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響きを追求!理想の音空間を実現するには?!

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皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

防音回文を思いついたので披露させてください♪

「よし、防音ネタでアイディア出たねん♪応募しよ!」
(よしぼうおんねたであいでぃあでたねんおうぼしよ)

まぁ実際にアイディアが出たら、応募する前に自社で実行しますけどね!(≧▽≦)

さて、良質の音にこだわるためにルームチューニングをしたい!
自宅で楽器演奏や録音をしたいのに音の響きに満足できない!
といった悩みをよく聞きます。

今回はそういった室内の音環境を改善したい方へ、心地よい音空間とはどういうものなのかを解説していきます。
1人ひとりの感じる「心地よさ」は違いますが、ルームチューニングの際の試行錯誤の参考になればと思います。

響きを心地よくするための方法

響きを心地よくするための方法としては、主に次の方法があります。

  • 吸音材の利用
  • 室内に平行な面を作らない

では、実際にどうやって音環境を整えているのか、原理や実例、注意点と共にみていきましょう。

 吸音材の利用

吸音材は、空気を伝わる音のエネルギーを熱エネルギーに変えて音を減衰させます
これは、振動している空気が吸音材にあいている無数の小さな穴を通過すると摩擦が起こることを利用しています。

また、吸音材の穴にぶつかることで音が乱反射し、音が弱まる効果もあります。

主に中~高域の音に効果を発揮し、反射音が無駄に長くならず響きを調整することができます。

吸音材の原理についてはこちらで詳しく述べています。
【吸音材は、こう選ぶ!選び方のコツ・注意点を徹底解説】
ご参照ください。

吸音材を使っている建物の代表例

音の反射を考慮して設計されている建物といえば、映画館やライブハウスです。

壁も天井もソーラトン(岩綿吸音板)やグラスウールなどの吸音材で覆われており、音響が意識された作りになっています。

岩綿吸音板

図1. ソーラトン(岩綿吸音板)の天井

また、映画館やライブハウスはデッドな空間(音が響かないスペース)でも音がギューッと締め付けられる感じがしないことが特徴です。
それは天井高も含め、広い空間を確保できるので音が充分に拡散されるからです。

そのため一般の家と同じ素材で建築されていたとしても、圧迫感がある空間にはなりにくいのです。

音調整は「適度」にしよう!

ただし、吸音材の貼り過ぎには気をつけてください。

ルームチューニングする時はつい反射音を抑える方向に考えがちですが、逆に対策をし過ぎると音がボツボツ切れてしまい、せっかくの音を楽しめなくなるからです。

また、吸音材にも種類があり材質によって対応周波数(音域)が違ってきます
さらに、同じ材質でも密度や厚さ、背面にどのくらい空気層を設けるかといった設置の仕方でも得られる効果が変わります

吸音材の特性についてはこちらで詳しく述べています。
【吸音材は、こう選ぶ!選び方のコツ・注意点を徹底解説】
ご参照ください。

意図していない周波数の音に影響がでると、音のバランスが崩れ、逆に快適な音環境から遠ざかるので注意しましょう

平行な面を作らない!

室内に平行な面を作らないようにするのは、音が平行面で延々と反射を繰り返す現象・フラッターエコーを防止するためです。
フラッターエコーは図2. のような形状の箇所に発生しやすいので、設計時から予め対策しておくことが重要です。

フラッターエコー

図2. フラッターエコーの発生しやすい形状
(出典:株式会社鴻池組 技術広報誌ET 「室内音響の改善に関する事例」

平行な面を作らないようにしている建物の代表例

平行な面を作らないようにして理想の響きを実現しているのが、コンサートホールやシアターです。

コンサートホール

図3. コンサートホールやシアターの会場内

天井には勾配やカーブがついており、平らな面にならないように工夫が凝らされています。

また、壁どうしも平行な面にならないように設計されています。
ノコギリ型の壁やブロック状の凹凸がある壁にすることで、音の拡散効果を狙います。
壁がステージから後ろに向かって客席数が増えるような感じで広がっていったり、逆に段々狭まっていったりするホールもあります。

コンサートホール_壁図4. コンサートホールやシアターの壁

床に関しては、観覧のためにステージの前方座席よりも後方座席の方が階段状に高くなっており、これは音響面でもプラスの効果をもたらしています。

施工実績

住宅の中の防音室でもコンサートホールのような響きが理想なのですが、部屋の広さにかなり余裕がないと実現できません。
スペースがとれないと、勾配天井や斜め壁の施工が難しくなるためです。

しかし、工夫次第では実現可能なケースもあります

実際に私たちが手掛けた物件を、一部ですが画像でご紹介します。

バドシーン実績例

図5. Budscene施工例

弊社ではできるだけ吸音材を少なくすることによって、サスティーンと呼ばれる余韻を綺麗に聴かせるような空間を目指しています。
そのため斜め壁や勾配天井を取り入れ、心地よい響きが生まれるような工夫をしています

部屋がもし狭くても、天井や壁に勾配を少しつけるだけで音の響きは変わってきます。
音環境について不明なことや迷っていることがあれば、是非弊社へご相談ください。
快適な音空間創りに取り組むとしたらどんなことができるのか、部屋の広さと勾配の加減、吸音材の使い方、その他防音に対する色々なご質問にお答えします。

まとめ

音空間創りの最終目的は「心地よい響き」です。

実現するためには

  • 吸音材の適切な利用
  • 室内に平行な面を作らない

という2点を押さえましょう。

吸音材は増やし過ぎると、逆に音が細切れになり無味乾燥に感じてしまうことがあります。
決まった周波数域にしか影響しないので、音のバランスが取れなくなることもあり、注意が必要です。

また天井と床や、壁どうしを平行にしないように工夫して、フラッターエコーを抑制することも大切です。

映画館やコンサート会場を訪れる機会があれば、是非内装を観察してみてください。
壁面や天井が吸音材や柔らかめの素材で仕上げられていたり勾配が付いていたりと、至るところに工夫が施されているはずです。
「こういう作りにすることで音を拡散し、より心地よい響きを作り出しているんだな」と発見できると思います。

私たちBudsceneは皆さまが少しでも快適に過ごせるように、音の悩みを減らすことでお役に立てればと思っております。
求められた品質をしっかりと実現できる防音室を提供しておりますので、音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご依頼・ご相談ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 吸音材の吸音率はどうやって算出しているのですか?
A. 残響室という残響が長く続く部屋において、吸音材の試料が有る状態と無い状態で残響時間を測り算出します。

Q. 残響室とはどういう部屋なのですか?
A. 音響実験室の1つで、拡散音場(※1 音が伝播していく確率がどの方向にも等しい空間)を人工的に再現した部屋です。
室内をコンクリートやタイルなど反射率の高い素材で覆い、できるだけ残響が長く続くように施工されています。
拡散板が吊るされていたり、非対称や多角形に構築されたりなど、独特のフォルムで設計されます。
室の容積も必要であり、吸音材の吸音率測定の際は100 m3以上、遮音材の透過損失値測定の際は150 m3以上と規定されています。

残響室

(残響室①出典:日本音響エンジニアリング株式会社 設計・施工サービス 「残響室」
(残響室②出典:Wikipedia「残響室」よりドレスデン工科大学の残響室

Q. 残響室とは正反対の性質を持つ無響室という部屋もあると聞きました。
無響室とはどういう部屋なのですか?
A. 音響実験室の1つで、自由音場(※2 反射・屈折・回折・干渉など境界の影響がない、音の直進が妨げられない空間)を人工的に再現した部屋です。
室内を吸音面で覆って反射音をできるだけ少なくしてあり、音源から直接出ている音だけを調査するために利用されます。
対象音の周波数、室の容積、吸音面の性能により自由音場の範囲が変わります。
家電や自動車など様々な製品が実験対象となり、用途によって次の2つの無響室を使い分けます。

  • 完全無響室・・・全面が吸音面で測定精度が高い。軽いものを測定対象とする。
  • 半無響室・・・5面が吸音面で床のみ反射面。重いものを測定対象とする。
無響室

Q. 吸音材の購入もリフォームも費用がかかるので手がでませんが、フラッターエコーを防ぎたいです。
A. 床にラグやマットを敷くだけでも若干効果があります。

Q. 部屋改造は手探りなので、どこまですればよいのか迷っています。
A. 室内の響きは、気になり始めるとゴールが見えなくなることがありますよね。
人によって部屋に求める響きは違うので、少しずつ手を加えて様子をみながら理想の空間を手に入れましょう。

Q. コンサートに行き、タイムリーに大箱特有の音のやかましさを実感したところです。
サンプラザのホールで行われた別のコンサートでは、すり鉢構造+吸音、多角度の反射構造で、一切聴き疲れしませんでした。各楽器の音の分離や粒立が優秀でフラッターエコー無しでも詰まった感じのない伸びやかな音でした。
A. 実際の貴重な体験のシェアをありがとうございます。
内装まで細かく見てきてくださって嬉しいです♪

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【【音空間創り】良い響きの空間は◯◯◯◯◯です!演奏も宅録も響きで心地よさが変わります!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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