防音室の性能表記には嘘がある①「透過損失とは何か」
防音室の性能表記には「透過損失●●dB」という言葉がよく出てきます。
表記されている数値は実際に防げる音の数値なのでしょうか?
今回は防音室の性能表記の落とし穴について紹介していきます。
防音室の性能表記には嘘がある①「透過損失とは何か」
透過損失とは、決められた測定方法で材料自体が持つ音を防ぐ効果を数値化したものです。
材料自体が持つ音を防ぐ効果というと、
例えば、壁に使う木材1枚に音を防ぐ効果がどれだけあるのか、決められた規格の測定装置に入れて測定した値を透過損失といいます。
防音室の性能表記には嘘がある①「透過損失の測定方法」
透過損失の測定方法を大まかに説明すると、まず二つの部屋を挟んで、部屋と部屋との間にコンクリートの分厚い回壁を作り、その中に覗き窓をつけます。
その窓に透過損失の数値を測りたい素材をはめます。
そして部屋の片側から音を発生させ、囲い壁の向こうの部屋ではその音がどのくらい減衰するかを測ります。
覗き窓にはめた素材がどのくらい音を通したのか、また、防ぐことが出来たかを数値化したもの。
これが透過損失の数値となります。
防音室の性能表記には嘘がある①「透過損失の勘違い」
透過損失の数値は決められた方法で測定をしているので、嘘でも誤った数値でもありません。
しかし、実際にその素材で防音室を作ってみると、透過損失と同じ音の減衰値は確保できないという現実の問題が発生します。
なぜなら、あくまでも透過損失は素材そのものの防音効果を測った数値であって、完成した防音室を効果測定した数値では無いからです。
「透過損失45dBの防音室」と書かれていたら、それは「透過損失45dBの素材で組み立てた部屋」という意味になります。
決して嘘ではありませんが、消費者側からみると、これはまるで「45dB減衰する防音室」であるように勘違いしてしまいます。
このような勘違いをしないように、透過損失で書かれた防音室の防音性能はその数値を必ず下回る事を覚えておいてください。
明記されている数値が
透過損失の値なのか?
実測値の値なのか?
がわからない表記が非常に多いのです。
よって、判断基準としては
「この数値は透過損失の値ですか?」
「完成した防音室の値ですか?」
をご確認いただき、この性能を保障してもらえるのかどうかを確認するのがベストです。
まとめ
・透過損失の数値は素材の持つ防音性能の数値
・透過損失の数値は防音室の性能数値ではない
次回は、それではなぜ防音室として組み立てると、素材の持つ透過損失の数値以下の性能になってしまうのか、そこをご説明したいと思います。
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よりわかりやすくお話しさせていただいておりますので、ぜひご覧ください。
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