マンションへの防音室施工のノウハウを公開!戸建て住宅との違いとは?!
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
下の2枚の絵には違うところが5ヶ所あります。
一体どこでしょう?
答えは・・・
左の絵→右の絵の順に
- 時計の時刻(4時→8時)
- 養生シート(青→赤)
- ドア(スチール製→木製)
- 換気扇→エアコン
- 消火器→ペンギン
でした♪
おわかりになりましたでしょうか?
この左の絵の5ヶ所、実は防音室の集合住宅ならではの施工事情と関係しています。
今回はその集合住宅独特の施工ノウハウについてお話していくので、是非間違い探しでの答えと照らし合わせながら読んでみてください。
目次
マンションでの施工は難しい
マンションのような集合住宅の防音室は、戸建て住宅への施工より難易度が上がります。
それは集合住宅の方が、より高い性能が必要な環境であり、作業条件も厳しくなるためです。
主な理由を挙げます。
<より高い性能が必要になる理由>
- 同じ建物内に対する防音のため
- 静かな室内に対する防音のため
<作業条件が厳しくなる理由>
- 施工時間に制限がある
- 養生範囲が広い
- 搬入経路の確保が難しい
- 換気経路の確保が難しい
- 消防設備の撤去・復旧が必要
1つひとつ詳しく説明していきますね。
性能面での問題
マンションでは次のような理由から、求められる防音性能が高くなります。
同じ建物内への防音
戸建て住宅の場合、音を漏らしたくない対象の場所である近隣の家は、自宅とは別の建物です。
そのため、音が伝わる際に「自宅の壁→庭や道路などの空間(空気層)→隣の家の壁」という3段階を経て相手に届くことになります。
しかしマンションなどの集合住宅では壁や天井、床で近隣住居と直接つながっています。
この場合、「自宅の壁=隣の家の壁」「自宅の天井=上階の床」「自宅の床=下階の天井」となり、1段階しか間に挟まないので、遮音性能の確保が難しくなります。
静かな室内への防音
音を漏らしたくない対象が室内であることも、防音のしにくさに拍車をかけます。
同じ音量でも、外の騒がしい環境で聞くのと静かな部屋の中で聞くのでは音の気になり具合が違ってくるからです。
外で発生している環境騒音(日常の雑音全般)は、一般的には昼間で45 dBほど、夜間で35 dBほどで、振り幅を考えても大体30~50 dBほどの数値感です。
環境騒音が大きければ大きいほど、防ぐべき音は環境騒音に紛れて聞こえにくくなります。そのため環境騒音が小さいほど、防音対策は難しくなります。
室内の環境騒音は昼間でも30 dB、夜間には15 dBほどに落ち込むので、室内への防音は、室外への対策よりも性能を上げる必要が出てくるのです。
防音性能を上げるのにも限界があるので、特にマンションでの打楽器に対する防音は間取りなどの条件が整っていないと弊社でもお請けしないことがあります。
作業面での問題
施工時間の制限
マンションによっては土・日など休日の音出し工事が禁止されていることがあります。
平日でも朝9:00~夕方17:00までというように作業時間が決まっていることが多く、短い時間で効率よく施工することが求められます。
資材から生じるゴミなども、いちいち捨てていると間に合わないのでバルコニーに集めておいて産業廃棄ができるタイミングにまとめて出すなど工夫が必要になります。
養生範囲が広い
養生とは、工事範囲外の領域が汚れたり破損したりしないように保護することです。
マンションは、資材を運ぶトラックの駐車場所から工事を行う部屋まで、廊下やエレベーターを経由するので搬入経路が長くなりがちです。
その分養生の範囲も広くなり、かかる時間も手間も増えます。
朝に養生して資材を運び、帰りには全部撤去しなければいけない物件もあるので、限られた時間内でいかに迅速かつ丁寧に作業するかがカギとなります。
搬入経路の確保
資材を運ぶ距離が長いということは、狭い場所や方向転換しなければならない箇所が増え、複雑な経路になってきます。
するとピアノなどの大きな楽器がどうしても部屋に入らない場合がでてきます。
そういう時は最後の手段として、壁を壊してドアや窓の開口部を大きくするしかありません。
開口部が大きくなると隙間も大きくなるので、その分はドアをスチール製の防音ドアにしたり、窓のガラスサッシを二重・三重にしたりして防音性を確保します。
ちなみに、私たちは万全を期すために、マンションの搬入ではプロの荷揚げ屋さんに資材を運んでもらいます。
荷揚げ屋さんは重たいものを持っても体がよろめいたりせず、安全に資材を運んでくれるので大変助かっています。
換気経路の確保
集合住宅は戸建て住宅と違い、空気を屋外と循環させることが難しい場合があります。
そういった時は住居空間内で換気しなければならないので、防音室とリビング、防音室と寝室というように、間取りと相談して環境を考慮していく必要があります。
集合住宅用の消防設備の撤去・復旧
集合住宅の場合は、火災報知器、スプリンクラー、非常放送などの撤去・復旧も施工に含まれてきます。
規定に沿って設置しなおすので、とても手間がかかります。
近隣との関係が性能保証に影響する?!
マンションへの防音室施工の最後のミッションとなるのが、弊社が重視している防音室施工後の性能保証です。
音の正確な減衰数値は、音漏れさせたくない対象の場所(=近隣の住居内)で測定しなければならないからです。
戸建て住宅だったら建物の外で「どのくらい音が弱まったか」という測定データを取ることができるのですが、集合住宅だと近隣の住居にお邪魔しなければなりません。
しかし、近隣の方全員が快くOKしてくださるとは限らないので、こればかりはどうしても制限がかかってしまうのです。
直接の性能測定が叶わなかった場合は、仕方がないので漏れ出る音の大きさを推測するかたちになってしまいます。
まとめ
今回は、防音室施工における集合住宅ならではのノウハウについてお話ししました。
集合住宅だからこそ、周りへの配慮として防音を考える機会も多いと思います。
そんな時は是非我々にお気軽にご相談ください。
まずは間取り図や部屋の写真をいただいた後、概算の見積もりを出したり防音のプランを練ったりいたします。(もちろん無料です。)
弊社はマンションの施工実績もたくさんございますので、求められた性能をしっかりと実現した防音室を提供いたします。
防音室のご依頼以外も音についての心配事・トラブル・疑問などありましたら、電話やメール、LINEで受け付けておりますのでいつでもご連絡ください。
もちろん、弊社へのご訪問もお待ちしております♪
併設カフェでゆっくりご相談に乗らせていただきます。
興味がありましたら是非防音ルームもご体験ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 現在、寮で生活をしている学生です。
建物の壁がすごく薄いようで、友達とゲームをしていると隣の住人から音がうるさいと苦情がでてしまいました。
どうすればよいでしょうか。
A. DIYで壁を強化するのはいかがでしょう。
こちらをご参照ください。
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】
Q. 二段ベットに防音対策しようと思っています。
同じ部屋にいる家族に、歌ったりボイスチャットをしたりしているとうるさいと怒られるためです。
ベッドの周りに段ボール、石膏ボード、遮音シート、吸音材の順に貼り付けて、1 m2あたり4 kgくらいになる予定です。効果はあるでしょうか?
A. そのくらいの荷重の場合、音は5~10 dB程度減衰されると予想されます。
熱の入った声量が一般的な話し声程度になる程度でしょう。
しかしそれ以上重さを増すとベットが荷重に耐えられない可能性があるので、さらに重くするのはおすすめしません。
Q. 上階の走る音がうるさいのですが、防音室を作るとマシになりますか?
A. まずは発生している騒音がどれくらいの音量なのか数値化して確認してください。
その音量より大きい遮音性能の防音室であれば、効果があるでしょう。
音量を把握するにはこちらをご参照ください。
【プロが教えます!必要な防音性能を確実に調べる方法とは】
【スマホの騒音計アプリで防音対策!】
【外がうるさい!防音したい!】
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