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石膏ボードを貼るだけではダメ?!防音のコツを伝授!

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皆さん、こんにちは。防音アドバイザーBudscene並木です。

日本には「煮ても焼いても食えない」ということわざがありますが、今回は「煮たら美味しいのに、焼いちゃってるよー!」「せっかくの食材も調理方法が間違っていると活かせません!」というお話をさせていただきます。

石膏ボードを貼れば防音になる?

結論からいうと、「素材」にだけ着目しても防音は上手くいきません
石膏ボードは確かに費用対効果の良い優秀な建築資材ではありますが、防音を考えるうえで「素材」以外にも大切な要素があるからです。

ではその要素とは?どうすれば上手くいくのか?について解説していきます。

石膏ボードの特性

まず石膏とは何かというと、硫酸カルシウムCaSO4を主成分とする鉱物のことです。
石膏ボードは、石膏を板状の芯にして専用紙で包んだ建築資材であり、以下のような特徴があります。

<石膏ボードの特徴>

  • 遮音性に優れている
  • 防火性に優れている
  • 施工しやすい(加工、接着、塗装などが容易)
  • 安価

このように、石膏ボードはコストパフォーマンスが良くDIYでもとても重宝されます。
厚さは9.5 mm、12.5 mm、15.0 mmの3種類があり、用途によって使い分けることができます。

石膏ボード

素材以外に大切な要素とは

防音材として販売されているものの中には吸音性のみで遮音性が無いものも混ざっています。
色々なサイトで防音材を比較検討しても、知識がないとどれが防音効果が高いのか見極めるのが難しいかもしれません。

そんな時に防音材をそのまま石膏ボードに置き換えるだけでは、防音問題の解決には至りません。
何故なら防音には素材の他にも「施工方法気密性という要素が必要となるからです。

このことについては、こちらでも詳しく述べています。
【防音対策に必要な3つの要素】

「気密性」は元々の建築段階で既に決まっており、住み始めてから手を加えることは難しくなります。
そこでDIYで新たに防音しようとする場合、「素材選び」に加えて「施工方法」が大切になってきます。
せっかく素材が良くても施工方法が適切でなければ、防音材として活かせないのです。

施工方法

単純に部屋の壁に接着剤などで石膏ボードを貼り付けても防音効果は期待できません
壁の内側に石膏ボードを直接貼ると、接触しているところから音(振動)がダイレクトに伝わってしまうため、防音の意味をなさないからです。

効果的に音を防ぐためのポイントは壁と石膏ボードを少し離し、振動が伝わらないようにすることです。

そのため、私たちBudsceneは部屋の内側に石膏ボードでもう1枚壁(防音壁)を作る方法を推奨しています
部屋本来の壁と石膏ボードの間隔は大きいほど効果は高まるので、少なくとも1.5 cm、できれば3 cm以上の隙間を確保するのが望ましいでしょう。

 

防音パネル①
   防音壁の枠を制作     →   枠を壁と1.5 cmほど離して設置 → 石膏ボードを貼ってパネル完成

 

<防音効果のある施工の仕方>
 〇防音壁を新たに作る
 × 接着剤で壁に貼る

しかし、室内にもう1枚防音壁を付け加えると壁が二重になり、新たな問題が起こってきます。

それは太鼓現象です。

太鼓現象について詳しくは、
【反射音を減らしたい!壁の向こうの吸音材について解説】
をご参照ください。

太鼓現象を抑え、かつ防音効果も上げるために、私たちは本来の壁と防音壁との間にグラスウール(吸音材)を充填したり、その上に石膏ボード(遮音材)や遮音シートを貼ったりします。

防音パネル②
    グラスウール充填      →     石膏ボードを貼る     →     遮音シートを貼る

 

防音壁の施工方法について詳しくは、
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】
をご参照ください。

「防音対策=石膏ボードさえ使っておけば万全♪」というわけではありません!
情報を部分的に切り取って判断するとDIYに着手する際にミスをしてしまいます。

  • どんな音を
  • どこに対して
  • どれだけ防ぎたいか

ということを逆算して、防音の3要素を考えていくことが大切です。

廃棄の問題

石膏ボードは処理する際に一般ゴミではなく産業廃棄物の「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」として分類されます。
ある特定の条件下で人体に有害な硫化水素H2Sを発生させるためです。

処理する場合は「産業廃棄物処分業許可」を持つ業者へ委託する必要があります。
もし一般ゴミとして出してしまうと、不法投棄にあたり厳しく罰せられる可能性があるのでお気をつけください。

産業廃棄物

また、業者選びや産業廃棄物の処理に必要なマニフェスト(管理伝票)の手続きなどに手間がかかるので、その点にも注意しましょう。

まとめ

今回は、防音のコツ=「素材」+「施工方法」で考えてください、というお話をしました。

石膏ボードというポテンシャルの高い素材も、適切な施工方法でなければ充分に防音性能を発揮できません。

私たちBudsceneは様々な防音情報を発信していますので、是非正しい知識を得てDIYの参考にしていただければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 防音壁があるのとないのでは、どのくらい聞こえ方が違うのですか?
A. 防音壁があると、 500 Hzで19 dBほどの遮音性の向上を見込めます

詳しくは、
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】
をご参照ください。

Q. 石膏ボードの廃棄処分は有料ですか?
A. 有料です。ただし地域や処理業者により価格設定は異なります。
費用感はだいたい

  • ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」 ⇒ 50円/kg ほど
  • 石膏ボードがリサイクル可能な場合 ⇒ 15,000円/m3 ほど

となります。
少しでも安く済ませたい場合は、自分で運搬して業者に持ち込んだり、他の廃棄物と分けて単体の状態で保管しておくとよいでしょう。

<参考価格>
株式会社山本清掃
https://www.yamamoto-mrc.co.jp/service/price.html
大阪産業廃棄物リサイクル処分センター
https://www.soukan.jp/gallery/gallery_list-3721-17678-1.html

Q. 石膏ボードの処理方法に手間がかかるので、違う素材を使いたいと思います。代替品は何がありますか?
A. 合板をおすすめします。
よく使われる12.5mmの石膏ボードと同程度の防音性能を確保したいのであれば、重さがほぼ一緒となる12.0mmの合板がこれに相当します。

合板であれば処理の際に家庭ゴミや粗大ゴミとして回収してもらうことができます。
合板の方が購入時の初期費用はかかりますが、処理費用のことまで考えると価格の面では最終的にあまり変わらないかもしれません。

関連動画

【【防音DIY】石膏ボードを貼るだけでは防音効果は無し!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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【防音対策に必要な3つの要素】
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】
【反射音を減らしたい!壁の向こうの吸音材について解説】

 

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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