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防音カーテンの遮音性能は?暗幕で性能を検証してみました!

公開日:
防音アドバイザー 並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

市場にはメジャーな防音グッズとして、色々な「防音カーテン」が出回っています。
簡単に設置できていかにも効果がありそうに宣伝されているので、検討している方もいらっしゃるでしょう。

そこで、今回は気になる防音カーテンの防音性能を測定していきます。
果たして防音カーテンでどのくらい防音できるのでしょうか?

測定に使用する防音カーテンの仕様

カーテンの種類

市販の防音カーテンの謳(うた)い文句として「特殊な素材」「特別な構造」というような表現が使われいることがあります。

しかし、防音カーテンの防音性能は結局のところ「重さ」にかかってきます
防音カーテンというように名づけられていても、防音に関する新性能が付与されているのではなく、「カーテン素材の重さ分だけ防音性能が向上する」ただそれだけです。

そのため、今回は数あるカーテンの中でも最も重量が重いであろう「暗幕」を使用して検証を行います。

カーテン

 

学校などにあるような暗幕カーテンの遮音性能を測定して、音がどれだけ減衰するのかを実際に確認していきたいと思います。

カーテンレール

カーテンレールは重量用のものが必要です。
一般的なカーテンレールだとカーテンが重すぎて、カーテンレールが歪んでしまうためです。

また、天井との隙間をなくすためにBフックと呼ばれるものを使います。
一般的なAフックは、カーテンがカーテンフックから下にしか垂れさがらないのですが、Bフックはカーテンがカーテンレールよりも上に行くようになっているんです。
カーテンで遮光性を上げたい場合もBフックがおすすめですよ。

カーテンレール

 

カーテン設置

今回は、暗幕を2枚張りました。

カーテン1枚目・2枚目

 

カーテン無しで測定した音量を、カーテンを1枚閉めた状態、2枚閉めた状態でどのくらい弱まるのか測定していきます。

カーテン測定0・1・2

 

隙間があると音が漏れてきてしまうので、カーテンは壁・天井・床の4面と触れるようにしています。
そのため採寸が重要になります。

遮音性能の測定

では、暗幕の遮音性能を測定していきましょう。

測定方法

ピンクノイズを発生させてその音量をカーテンを開けた状態と閉めた状態で測定し、音量差から遮音性能を計算していきます。

測定方法を表1. に示します。

表1. 測定方法

測定音 ピンクノイズ
測定音域 125、250、500、1,000、2,000 、4,000 Hzの6オクターブバンド
騒音計 精密騒音計、C特性

 

高音の方が低音よりも遮音しやすくカーテンの効果が表れやすいので、通常は測定する音域を2000 Hzまでとしているのですが今回は4000 Hzまでとしました。

測定結果

測定結果は表2.のようになりました。

表2. 暗幕の遮音性能

音域
[Hz]
カーテンを開けた状態①
[dB]
カーテンを閉めた状態②
[dB]
カーテンの遮音性能①-②
[dB]
125 73 73 0
250 75 73 2
500 70 67 3
1,000 66 64 2
2,000 70 68 2
4,000 68 65 3

 

カーテンの中で比較的重い暗幕でも、遮音性能は0~3 dBという結果でした。
0~3 dBなんて、誤差の範囲ですよ💧

もう1枚設置して、2枚利用した場合の遮音性能をみてみましょう。

結果を表3.に示します。

表3. カーテン2枚の遮音性能

音域
[Hz]
カーテンを開けた状態①
[dB]
カーテンを閉めた状態②
[dB]
カーテン2枚の遮音性能①-②
[dB]
125 73 73 0
250 75 71
500 70 66
1,000 66 62
2,000 70 65
4,000 68 63

 

カーテン2枚で距離を取りカーテン自体の他に空気の音減衰も利用しても、遮音性能は0~5 dBほどです。
5 dB以下の改善なら気づかないようなレベルです💦

具体的に5 dBってどのくらい?と思われた方は是非こちらをご覧ください。
【少しでも防音したい!少しを5 dBにした場合、違いに気づく?気づかない?】

カーテン1枚時と2枚時の遮音性能を表4.にまとめます。

表4. カーテン1枚時と2枚時の遮音性能

音域
[Hz]
カーテン1枚での音量
[dB]
カーテン2枚での音量
[dB]
カーテン1枚での遮音性能
[dB]
カーテン2枚での遮音性能
[dB]
125 73 73 0 0
250 73 71 2 4
500 67 66 3 4
1,000 64 62 2 4
2,000 68 65 2 5
4,000 65 63 3 5

 

防音カーテンは今回のように通路に設置するケースは稀で、通常は窓辺で使いますよね。
元からの防音効果が高い部分ほど、さらに防音性能を上げるには質量が必要になるので、通路よりガラス窓の方がカーテンで遮音性を高めるのはますます困難になるでしょう。

まとめ

今回は、カーテンを使用した場合にどれぐらい遮音性能が改善するのか?ということを検証しました。

結果は暗幕2枚を離して使っても遮音性能は5 dB以下であり、誤差のようなレベルでした。
防音カーテンと謳われているカーテンを含め、カーテンに防音性能を期待しても望む効果は得られないでしょう。

ただしカーテンでも生地の吸音効果はあるので、音量を小さくするのではなく、音の響きを抑えたい場合には有用と感じられるかもしれません。

私たちBudsceneは様々な防音情報を発信していますので、是非正しい知識を得てDIYの参考にしていただければと思います。
音にお悩みの方がいらっしゃいましたらご相談・ご依頼などいつでも承りますので、どうぞお気軽にご連絡ください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. カーテンに吸音効果があるなら、TVや音楽を流す部屋では活躍しますか?
A. そうですね、吸音効果のみを求めるならカーテンでも効果を感じると思います。
ただし壁が広いと覆うカーテンにもかなり費用がかかるので、吸音パネルのコストと比較して選択しましょう。

Q. 工事現場などで見かける、「防音」と書かれているグレーのシートはどのくらいの遮音性能があるのですか?
A. 工事現場で使用されているシートについては、あくまでも大空の下の限定的な効果となります。
室内で利用する場合は、既にシートを大きく上回る遮音性能を持つ部屋にいるので、シートで囲っても効果はゼロに等しいでしょう。
詳しくはこちらをご覧ください。
【防音シートを自宅で利用する?無駄です!】

Q. 遮音シートや吸音パネルはどのくらいの遮音性能があるのですか?
A. 遮音シートと吸音パネルを壁に貼って遮音性能を検証したことがあります。
その検証では遮音性能は500 Hzで7 dBほど向上しましたが、こちらも防音カーテンと同じく高性能とはいいがたい結果です。
詳しくはこちらをご覧ください。
【遮音シートと吸音パネルを足したら防音性能はどうなった?】

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【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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