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防音室の性能表記には嘘がある

防音室の性能表記には「透過損失●●dB」という言葉がよく出てきます。
表記されている数値は実際に防げる音の数値なのでしょうか?

今回は防音室の性能表記の落とし穴について紹介していきます。

「透過損失とは何か」

透過損失とは、決められた測定方法で材料自体が持つ音を防ぐ効果を数値化したものです。

材料自体が持つ音を防ぐ効果というと、
例えば、壁に使う木材1枚に音を防ぐ効果がどれだけあるのか、決められた規格の測定装置に入れて測定した値を透過損失といいます。

「透過損失の測定方法」

透過損失の測定方法をわかりやすく説明すると、4面コンクリートの部屋の真ん中に分厚いコンクリートの壁を作り、その壁に覗き窓をつけ、その窓に数値を測りたい素材をはめて部屋の片側から音を発生させ、壁の向こうの部屋に音がどのくらい届くかを計測します。

この音の減衰値で覗き窓にはめた素材がどのくらい音を通したのか、または防ぐことが出来たのかがわかる仕組みになっています。

「透過損失の勘違い」

透過損失の数値は嘘でも誤った数値でもありません。しかし、実際にその素材で防音室を作ってみると、透過損失と同じ音の減衰値は確保できないという現実の問題が発生します
なぜなら、あくまでも透過損失は素材そのものの防音効果を測った数値であって、完成した防音室を効果測定した数値では無いからです。

「透過損失45dBの防音室」と書かれていたら、それは「透過損失45dBの素材で組み立てた部屋」という意味になります。
決して嘘ではありませんが、消費者側からみると、これはまるで「45dB減衰する防音室」であるように勘違いしてしまいます。

「透過損失と実測値の違い」

このような勘違いをしないように、防音室の性能は必ず実測値で計測された数値かどうかの確認が必須となります。素材の透過損失しか書かれていない防音室の防音性能はその数値を必ず下回る事を覚えておいてください。

防音室を謳う商品の多くに明記されている数値は、
透過損失の値なのか?それとも実測値の値なのか?がわからないものが非常に多いのです。

透過損失35dB表記の防音室と、防音性能実測値35dBの防音室を比べると、明らかに防音性能の差が体感的にわかります。
それもそのはず、先ほどもお伝えしたように、透過損失表記の防音室は「透過損失35dBの素材で組み立てた部屋」ですから、きちんと35dBの音に減衰される部屋として作られた防音室とまず比べることがそもそも間違っているのです。

本来なら素材の透過損失ではなく、完成された防音室の実測値を測定して明記すべきで、その数値こそ防音室を求めるお客様の最も知りたい数値なのではないでしょうか。

「防音室の検証、軽いドアと重いドア」

 

弊社では、工場で実際に防音室のサンプルルームを作り、そこで様々な防音素材を試すことで、お客様に販売できる性能保証を確立出来ているかどうかの実験を繰り返し重ね検証してきました。その際に防音ドアの検証を行ったことがあります。

一つは、
①弊社Budsceneで制作した35dB減衰仕様の防音ドア
もう一つは、
②某建築資材メーカーさんが販売している透過損失35dB表記の防音ドア

同じ防音室に設置し、それぞれの防音室の実測値を計測しました。
結果は、①のドアは500Hzで35dB以上の数値が確保できましたが、②のドアは、500Hzで28dBの数値しか確保できませんでした。

なぜ性能の差がこれほどついたのかと言うと、答えは重さにありました。
①のドアは重たく、②のドアは軽かったのです。

音を防ぐには重さと防振が重要と言うのは何度もブログで書かせていただいているのですが、それが目に見えて数値として現れた形となりました。

その他にもドアを構成するパーツの作り込み、機密を上げる為のゴムパッキンの締め付けや、ハンドルの作りが全く①と②のドアでは違うことがわかりました。

このように、防音室の性能は素材の持つ透過損失だけでは測れないのが現実です。細部まできめ細かに組み立て、作り上げる事でしっかりとした防音性能を持つ防音室が完成します。

「なぜ透過損失を表記するのか」

 

なぜ完成した防音室の測定数値ではなく、透過損失という素材の持つ数値をカタログやHPに書くのでしょうか?
透過損失の値はカタログ上では規格にそった測定データで、決して嘘ではありませんから、「透過損失の素材で作った部屋」としては本当です。

しかし、自宅にその部屋を防音室として設置して、実際に音を防ぐ実測値を測れば、透過損失以下の防音室なのは明らかです。実測値でない数値をわざわざ書くのは防音室を購入するお客様に対して親切とは言えません。

防音室は高価な買い物になります。なるべく安い価格で表記できれば手に取る方も多くなるのでしょう。メーカー側もお客様がお求めやすい価格で提供したいという思いはあると思います。

「透過損失35dBの素材で作っています」といえば、嘘ではありませんし、価格は安く押さえられます。しかし、実際に組み立てると35dBの減衰が見込めないお部屋になっている。これは果たしてお客様が欲しかった防音室でしょうか?

建築資材メーカーやユニット式の防音室を販売しているお店の多くは透過損失で記載されているのが現状です。購入検討の際には数値の見極めが非常に必要です。

まとめ

防音室を検討する時、カタログの数値が実際の防音室の実数値かどうかは重要なポイントとなります。もし透過損失で書かれている場合は、
・透過損失の数値は素材の持つ防音性能の数値
・透過損失の数値は防音室の性能数値ではない
・透過損失で書かれた防音室の性能は実際は数値よりも2〜3割性能が落ちる
この事を頭に置いておいてください。


 

この内容はYoutubeでも配信させていただいております。
よりわかりやすくお話しさせていただいておりますので、ぜひご覧ください。

Youtube  Budsceneチャンネル

 

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