにくくするには一部屋一部屋をきちんと間仕切りで区切って切り離すのが最適です。
そのため1 Kのようにキッチンと部屋が一まとまりの空間としてつながっている場合は、音が筒抜けになりやすく、高い防音性能はそれほど期待できません。
特に要注意なのが窓とキッチンの換気扇です。
窓は、壁・天井など部屋のパーツの中で最も音漏れしやすい箇所です。
開閉のためにどうしても隙間を設けないといけないからです。
窓での防音について詳しくは、こちらをご参照ください。
【ガラスでの防音は難しい!ガラス窓の防音方法を徹底解説】
また盲点になりがちですが、キッチンの換気扇からも音は出入りします。
キッチンでは火を使うので消音ダクトの取り扱いには特に注意が必要であり、換気扇への防音処置は非常に難しくなります。
換気扇の防音について詳しくは、こちらをご参照ください。
【意外な落とし穴!換気扇から音が漏れる?防音室の性能を下げない設置方法】
タイプ3. 居住者同士のルールで楽器演奏やペット飼育を可としている防音マンション
(防音レベル:☆☆☆)
楽器演奏やペット飼育が可である防音マンションでも、演奏時間や楽器の種類などの細かいルールは住人同士で相談して決めるところがあります。
その場合、音漏れはお互いさま♪ということで防音レベルは若干緩くなっているケースもあるようです。
こういったマンションでは、もし音漏れがしてきても寛容に受け流しつつ暮らしていく必要があります。
選び方のコツ
では次に、各タイプごとの選び方のコツをご紹介します。
タイプ1. 設計段階から防音に関して考慮している防音マンション
- 出してよい音量を数値で表している物件を選ぶ
「音量〇〇dBまでは出してOKです!」とはっきり数値で明示されていれば安心です。
そこまででなくても、D値・T値・L値(※)など具体的に把握できれば信頼できるでしょう。
(※ それぞれ壁、窓・ドア、床の遮音性能を表す数値)
D値・T値・L値について詳しくは、こちらをご参照ください。
【【集合住宅】防音しやすい音と防音しにくい音の違いと対策方法】
タイプ2. リフォームや改装のタイミングで防音仕様にした防音マンション
- スペースごとにきちんと間仕切りで区切られている物件を選ぶ
大きな広い空間が一続きになっていると音を遮る障害物がないので、音は伝わりやすくなります。
特に1 Kなどの単身者用の防音マンションなら、キッチンと部屋が仕切られているところを選びましょう。
タイプ3. 楽器演奏やペット飼育を可と謳っている防音マンション
- 演奏時間や楽器の種類が明確にされている物件を選ぶ
近隣住人との間で明確なルールが決まっていれば、無用なトラブルにつながりにくくなります。
どういった点を重視するかで納得できるルールは変わってくるので、自分の希望が叶う物件を探しましょう。
いずれのタイプの防音マンションでも、窓が二重窓(インナーサッシ)か、ドアが重厚かといったチェックは外せません。
窓やドアのように可動するための隙間がある個所は音漏れがしやすいためです。
また戸建てでも新築であれば、防音室を寝室や書斎と離して間にトイレや浴室を挟むなど、間取りを利用して効率的に防音を果たせます。
間取りを利用した防音について詳しくは、こちらをご参照ください。
【【防音】コストをかけずに間取りで防音する方法】
まとめ
このように、防音マンションといっても様々なタイプが存在します。
防音と謳われているからといって、それだけで安心して居住を決めてしまうのは早計です。
まずは自身が求める環境を明確にして目的に沿う防音マンションを選びましょう。
もし賃貸物件でマンションの防音化を考えているオーナーさまや貸主さまがいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡ください。
設計から施工までご協力いたします。
音について心配ごと・トラブル・疑問などがある方も、いつでもご相談くださいね。
安心できる音空間を提供いたします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 防音マンションは高額なのですか?
A. 一般的にはその地域の家賃相場と比較すると高めの価格設定になっています。
Q. 防音マンションは必ず鉄筋コンクリート造なのですか?
A. 木造や軽量鉄骨造では高い防音性は確保できないので、基本は鉄筋コンクリート造です。
Q. 防音マンションで音のデメリットはありますか?
A. 気密性が高く作られているので、室内で発生する音が響きやすくなることがあります。
その際は、吸音材などを貼ることにより対処できます。
吸音材の選び方・使い方について詳しくは、こちらをご参照ください。
【吸音材は、こう選ぶ!選び方のコツ・注意点を徹底解説】
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