Budsceneの防音室で、限られたマンションスペースでものびのびとした演奏を!-施工事例7.マンションの小さな防音室-
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
ただ今、以前弊社で施工したマンションのピアノ防音室に伺っております。
この防音室、小さいながらも施主であるGさん奥様のご希望がいっぱい詰まった素敵な空間に仕上がっているんですよ♪
今回はGさん夫婦ご協力のもと、Budsceneの具体的な施工事例として、このマンションのピアノ防音室の工夫ポイントをご紹介いたします。
限られたスペースをどう有効活用しているのか・得られる性能など、マンションでのピアノ防音室をご検討の際は是非参考にしていただければ、と思います。
目次
スタジオの施工環境
こちらのピアノ防音室の施工条件は次の通りです。
- 施工対象:マンションリフォーム
- 防音性能:自宅内両隣の部屋に対して → 50 dB
上下階に対して → 65 dB - 防音室価格:360万円(税抜き)
※上下階に対しての防音性能は、実際にお邪魔して測定できないため想定値となります。
養生
今回は新築ではなくリフォームなので、Gさんご一家の生活と同時並行で防音工事を進めていきました。
寝室一部屋丸々を養生し、職人さんの道具を置いたり防音材を加工したりする場所として使わせていただきました。
搬入
搬入には苦労しました。
ピアノの搬入業者さんはすごくファインプレーだったんですよ。
廊下の幅的に、ピアノが廊下の角で曲がらなかったんです💦
それを防音室向かいの収納の奥行きを利用して、収納の向こう側に一回ピアノの先端を入れて、無事に搬入することができたという経緯があります。

ピアノ防音室の工夫ポイント!
それではピアノ防音室の工夫ポイントをご紹介します。
天井
マンション自体の天井が、もともと斜めの勾配天井になっていたので、その構造を活かしつつ音の響きを調整していっています。
窓
窓は壁一面だったのを、目線の高さよりも少し上に「ハイサイド」で残すかたちとしました。
そのまま壁一面の窓では音も漏れやすくなり、防音効果を得ようとすると費用も高くなってしまうからです。
全て壁で埋めずに窓をハイサイドで残す方法だと「広々とした雰囲気は残したい」「空を見ながらピアノを弾きたい」というご要望を叶えつつ費用を抑えられます。
ピアノの椅子に座ると、ちょうど空が見えてgoodな感じなんですよ。
従来の窓に、新たな内窓をプラスした二重窓で、両方とも引き違いで開けられるようになっています。
ドア
防音ドアは弊社オリジナルです。
マンションのドア枠にピッタリと正確に合うように作っています。
一般的には防音室のドアは、楽器の搬入を考えて有効開口が広い内開きを推奨しているのですが、今回は内開きにしてしまうとドアがピアノに当たってしまうので外開きです。
もともとのドア枠が狭いケースもあるので、そういった場合には一旦既存の枠を撤去して、新たに三方枠というものを作って設置することも可能です。
給排気
換気は天井の廊下側に梁型を創り、その中で給気・排気兼消音のダクトを組んで行っています。
2本のダクトの内、片方から廊下に空気を出して、もう片方で廊下から空気を引っ張っています。
このシステムによって、空気の交換もしながら音漏れを気にせず演奏していただくことが可能となります。
エアコン
エアコンの設置は、冷媒管やドレン管を隣の寝室経由とし、室外機はバルコニーに置いています。
吸音パネル
吸音パネルも弊社オリジナルです。
防音室は白を基調としているので、吸音パネルも白で創っており、ピアノがすごく映えるようになっています。
防音性能の確認
実際にどのくらいの防音性能を得られたのかは、下記URLから確認できます。
いつもはピンクノイズを流し騒音計を使って測定するのですが、今回はGさん奥様のピアノの演奏により、是非皆さまご自身の耳で防音室内外の音量変化を体験いただきたいと思います。
【狭小ピアノ防音室!沢山のオーダーメイドならではの防音工事の工夫を公開!9:42~】
いかがですか?
ドアを開けた時と閉めた時、グッと音量が変わるのをご確認いただけたでしょうか?
奥様には音の響きもご満足いただき、「深夜の演奏でも近隣から苦情はきておらず安心して弾けています」とのご感想をいただいております。
まとめ
今回はGさん夫婦のご協力のもと、Budsceneの具体的な施工事例として、マンションのピアノ防音室の工夫ポイントを紹介いたしました。
古いマンションの場合は、元々の間取りや仕様で防音室施工が困難になってしまっているケースもあります。
しかし、今回のようにアイディア次第では、限られたスペースでものびのびとした雰囲気を残したままスタイリッシュな防音空間を実現することも可能です。
弊社にご相談いただければ色々な選択肢をご提案していけますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 9:43グレモンハンドルを回すだけで音量が劇的に変わることに、改めて驚きました。
ドアの締め付け圧は大きなファクターなのですね。
A. マイクの特性もあるので、実際よりも動画の方が違いが顕著に表れているように感じます。
とはいえ、ゴムパッキンへの締め付けは非常に重要です。
ドアは可動するために隙間があるので、防音性はどうしても低下してしまいます。
そのため、弊社ではドアの質量を壁や床・天井と比較して1 m2あたり1.5倍程にしています。
Q. ドアが薄くて廊下の音が聞こえてくるのですが、よい対策方法はありますか?
A. 簡易的な方法としては、ドアとドア枠との気密を上げるために隙間テープなどを貼り、ドアの質量を遮音シートや毛布などを貼って増やすのがよいでしょう。
引き戸の場合は、できることはありません💦
Q. これから新築を建てる予定です。
石膏ボード部分を標準のものから全てタイガースーパーハードに変更した場合、防音効果の向上は見込めますか?
A. 建物の石膏ボードをタイガースーパーハードに変更した場合、遮音性能は3 dB程度(500Hz)向上するでしょう。
また、タイガースーパーハードは内装仕上げのクロスが張りにくくなるというデメリットがあります。
Q. 歌の録音や楽器演奏(DTM)、ゲーム配信などに興味があります。
音を外に漏れないようにしたい、また外からの音も防ぎたいと考えており、屋外の物置に防音加工をして防音室代わりにすることを思いついたのですが、可能でしょうか?
A. そのご利用用途ですと、遮音性能は55 dB減衰以上必要になるでしょう。
物置でD-55の性能を確保するには、D-35レベルの防音層を2層施工するかたちになるので、かなり困難なDIYになります。
物置の床では重さを支えられないので、床も強化しないといけません。
物置やコンテナハウスでも大きなサイズになると、建築確認申請が必要になるケースがありますので、建蔽率や容積率についても調べておいた方がよいでしょう。
メリットとしては、物置は雨風に対しては強いので、防水工事をしなくてよいという利点があります。
Q. 遮音シートと防音材の組み合わせは結構期待できるのでしょうか?
A. 弊社で検証を行っております。下記を比較してみてください。
【遮音シートと吸音パネルを足したら防音性能はどうなった?】
【完全解説!防音のプロがDIYで壁を防音強化】
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