少しでも防音したい!少しを5 dBにした場合、違いに気づく?気づかない?
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
外からの騒音を少しでも防ぎたい!自分の出す音を少しでも聞こえにくくしたい!
そう思っている方はたくさんいらっしゃると思います。
でも、その「少し」ってどのくらいでしょう?
具体的に何dBを想定していますか?
今回は、「少し」がどのくらい積もれば山になって防音に効果があるのか検証していきます。
「少し」を5 dBと仮定
「少し」の音量を5dBと仮定します。
何故か?
「少しでも防音したい」と思った時に、着手しやすい施工法で性能向上できるのが約5 dBほどであるためです。
キリもいいですしね♪
例えば「遮音シートと吸音パネルを貼ったら効果ありますか?」という質問をよくされるのですが、その施工法で得られる効果は、低音の場合「5 dBほど」です。
検証した結果があるので、詳しくはこちらを参照ください。
【遮音シートと吸音パネルを足したら防音性能はどうなった?】
5 dBの音量差はどのくらい?
では5 dBの音量差とは実際にはどのくらいなのでしょうか?
他の単位なら
- 5円 → 5円チョコを買える金額
- 5 g(グラム) → 小さじ一杯分の水の重さ
- 5 m(メートル) → 一般的な車の長さ
と何となく想像がつきますが、5 dBといわれてもあまりイメージがわきませんよね?!
そこで実際に体感してもらうために、下記の動画で「5 dBずつ音量を変え、どのくらい聞こえる度合いが違うのか」を検証してみました。
【少しでも防音したい!とお考えの方【必見】少しだけ…を5dBの防音性向上と仮定した際に、実際に気づく?気づかない?を解説】
ピンクノイズで60 dB、55 dB、50 dBの3段階の音量が再現されるので、是非違いを聞いてみてください。
騒音計はC特性を使っています。
それぞれの開始時間は次の辺りです。
- 60 dB → 6:20~
- 55 dB → 6:32~
- 50 dB → 6:47~
・・・いかがでしたか?
5 dBの違いを認識できたでしょうか?
5 dBの音量変化は、その場で急に変化するなら何となく気づくかもしれません。
しかし、一回その場を離れて戻ってくる間に変化していた場合、恐らく気づかないでしょう。
5 dBとはそのくらいの微妙な音量差なので、防音性能が5 dB向上しても残念ながらあまり効果を実感できません。
さらに騒音計の数値もブレがあるため、5 dB程度は誤差の範囲に含まれます。
防音できた!のボーダーラインは?
防音性能が5 dB高くなっても、実は改善したかわからないくらいのレベルです。
ではどのくらいの防音性能だったら、防音できたと実感できるでしょう?
聞く側や周りの環境にもよりますが、明らかに変わったと体感できるのは10 dBからでしょう。
15 dB防音性能を向上させることができたら、「大幅に改善したな」ということが認識できるはずです。
「少しでも防音したい」は危険ワード
防音において重要なことは
- どんな音を
- どこに対して
- どれだけ
防ぎたいかです。
どんな音を、というのは音の周波数(高低)や音が発生する時間帯といったことを指します。
どこに対して、というのは音を伝えたくない場所が隣室なのか隣家なのか、上下階か、それとも外からの音を自室に防ぎたいのかというようなことです。
どれだけ、とは音量のことです。
本来なら、防音はこの3つを考慮してゴールをセッティングし、金銭的な面も含めて施工方法や使う材料などを決めていきます。
そのため、「少しだけ」とか「とりあえず」とかで見切り発車すると、手間・時間・費用が無駄になるだけで、全く効果を得られません。
防音を成功させるためには、信頼できる情報に基づいて計画を立て、正しい方法で防音対策を実施することが大切です。
まとめ
防音を考える時、人の耳は5 dBの差に気がつくのか、5 dBの防音性能向上で役に立つのかを検証しました。
5 dBほど防音性が増したところで、認識できるほど音量が減るわけではありません。
気がつかないような小さい音量差のためにお金を使うより、きちんと効果を実感できる数値を明確にしてゴール・セッティングをし、計画的に防音対策をしましょう。
私たちBudsceneは様々な正しい防音情報を発信していますので、是非DIYの参考にしていただければと思います。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 5 dB防音性能を上げるには、音を遮る材料の重さをどのくらいアップさせるとよいのですか?
A. 質量則によると、元の材料の約2倍は重くする必要があります。
そのため、既に元の重さがあればあるほど(防音性能が高いほど)そこからさらに防音性能をアップさせるのは難しくなります。
たかが5 dBされど5 dBで、防音効果は少ないですが、性能を5 dB上げようとすると意外と大変なのです。
Q. 集合住宅で、お隣のガス発電の給湯暖房システムの室外機が動くと、我が家は10~15 dBほどうるさくなります。
木の板の防音壁のようなものはついていますが、ヘリコプターやトラックのような騒音がうるさいので苦情を伝えたところ、聞こえる方が悪いと返答されて困っています。
A. 防音壁といっても、壁の高さ3倍くらいの高さがないと音が回り込んできてしまい、効果は薄いでしょう。
部屋の中では一般的に窓の防音性能が一番低いため、そこから音が入ってきていると考えられます。
まずは窓の遮音性能を、次のように計算してください。
遮音性能=室外での騒音値(機器稼動時)-室内の騒音値(機器稼働時)
騒音値は騒音計スマホアプリで測定できます。
現在の窓の遮音性能が20~25 dBであれば、内窓の設置で騒音問題を解決できるはずです。
しかし、既に30~35 dBの遮音性能がある場合には、残念ですがあまり効果を得られません。
ヒートポンプの音のような振動から発生する低音は、簡易的な方法では改善できないとお考えください。
Q. アパートの壁が薄く、隣人のイビキに困っています。
ワンルームで狭いこと、数年で退居が決まっていることから大規模なDIYは避けたいのですがどうすればよいでしょう。
スマホアプリの騒音計で測定したところ、無音時は20〜25 dBほど、イビキ発生時は30 dBほどでした。
A. 本来であれば、【壁の防音性能をDIYで上げる方法】の施工をおすすめするのですが、大規模なDIYは避けたいとのことでしたので、次のような処置をおすすめします。
- 家具を隣室側に並べる
- 家具で覆えない壁の見える部分をダンボールに書籍など入れて覆う
イビキは空気を伝わって届くので比較的防音しやすく、簡易的な処置でも効果がでると思われます。
関連動画
【少しでも防音したい!とお考えの方【必見】少しだけ…を5dBの防音性向上と仮定した際に、実際に気づく?気づかない?を解説】