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あなたのオフィスは大丈夫?!会議室の防音対策!

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皆さん、こんにちは。防音アドバイザーBudscene並木です。

さて、今回のテーマはずばり「対策はタイミングが大事!」です。

「むかしむかし、あるところに隣の国とたいへん仲の悪いA国がありました。あるとき隣のB国から侵入できないように国境に壁を設け、これで安心♪とホッとしていました。ところが、何とB国からの侵入者は海から攻めてきたのです!国境に壁を作るときに海沿いにも対策をしておけばよかった・・・」というお話をさせていただきます。

はたして「めでたし、めでたし♪」を迎えるためにはどうしたらよいのでしょう?!

国

 

オフィスの防音の最善策

防音についてのご相談で最も多いのは、「隣の会議室の音漏れに困っている」といった問題です。
しかし、問題解決できる場合とできない場合があります。

何が違うのか

それは相談のタイミングです。
音漏れに気づいてからではもう手遅れであり、設計段階から相談しなければ解決に至らない場合が多いのです。

何故、隣の部屋に音漏れするの?

そもそも会議室と隣室は壁で遮られているのに何故音漏れがするのでしょう。

それは、音は壁からだけでなく天井や床を通しても伝わってくるからです。
(さながらB国からの侵入者が国境の壁からではなく海から侵入してくるようなものです。)

特にオフィスのテナントが入っているビルの設計には「アクセスフロア」や「吊り天井」という方法が採用されていることが多く、会議室の防音対策は難しい問題となります。

アクセスフロアとは

オフィスにはパソコンや電話、エアコンなどが必要不可欠です。

しかし、それらを繋ぐコードやケーブルが地表に出ていると足が引っかかって危なかったり、見た目にも整然としておらずゴチャゴチャしていたりと何かと不都合です。

そこでアクセスフロアという、床下に配線の収納スペースを確保している床を採用することで、オフィス環境を整えることができます。

アクセスフロア

吊り天井とは

天井側も「吊り天井」という、ビルの骨組みと天井下地までをダクトスペースとして空けている構造なので、床と同じことがいえます。

吊り天井

 

つまり床下も天井裏も全て1つの空間として繋がっているため、壁だけを厚くして防音しようとしても床と天井から音が筒抜けとなってしまい、意味がないのです。
防音室を作るときに部屋の一部だけ防音性能を高くしても効果はありません。

このことについては、こちらで詳しく述べています。
【「防音室の風呂桶理論」その音、漏れてますよ!】

後からの工事は難しい

では、天井も床も防音工事をすればいいのではないかと思うかもしれません。

しかし、一度オフィスが入ってしまっている物件に後から手を加えるのは、以下の点をクリアしなければならず、非常に厳しくなります。

  • テナントビルの建築基準
  • 工事にかかる費用
  • 工事の日程

建築基準法において消防の観点から密室を作ることが禁止されている場合があります。
また、後付け工事は一度完成している構造を改装するため大掛かりになり、高額な費用がかかります。
工事期間中は本来の仕事の能率が図れず、業務が遅れてしまうこともあり得ます。

このように、防音室は後付けで設置するにはハードルが高く、実際にはとても手間と時間がかかる難しい工事になります。
問題が発生した後ではすでに手遅れであるため、オフィスの設計段階でしっかりと計画しておくことが重要です!

それでも会議室の防音対策をしたい!

それでも会議室の防音対策をしたい方もいらっしゃると思います。

間に合わなかった方のために、既に建築されているテナントでの防音工夫をいくつかご紹介します。

既に建築されているオフィスの場合

  • ストックスペースを設ける
    会議室と隣室の間の壁際に、書類棚や事務用品収納庫などのストックスペースを設けましょう。
    音漏れする場所に人がいなければ、会議の秘匿性が守られます
  • 廊下を有効活用する
    会議室どうしをくっつけず、廊下を挟んで配置するのも効果的です。
  • サウンドマスキング
    サウンドマスキングは天井裏などにスピーカーを設置し、空調音や川のせせらぎのような自然音などを流して、人の会話を聞き取りにくくするシステムです。
    しかし、一般的な話し声程度であれば効果がありますが、会議がエキサイトしてきてしまうと効果が薄くなってしまいます。

これから建築する設計段階のオフィスの場合

これからオフィスを作る場合はどうすれば防音効果が高くなるのかもご紹介します。

  • 床下や天井裏までしっかりと間仕切りする
    床下や天井裏の空間を設計の段階でしっかりと間仕切りする事ができれば、人の話し声はほぼ防ぐ事が可能です。

オフィスで満足のいく会議ができる環境を整えるには、工事をする前の時点で問題提起をし、それをクリアすることが大切です。

まとめ

会議室を作る際には、設計段階から計画しておきましょう!
タイミングが大切です。

もし間に合わなかったらストックスペースを確保したり、サウンドマスキングを試してみてください。

これで「めでたし、めでたし♪」を迎えることができれば嬉しい限りです。

それでは皆さん、快適なオフィスライフを!

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 会議室の遮音性能はどのくらいが目安となりますか?
A.  50~60 dB減衰(D-50~D-60)ほどであればよいでしょう。

Q. 建築基準さえクリアしていれば勝手に工事してもOKですか?
A.  ビルのオーナーと相談して許可を得なければいけません。
ビルの工事は、責任の所在が誰であるかによって下記のように細かく区分されています。

<責任の区分>

発注 業者選び 料金負担
A工事 オーナー オーナー オーナー
B工事 借り主 オーナー 借り主
C工事 借り主 借り主 借り主
  • A工事・・・外壁、消防設備、エレベーター、共有トイレなどの外装部分
  • B工事・・・空調、排気・排水、分電盤などの設備部分
  • C工事・・・壁紙の張り替え、照明器具の交換、インターネットの配線工事などのテナントの内装部分

床下や天井裏への後付けの間仕切りはB工事に該当するケースが多いでしょう。
退去後に復旧が必要かどうかも含め、後々オーナーとトラブルにならないようにしっかり決めておくことが大切です。

Q. ノイズキャンセリングとサウンドマスキングはどう違うのですか?
A. 例えるならノイズキャンセリングが消臭剤、サウンドマスキングが芳香剤のようなものです。
具体的には次のような違いがあります。

  • ノイズキャンセリング・・・ノイズの音波と同じ振動数、同じ大きさの音波を出し、波の山には谷を、谷には山を当てて音の波を打ち消す方法。物理的に波を相殺して音を消す。
  • サウンドマスキング・・・他の音を流し、会話していることはわかるけれど内容までは聞き取れない、という状態にする。音を消すのではなくあくまで「他の音で紛らす効果」を狙う。

Q. 一般的な話し声と大声の音量はどの程度違うのですか?
A.  人の話し声の音量は大体以下のようになります。

  • ささやき声・ヒソヒソ声 → 30 dB (相当する音量 → 鉛筆で文字を書く音)
  • 一般的な話し声 → 60 dB (相当する音量 → 水洗トイレを流す音)
  • 大声・怒鳴り声 → 90 dB (相当する音量 → 地下鉄の音)

程度となります。
日常で静かと感じるのは45 dB以下程度です。

ちなみに大声のギネス世界記録は129 dB(2000年イギリスのJill Drakes氏による)だそうです。これは飛行機のエンジン近くの騒音に相当します。この記録はまだ誰も打ち破っていないようなので、声量に自信がある人はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

人の声の大きさについては、こちらでも詳しく述べています。
【ボイスチャット/ゲーム配信で家族から怒られないための防音対策!】

関連動画

【【防音工事】会議室の音漏れを防ぐために最も重要なことを徹底的に解説】

並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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