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トイレからの音漏れを防ぎたい!トイレの防音対策

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皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

一緒にいる人に、急に「レコーディングに行ってきまーす!」「お花摘みに行ってくるね♪」と言われたらビックリしませんか?

レコーディング_花摘み

 

訳すると、両方ともトイレに行くという意味なんだそうです。

レコーディングは音入れ=おトイレという語呂合わせから、お花見はご婦人が慎み深く遠回しに表現する時に使うとのこと。

本当にトイレに音が入ってそのまま出てこなければ、苦労なく嬉しいのですが・・・。

今回は、お問い合わせの多いトイレの防音対策についてお話していきます。
トイレを流す音を外に漏らしたくない場合は是非参考にしてみてください。

防音しにくいトイレ事情

トイレは設計上、防音しにくい構造になっています。

それは何故か。

「トイレ=匂いの発生する場所」であるので、空気の入れ替え・換気がよくできるように隙間を多く設けて作られているからです。

トイレのドア事情1

家庭トイレの多くは換気扇で空気を外に排出しドアの下に設けたアンダーカットという隙間から空気を取り入れているため、空気の出入りが多く音が漏れやすくなっています。

アンダーカット

 

ドアの上に隙間を設けるトップカットをたまに見かけますが、こちらの方が水の流れる音源個所から隙間が遠くなるので防音に適しています。
これからドアを新設したり取り替えたりする場合は、トップカットを検討してみてください。

トイレのドア事情2

トイレのドアの場合、防音ドアも採用しにくくなります。

防音ドアでは給気ができないためです。

せっかくスチール製などの高価な防音ドアにしても、アンダーカットなどのスリットを入れては意味がなくなってしまいます。

そのため防音ドアを使用して、かつ給気をするには、壁や天井にもう1つ換気扇や給気口を取り付けなければなりません。

しかし換気扇や給気口を付けようとすると、防音ドア(建物の内側)に付けることはできないので、建物の外側から給気することになります。
すると排気口と給気口が近くなり、ショートサーキットでの空気交換になってしまいます。
ショートサーキットでの換気は同じ空気が狭い空間を巡る結果、不衛生な空気が循環することになります。
新鮮な空気を取り込めず換気効率が悪いので、酸素供給の面でも匂いの面でも好ましくありません

また、トイレの換気は、2003年から建築基準法で義務付けられた24時間換気システムにおいて第3種換気(※)を担っていることが多いため、ショートサーキットでは不都合です。

こういった事情のため、防音ドアはトイレと相性が悪いのです。

※ 換気の種類

  • 第1種換気・・・給気・排気とも機械換気で行う方式
  • 第2種換気・・・給気を機械換気、排気を自然換気で行う方式
  • 第3種換気・・・給気を自然換気、排気を機械換気で行う方式
  • 第4種換気・・・給気・排気とも自然換気で行う方式

トイレの音漏れはここからも!

トイレにはドア以外にも重要な音漏れ箇所があります。

それは

  • 給水管
  • 排水管

の2つです。

給水管と排水管は床や壁に穴を空けて配管されます。
そのためトイレを流す音は、空気を伝って聞こえるだけではなく、床や壁など直接建物を伝って響いてきます

トイレを流す時の音の大きさは?

さて、ではトイレを流す音の音量はどのくらいなのでしょう。

実際に騒音計で測定したところ、音の大きさは500 Hzで70 dBくらいでした。

これは、一般的な壁で仕切られた隣の部屋には50 dBほどで聞こえます。

50 dBとはどのくらいの音量かというと、一般的な話し声よりも少し小さいくらいです。
建物の外での昼間の環境騒音(日常生活で生じる雑音全般)程度であり、騒がしいと感じる場合も十分あるでしょう。

次に解説する対処方法では「70 dBくらいの音をどこまで落とせるか」というのをテーマにしていきます。

対処方法

具体的な対策としては、次の方法を推奨します。

現在使っているトイレの場合

既に今現在使っているトイレを防音したい場合は、壁に次のどちらかの施工をすることが効果的です。

  • 石膏ボード2枚貼り
  • 石膏ボードの間に遮音シートをサンドイッチ状(石膏ボード1枚+遮音シート+石膏ボード1枚)にして貼る

これでは物足りないと感じるケースもあるでしょうが、壁にはこれ以上費やしても意味がありません。

給水管と排水管からも音が伝わるので、壁だけを強化しても防音効果には限度があるからです。

壁のDIYに関してはこちらで詳しく述べています。
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】
どうぞご参照ください。

これからトイレを設計する場合

新築の家などでトイレをこれから設計する場合は、以下のことに気をつけてください。

間取りを工夫

間取りを工夫することにより、トイレの音に悩まずに暮らすことができます。

間取りで重要な点は、居室をトイレに隣接させないことです。

水回りの関係で、トイレの横は洗面所や浴室になっている家が多いのですが、これは防音面でも非常に有効です。

どうしてもトイレの横を居室にしなければならない場合は、押し入れやクローゼットといった収納を1つ挟むとよいでしょう。これで居室に響く音はかなり軽減します。

トイレの両脇の片面がクローゼットやシューズクローク、もう片面は洗面所、のような間取りにできるとバッチリです。

間取りでの防音に関してはこちらで詳しく述べています。
【【防音】コストをかけずに間取りで防音する方法】
どうぞご参照ください。

ペーパーホルダー

紙を巻き取る時の、カラカラというペーパーホルダーの音も侮れません。

ペーパーホルダー

 

ペーパーホルダーは壁に設置されているので、カラカラ音が直接壁を伝って隣室に届きます。

そのためペーパーホルダーは居室側につけないようにしましょう。

トイレのドアは見えないように!

リビング近くにトイレを設置する場合は「ドアが見えない位置に設置す」ことも重要です。

え?!そんなこと?と思われるかもしれませんが、「ドアが見えない=間に音を妨ぐものがある」というだけで音の聞こえ方が大分変わります。

まとめ

トイレの音を防音をしたいというお問い合わせを結構いただきます。
しかしトイレはそもそも換気を前提としているので隙間が多く、給水管・排水管もあるため防音が難しい場所です。

そのためトイレの音を気にせず生活するには、間取りで防音することが最も効果的です。
これから新築やフルリノベーションでリフォームをする際には、トイレに隣接して居室を配置しないよう間取りに着目してみてください。

私たちBudsceneは暮らしの中での音との上手な付き合いを応援しています。
様々な防音情報を発信していますので、音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。
新築・リフォームどちらでもご満足いただけるように対応いたします。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. トイレが狭くて石膏ボードや遮音シートを壁に貼ることができません。
どうすればよいですか?
A. 費用がかかってしまいますが、タンクレストイレやシステムトイレなどに替えると空間を広く使うことができるでしょう。

タンクレストイレ

 

Q. 車イスでも使いやすいようにトイレのドアを引き戸にしたいのですが、防音性は変わりますか?
A. 引き戸はドアを横にスライドさせるために隙間が多いので、開き戸に比べて気密性が低くなります。
そのため、音や匂いが漏れやすくなるのは否めないでしょう。

トイレのドア

 

Q. 擬音装置は付けても大丈夫でしょうか?
A. 擬音装置はトイレを流す音ではなく排泄音を配慮したい場合に活躍します。
ただし「トイレの周りに対して音を聞こえにくくする」という観点で考えると、トイレの中ではなく外で音が鳴っている方がより効果的です。
もう少しマイルドに音を緩和したい場合は、トイレ外にスピーカーなどを設置して音楽を流すというような手もあります。

関連動画

【トイレの防音対策!お悩み相談で多いのがトイレの防音!プロが考えるトイレ防音の価値と限界について解説!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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