そんたくなし!「だんぼっち」の遮音性能を検証、結果を発表!-検証企画第2弾-
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
今回は大人気!検証企画第2弾です。
先日、お客様から市販の防音ブース「だんぼっち」を譲っていただいたので、この機会に遮音性能を測定してみようと思います!
以前も市販の別な防音ブースの性能検証をしたことがありましたが(【忖度なし!市販の防音ブースの遮音性能を検証、結果を発表!】)、今回は果てさてどうなるでしょうか?
防音ブースの仕様
今回、測定するのは「だんぼっちグランデ」です。
仕様は表1. の通りです。
表1. だんぼっちグランデの仕様
製品名 | だんぼっちグランデ |
記載されている遮音性能 | 不明 |
メーカー価格 | 127,500円(税込み・送料別途) |
構造 | パネル組み立て式 |
材質 | ハニカムダンボール |
サイズ | ・外寸:W1,100×D1,100×H2,100 mm ・内寸:W1,040×D1,040×H1,920 mm |
重さ | 約35.52 kg |
譲ってくださったお客様が既にカスタマイズしているので、まずは元通りにしていきましょう。
そもそもだんぼっちを譲ってくださった経緯が、だんぼっちを購入したものの性能が足りない→遮音シートや鉛シートでカスタマイズしてみた→近隣からの苦情がやまなかった→防音室施工に至る・・・ということだったんですよね💦
だんぼっちの場合、接着剤やガムテープを貼れるのはフレームだけのようです。
他の市販ブースに比べると、強度があり丈夫ですね。
だんぼっちグランデのホームページで「カスタマイズでより高い防音性」「軽量かつ強度の高い構造」と謳(うた)っていますが、確かに頑健でカスタマイズしたくなるのもわかります。
組み立ては2人で行うとすごく簡単でした。
遮音性能の測定
カスタマイズ部分を取り除いたところで、早速だんぼっちグランデの実際の遮音性能を測定してみましょう。
測定方法
ブース内でピンクノイズを発生させてその音量をブース内外で測定し、音量差(室間音圧レベル差)から遮音性能を計算していきます。
測定方法を表2. に示します。
表2. 測定方法
測定音 | ピンクノイズ |
測定音域 | 125、250、500、1,000、2,000 Hzの5オクターブバンド |
騒音計 | 精密騒音計、A特性 |
今回はブースの正面ドア前と側面の2ヶ所でデータを取りました。
測定結果
測定結果は表3、表4のようになりました。
表3. 正面ドア前の遮音性能
音域 [Hz] |
ブース内の音量A [dB] |
ブース外の音量B [dB] |
遮音性能 (ブース内外での音量差A-B) [dB] |
125 | 100 | 91 | 9 |
250 | 91 | 79 | 12 |
500 | 92 | 77 | 15 |
1,000 | 93 | 74 | 19 |
2,000 | 88 | 66 | 22 |
表4. 側面の遮音性能
音域 [Hz] |
ブース内の音量A [dB] |
ブース外の音量B [dB] |
遮音性能 (ブース内外での音量差A-B) [dB] |
125 | 100 | 90 | 10 |
250 | 91 | 80 | 11 |
500 | 92 | 78 | 14 |
1,000 | 93 | 74 | 19 |
2,000 | 88 | 68 | 20 |
ドア前と側面の2ヶ所で測定しましたが、遮音性能はほぼ同じでした。
だんぼっちグランデの不明だった遮音性能を実測したところ、
- 低音域で約10 dB減衰
- 中音域で約15 dB減衰
- 高音域で約20 dB減衰
という結果になりました。
意外とよい結果ですね!
正直もう少し低い遮音性能かと思っていました💦
軽さの割に遮音性能が高いのは、恐らくダンボール内に空気層があって紙がすごく軽いので、お互いが振動して音の波を打ち消し合っているのかな、と予想します。
質量からすると十分よい成果がでているのではないかと思います。
この性能だと
- 使う用途→ボイスチャット、ゲーム実況、歌の練習などの声に対して使用
- 使う時間帯→周囲の雑音が大きい日中
- 部屋の環境→近隣から話し声や生活音などが聞こえないくらいの防音性がある
といったような条件下で使うなら満足できるかもしれません。
防音を成功させるには「どんな音(音量や音域)をどこに対して、どれだけ防ぎたいか」を数値で把握することが大切です。
例えば、ブース内で全力で熱唱し100 dBの音量で歌った場合を考えてみましょう。
この時、ブース外では80~85 dB程度に聞こえます。しかし、隣室との壁の防音性能が40 dBくらいであればお隣には40 dB(図書館内)ほどにしか聞こえませんが、壁の性能が20 dBしかなければお隣には60 dB(一般的な話し声)ほどには聞こえてしまいます。
しかし、お隣との壁の防音性能が低くても、全力で歌わずに弾き語り程度であれば十分に用は足りるかもしれません。
防音ブースを使う時間帯に関しても、真夜中ではなく外の雑音が比較的聞こえる日中なら、同じ音量でも気になりにくい状況となるでしょう。
数値のだし方がわからない場合は、下記の動画を参考にしてみてください。
【【防音DIY】最短最速で防音の結果を出す方法!】
もし20 dBでは足りずにプラス10 dBほどの性能を求めるなら、30 dB減衰の防音ブースのDIY方法を下記で紹介しているので、こちらも是非ご参照ください。
【【10万円】完全解説!防音のプロがDIYで防音室を創る】
まとめ
今回はだんぼっちグランデの遮音性能を測定しました。
不明だった遮音性能は、
・低音域で約10 dB減衰
・中音域で約15 dB減衰
・高音域で約20 dB減衰
ほどでした。
この性能であれば、音を出す状況や条件を踏まえて使用するなら有効に使えるでしょう。
私たちBudsceneは皆様が暮らしの中で音と上手に付き合っていけるように応援しています。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 鉛シートを貼ってカスタマイズするのは効果ありますか?
A. 防音効果は基本的に防音材の重さに比例します。
鉛シートを使っても、0.1 mm程度の厚さで軽い場合は防音効果を期待できないでしょう。
だんぼっちグランデを譲ってくださったお客様も、吸音材、0.1 mm厚ほどの鉛シート、遮音シートを貼って努力されていたのですが、それでも性能の向上はあまり見受けられませんでした。
Q. 防音ブースの防音効果を高めるにはどういった工夫をすればよいですか?
A. 防音ブースを部屋の真ん中に設置して壁までの空気層を厚くしたり、ドア部にパッキンを貼って気密性を上げたりといったことが効果的です。
Q. ピンクノイズではなく、人間の声を使って遮音性能を測定したらどうなりますか?
A. 声に対する防音性を検証するために、実際に歌って音量を測定してみましょう♪
-ゆず「栄光の架橋」熱唱中-
全力で歌いました!
結果はブース内90~100 dB、ブース外70~80 dBでした。
周波数ごとに測定すると私ののどが大変なので全音域のオールパスで測定したのですが、声への防音効果は20 dB減衰ほどと測定されました。
だんぼっちグランデのホームページには「声(中〜高音)に対する高い防音性」とありますが、20 dBほどならホームページで特徴として載せるのもうなずけます。
なお、下の動画では私が実際に歌っています(笑)
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