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防音シートを自宅で利用する?無駄です!

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皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

いきなりですが、防音クイズです♪
次の3つの中で、防音性能が一番高いものはどれでしょう?

  1. 防音シート
  2. ブルーシート
  3. テント
防音シート・ブルーシート・テント

 

答えは・・・

1、2、3番とも全部同じレベルの防音性!でした^^

えっ?防音シートが一番高いんじゃないのかって?
ネーミングに騙されがちですが、実は防音シートはそれほど防音性が高くないのです(><)

今回は、防音シートの真実に迫っていきます。

防音シートの防音レベル

建築現場で見かける防音シートって、特殊材でできていて、工事のうるさい音もしっかりブロックしてくれる気がしませんか?
それを部屋の中で使ったら防音に効果がありそうですよね?!

防音シート

 

しかしそのイメージはきれいさっぱり捨てちゃってください。

防音シートの遮音性能は、気体を伝わる音に対して音量を5 dBほど減衰させられるかどうかです。
使い方も、何の妨げもないだだっ広い空間で使うことを前提としているので、室内利用には向いていません。

「防音」とネーミングされているのでつい防音性に秀でていると錯覚してしまいがちですが、ブルーシートやテントと同じレベルの防音性能だと思っていただいて構いません。

防音シート_ブルーシート_テント

 

建築現場では少しでも音を削減するために利用していますが、メインの用途は資材が落下した時に通行人側に落ちないようにするためです。
防音はあくまで+αの効果であり、何もしないよりはマシという程度のレベルです。

布や生地と同程度の防音性能しかないので、期待しているような防音効果は得られないでしょう。

防音シートが防音に向かない2つの理由

防音シートの防音性能が低い理由は、主に次の2つです。

  • 軽い
  • 風を通す前提で使われている

まず重さですが、音を防ぐ効果は遮る材料が重ければ重いほど増します。
一方、防音シートは足場に設置されるように作られているので、施工や持ち運びをしやすいように軽量化が図られています。
従って、防音シートでは重さが足りず音を防げません。

次に使い方です。
建築現場では建物と足場の外側に防音シートを貼りますが、この時防音シートが風にあおられると非常に危険です。
そのため防音シートは風が抜けるための隙間が生じる前提で作られています。
つまり気密性が重視されていないので、当然音漏れもしてしまいます。

防音シートが防音に向くと錯覚してしまう2つの原因

防音シートを部屋に貼って、きちんと防音効果がありました!という意見も耳にします。
しかし残念ながらそれは錯覚です。

錯覚してしまう原因は、主に次の2つです。

  • 音が吸音された
  • ドアや窓の隙間からの音漏れが大きく、そこを覆ったことによる音漏れの減少

音が吸音されると、音量自体は変わらなくても音の伸びが減少して短く聞こえ、音量が少なくなったように感じることがあります。
しかし実際に遮音性能を測定すると、防音シートを貼った前後で隣の部屋や上下階での音量差に変化はないでしょう。

ちなみに遮音と吸音の違いについてはこちらで詳しく述べています。
【防音と吸音の違い「吸音は防音しない」】
【防音材と吸音材は違います!混同する3つの理由とは?!】
どうぞご参照ください。

また、部屋のドアや窓の隙間が多く最初から音漏れが激しかった場合、防音シートで隙間が覆われることによって、音漏れが減少することがあります。
これは元々の防音効果が低すぎるケースで、防音シートで防音しても「焼け石に水」状態であり、防音効果を飛躍的に得られるわけではありません。

まとめ

ネーミングに惑わされてしまいがちですが、実は防音シートの防音性はそれほど高くありません。

そして防音商材には防音シートに限らず、知識がないと「防音効果が優れている」と勘違いしてしまう商品がたくさんあります。
防音にかけられる予算も限られていると思うので、是非正しい情報に基づいた効率的な防音活動を行ってください。

私たちBudsceneも様々な防音情報を発信しています。
音と上手に付き合っていくための参考にしていただければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 防音シートと遮音シートは違うのですか?
A. 似た名前で紛らわしいのですが、違います。
防音シートはポリエステルや塩化ビニルを主成分とした、工事現場で使われる養生シートの1つです。
遮音シートはゴムや合成樹脂、アスファルトを主成分とした、壁や天井の下地材です。

防音遮音

Q. 3Dプリンタ住宅の防音性はどのくらいあるのでしょうか?
A. コンクリート造なので、窓などが無ければ室内外で40~45 dBほどの音の減衰はできるのではないかと考えます。
一般的な住居と比較したら遮音性が高いといえますが、固体を伝わる音が響きやすい構造であるため、戸建て住宅の中に防音室を設置したようなレベルには及ばないはずです。
私も3Dプリンタ住宅には興味があります!

Q. ベランダにつながる掃き出し窓をDIYで防音したいです。
どのようにすればよいですか?
A. 窓のDIYであれば、下記URLに記載の方法でコスパよく音の減衰値を向上させられます。
彩光を確保したいならパターン1をおすすめします。
窓の開閉ができなくなっても問題ないのであれば、パターン2の方が遮音性能が上がります。
【窓への音対策!こんなに防げるDIY施工法2パターン】

Q. テレワークをしていて自分の話し声が外に漏れるのを防ぎたいと考えています。
家が木造建築なのですが、どこまで防音対策をすればよいのかわかりません。
A. 一般的な話し声の音量は60 dBくらいです。
木造住宅だとしても、昼間であれば建物の外に対しての音漏れはそこまで気にしなくてもよいのではないでしょうか。
どんな音をどこに対してどれだけ防ぎたいか?を明確にするとよいですよ。
必要な防音性能の計算方法や測定の仕方はこちらをご参照ください。
【プロが教えます!必要な防音性能を確実に調べる方法とは】
【スマホの騒音計アプリで防音対策!】

Q. 玄関ドアを介して室内から室外に音が漏れてしまいます。
A. まずはドア本体と枠の隙間をパッキンなどで埋めて、気密を上げてみてください。
そうすることでドアが持つ防音性能を最大限に活かすことができます。
それでもまだ漏れる音が大きい場合には、玄関ドアまでの間にもう一つドアを新設するというような別の方法を考えなければなりません。

関連動画

【防音シートを自宅で利用する?無駄です!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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