車の騒音がうるさい!効果的な防音対策とは?!
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
YOASOBIのヒット曲「夜に駆ける」って、人間が夜中に走っているイメージですよね。
でもこれ、もし夜の住宅街を車で駆けてたら一気にロマンチックから遠ざからないですか?
むしろ迷惑?
ちなみに、スピッツの「夜を駆ける」という曲もあるんですが、こちらも疾走感あふれる隠れた名曲ですよ♪
ということで今回は、車の騒音を効果的に遮る方法を紹介します。
目次
車の騒音はどこから入ってくる?
迷惑な車の音は、一体どこから家の中に入ってくると思いますか?
答えは窓です!
窓の方が壁よりも遮音性が低いので、まどから侵入してくるのです。
そのため、外からの騒音に悩んでいる場合はまず窓を強化するのが最も効果的です。
窓への防音対策は通常2つあります。
防音カーテンと内窓です。
しかし、防音カーテンは車の騒音対策としてはおすすめできません。
防音カーテンは私たちの声よりも高音の領域で力を発揮しますが、低音である車の騒音にはほとんど役立たないからです。
防音カーテンについてはこちらでも述べています。ご参照ください。
【防音カーテンは効果があるのか防音工事のプロが解説】
一方、今ある窓にもう一つ内窓を追加する方法は非常に効果的です。
内窓で窓の遮音性能を壁と同じくらいにまで引き上げることで、静かな環境を手に入れられます。
内窓の具体的な製品としては
などがあります。
窓には、下枠が腰くらいの高さの「腰窓」や床と同じ高さの「掃き出し窓」があります。
防音カーテンを購入すると、腰窓用でも1万円、掃き出し窓用だと2~3万円ほどしてしまうので、そこに費用をかけるのであれば内窓の方に回した方がコスパがよいでしょう。
窓の防音を強化する方法
内窓とは
内窓は家の窓の内側にもう一組追加されるガラス層とサッシのことです。
インナーサッシや二重窓ともよばれ、防音性や断熱性が向上します。
内窓と混同しやすいのが複層ガラスですが、内窓とは次のような点が違います。
- 複層ガラス・・・1つのサッシに複数枚のガラスがはめ込まれたもの。断熱目的で使われているため、防音には特に効果なし。むしろ太鼓現象(※1)を引き起こし、音を増幅させる可能性もあり。
- 内窓・・・室内に、本来の窓の他にもう1組ガラス+サッシを付け足したもの。ガラス同士の距離が離れている、ガラスの厚さが異なる、といった点で太鼓現象が起こりにくく、防音対策として効果的。
内窓が防音に効果的であるポイントは、ガラス同士の距離や、元々のガラスと厚みや弾性力が異なるガラスを使う点です。
内窓についてはこちらでも述べています。ご参照ください。
【窓ガラスの防音事情 ガラスで音を防ぐことが難しい理由】
ガラスの特性
そもそも窓に使われるガラスはどういう物質なのでしょうか。
普段何気なく使っているガラスは、二酸化珪素SiO2を主成分とする物質で次のような特徴をもっています。
<ガラスの特徴>
- 密度:2.5 g/cm3ほど
- 弾性率:7.16×104 N/mm2ほど
- 光を通す
- 固い
- 粘性が高い
- 経年による性質変化がほぼない
- 熱が伝わりにくい
- 電気を通しにくい
この中で防音に関係してくる特徴は密度と弾性率です。
軽くて弾力性の低い物質ほど音を伝えやすいからです。
これはつまり、密度も弾性率も小さい材質ほど遮音性が低いということになります。
詳しくはこちらをご参照ください。
【防音室に最も重要な「重さ」と「防振」の話】
ここでガラスの密度と弾性率を、一般的な壁の材料として使われるコンクリートや木材(スギ)、防音ドアとして用いられるスチールと比較してみましょう。
表1. 各材料の密度と弾性率
密度[g/cm3] | 弾性率[×104 N/mm2] | |
ガラス | 約2.5 | 約8.0 |
コンクリート | 約2.4 | 約2.0 |
木材(スギ) | 約0.34 | 約0.7 |
スチール | 約7.85 | 約20.1~21.6 |
重くて弾力性のある物質、即ち密度も弾性率も高い材料が防音に向いています。
スチールはさすが防音ドアに使われるだけあって密度も弾性率も群を抜いています。
木材(スギ)はどちらも一番低く、防音には向いていないことがわかります。
ガラスはコンクリートと比べると密度はほぼ同じ、弾性率は高い値を示しています。
そのため、一見コンクリート壁よりもガラス窓の方が防音に優れているように感じます。
しかし、ちょっと待ってください!
壁の厚さと窓の厚さ・・・違いませんか?
壁の方がどう見ても分厚いですよね?!
壁はその厚さの分、遮音性も高くなっているのです。
従ってガラス窓の薄さでは、どうしても壁と同じレベルの防音性能を確保できないのです。
そして窓ガラスを開閉するために設けてあるサッシとガラスの間の隙間からも音が侵入してきます。
そのため窓は、家の壁・天井・床・ドアといった部材の中で、最も音に弱いウィークポイントとなってしまいます。
それでもガラスが窓として重宝されているのは、透明度が高く外からの光を取り入れるのに都合がよいという点からです。
部屋に人工的な照明だけで透明な部分が一つもなかったら、外の様子もわからず薄暗くて不健康ですもんね。
防音ガラス
このように防音に不向きなガラス材ですが、どうにかして防音面への効果を改良できないかと、新しい窓ガラスも開発されてきています。
その一つが防音ガラスです。
防音ガラスはガラス層の中に特殊なフィルムやガスを充填して挟み込んだ合わせガラスです。
音の振動を摩擦熱に変え音エネルギーを減らします。
この意味では吸音材の原理と似ているでしょうか。
防音ガラスに似ているといえば複層ガラスですが、こちらは特殊フィルムではなく空気層を挟んでいます。
何度もいいますが、防音効果には期待できないのでご注意ください。
そして特殊フィルムを真空に置き換えた商品もあります。
真空なら確かに媒質そのものがなくなるので、音も伝わりようがなく効果抜群ですね。
防音ガラス、複層ガラス、真空ガラスの使い分けは次のようにするとよいでしょう。
- 防音に特化 → 防音ガラス
- 断熱に特化 → 複層ガラス
- 防音・断熱どちらの効果も要る! → 真空ガラス
ということで、内窓を施工する際には是非防音ガラスや真空ガラスを使いましょう。
その際は、必ずサッシとの組み合わせにも気を配ってください。
窓ガラスだけ防音ガラスにしても、サッシとの隙間が広ければそこから音が漏れてきて意味がなくなってしまいます。
まとめ
車の騒音を家の中で聞こえにくくするためには
- 内窓をつける
- 内窓には防音ガラスを使う
という2つの対策を実施するのが最も効果的です。
車通りが多い道路や線路の近くに住んでいて騒音に迷惑している場合は、是非検討してみてください。
私たちBudsceneは皆さまが少しでも快適に過ごせるように、音の悩みを減らすことでお役に立てればと思っております。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 道路沿いの家で車の騒音で悩んでいます。
防音ガラスは、単板ガラス、複層ガラス、LOW-e複層ガラス、色々あると思いますが、どのガラスが遮音に効果ありますか?ガラスの厚みなども教えてください。
A. 既存のガラスによって効果の違いがありますが、防音合わせ複層ガラス FL3+A8+(FL3+FL3)が高い効果を得られるでしょう。
※2 FL3:フロート板ガラス3 mm、A8:中空層8 mm
Q. 外からのカラオケの音を防ぐには、YKKAP/プラマードUと大信工業/プラストのどちらがよいでしょうか。
A. 元々の窓のガラスの種類によって選択肢が変わってきます。プラマードでは設置できないガラスの種類(厚み)がプラストでは利用可能となるので、厚く重いガラスを使いたい場合にはプラストがおすすめです。
Q. 内窓を付けても車の騒音がうるさい場合、次は何をすれば効果がありますか?
A. 既存窓と内窓のガラスの種類はおわかりでしょうか?
内窓を含め3重窓にすると45 dB以上の減衰が期待できます。しかし通常の窓でしたら3重窓の設置は難しいので、新たな壁を追加するなど、別に工事が必要になるでしょう。また、壁よりも窓の性能が上回った場合には効果を感じられない可能性があります。
窓からの音の侵入が明らかに大きいと確証が得られれば3重にしてみる価値はあるかもしれません。
Q. 広い敷地で庭を快適に使いたいのですが、国道に面しています。防音の観点で塀を立てるとしたらどのようなものが良いでしょうか。コンクリートで高さがあるものですか?
A. 塀だけで防音効果を得ようとすると、高速道路などの防音壁のように高さもかなり必要となります。
眺望がかなり悪くなるので一般の住居ではおすすめできません。
Q. 家が木造だったら、防音ガラスにしても騒音はそこまで軽減されませんよね?
A. 木造住宅でも充分に効果があると考えます。
木造住宅の外壁の防音性は35 dBほどの減衰値と予測され、一般的なガラス1層だけではそこまでの減衰値に届かないからです。
Q. 賃貸なので内窓を設置できない場合、対応策の限界は何になりますか。
A. ハメ込みのパネルを合板や木材で組み、グラスウールを充填するのが効果的です。
ですが、賃貸の場合でも内窓は将来的な入居者さんにとってメリットとなるので、大家さんや賃貸会社に交渉したら許可がおりるかもしれませんよ。
Q. 窓に貼り付けるノイズキャンセリング装置は効果ありますか?
A. ノイズキャンセリングの周波数域は結構限定されています。車の騒音が、ノイズキャンセリングのカバーしている周波数域に入っているかどうかが決め手となるでしょう。
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