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図書館を目指して防音してもダメ!

更新日:
防音アドバイザー 並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

音がうるさい!防音したい!という時、その音量がどのくらいかを「dB(デシベル)」で表現されてもわかりにくくないですか?
いまいちイメージしにくい!ピンとこない!という方も多いのではないでしょうか。

そんな時は下の図のような、音量を身近な具体例で表した「音量レベルの目安表」が直感的に想像できて便利ですよ。
弊社でもよく利用するモノタロウさんと、弊社の音量レベルの目安表をあげますね。

音量表

参考:モノタロウ

ただ、この音量レベルの目安表。
色々なWEBサイトで作られているのをみかけますが、少し注意喚起しておかなければならないことがあるんです。

今回は、その注意点について解説していきます。

図書館って本当に静かですか?

音量レベルの目安表でよくみかけるのが、40 dBの具体例として「図書館の音」をあげているものです。
(弊社もですね(笑))

図書館

 

図書館の音って記載されていると、何となく「静かな空間」をイメージしませんか?!

けれど、ちょっと待ってください!
図書館って本当に静かでしょうか。

誰かが咳をしたり、ペンが落ちる音がしたり・・・大勢が居る空間なので意外とそれなりにざわめきがありませんか?

結論からいうと、実は図書館の音量40 dBはそんなに静かではありません
図書館よりも、皆さんの生活している部屋の方がはるかに静かな空間です。

そのため、自分が発生させている音が40 dBほどだった場合「図書館くらいの音量なら静かだろう」と誤解してしまいがちですが、十分騒音になり得ます。
図書館よりも静かな自宅の部屋では、図書館程度の音量40 dBは十分にうるさく感じられるレベルなのです。

静かなイメージ先行で、「40 dB=図書館並みの静けさ=シーンと静まりかえる」と思いがちですが、図書館は皆さんの暮らしているご自宅より騒々しい環境なので、誤解しないように気をつけてください!

騒音の分かれ目は40 dB?

各社の音量レベルの目安表をみていただくと、大体どの表も、40 dB以上は「ジェットエンジン」や「地下鉄」といった想像しやすいキーワードが載っています。

しかし40 dB以下は、「図書館」をはじめとして「深夜の住宅地」や「ささやき声」というようにイマイチ抽象的な表現なため、個々で捉え方が違ってしまいます。

40 dB以下の音は人が意識的にだしているというよりも自然に発生している環境音の類になるため、なかなかインパクトのある表現が難しいんですよね💧

でもこれって別の捉え方をすれば、騒音として認識されないためには、雑音に紛れてしまうレベルの音量にすればよいということになります。
そのため、防音では音が漏れる先の環境音がどのくらいなのかが重要になってきます。
図書館並みの音量でも、それよりもさらに静かな環境ではうるさく聞こえてしまうこともありますからね。

今はスマホの騒音計アプリなどで自分で手軽に音量測定できるので、発生させている音や聞こえてくる迷惑な音の音量がどのくらいなのか、是非確認してみてください。

スマホの騒音計アプリについてはこちらをご覧ください。
【スマホの騒音計アプリで防音対策!】

楽器や声の音量目安

楽器や日常レベルの声の音量は全て40 dB以上の音になります。

とても雑音に紛らわせられる音量ではないので、自分がだす音や音漏れ先の環境音を数値化して、どのくらいの音量を防音すればいいのか把握しておきましょう。

以下に楽器や声の音量を示します。

  • ピアノ:95~100 dB
  • サックス:100~105 dB
  • ドラム:120~130 dB
  • 一般的な話し声:60 dB
  • 熱中している時の声:80 dB
  • 全力ボーカル:90~100 dB

自分に必要な防音性能は

必要な防音性能 = 自分がだす音量 - 現状の防音性能 - 環境音の音量

で計算してください。

まとめ

音量レベルの目安表を活用して具体的な音量のイメージを掴むときは、「40 dB=図書館の静かなイメージ」に惑わされないようにご注意ください。

防音は「どんな音をどこに対してどれだけ防ぎたいのか」を明確にすることが大切です。
自分のだす音の音量や、音が漏れた先の環境音(時間帯により変化)を数値化すると、自分に必要な防音性能がどれくらいなのかを把握しやすくなるでしょう。

私たちBudsceneは色々な防音情報を発信していますので、是非正しい知識を得てDIYの参考にしていただければと思います。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 木造一階の床全面打ちっぱなしの元酒屋だった室内に、サンドバッグを置きたいと考えています。
単管パイプを部屋いっぱいに組んで、石膏ボード21 mm厚×2枚を壁・天井に重ねれば、大丈夫でしょうか?
隣家とは3 mくらい離れています。
A. サンドバッグは「吊る・置く」などに合わせ、振動で伝わる音に関して防振を取るとよいでしょう。
打撃音に関しては空気中に響く音量を測定して、どれだけ防ぐ必要があるのか?を数値化してみてください!
こちらが参考になると思います
【【防音DIY】最短最速で防音の結果を出す方法!】

Q. ピアリビング社の「ワンタッチ防音壁」は効果ありますか?
A. 動画やホームページでは、とても効果があるように説明されていますね。
下記で同じような素材を使って検証してみているので、そのくらいの効果でご満足できる場合は使ってみてもよいのではないでしょうか。
【遮音シートと吸音パネルを足したら防音性能はどうなった?】

Q. 一般住宅で日常生活を送る上で、部屋と部屋の間にグラスウールを入れると防音効果を実感できるでしょうか?
各部屋間全てにグラスウールを入れることによる弊害はあるのでしょうか?
A. 防音性能として考えると、グラスウールで音量が小さくなるわけではないので、数値で明らかに変わったといえるような変化はないでしょう。
ただ、高音域に関しては響きが短くなった感覚を得られるので「静かになった」と感じることはできますよ。
また、断熱性が向上して壁内の太鼓現象を抑える効果がはたらくので、マイナスポイントは見当たりませんよ!

関連動画

【【防音性】図書館を目指して防音しても駄目!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】
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