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【DTM防音】-DTMができる防音DIY 低音が漏れてしまう-

戸建て 木造住宅 防音DIY 防音対策

音楽制作をしています。なるべく大きい音量を流したいので防音DIYをしましたが、
低音の漏れを防げません。

防音のお悩み・質問コーナー。
今回のゲストは、音楽制作をしているPさんです。
では、お悩み・質問をどうぞ!

こんにちは。
DTMをしています。
大きな音で曲を聞きたくて、自分なりに防音DIYに挑戦してみました。
ただ、低音が防げないため困っています。
どうすればいのかアドバイスをお願いいたします。

※DTM・・・Desk Top Musicの略。パソコンを利用して楽曲を制作すること。

こんにちは。
まずは、どんな音を・どこに対して・どのくらい防ぎたいのかをお聞かせください。
そこから逆算して防音材や施工法を決めていくことになりますので。

もし周波数62.5 Hz・125 Hz・250 Hz辺りの低音域で80 dB以上の音量が出ているのであれば、DIYでは手に負えないと思います。
専門業者に頼むような、床・壁・天井を浮かせた防音室でないと音は防げないでしょう。

音量の数値化や必要な防音性能の計算方法についてはこちらをご参照ください。
【プロが教えます!必要な防音性能を確実に調べる方法とは】
【外がうるさい!防音したい!】
【スマホの騒音計アプリで防音対策!】
【音漏れ確認や防音DIYの目安の簡易測定に利用できる【ピンクノイズ】】

音楽スタジオ用のモニタースピーカーで音を聞いた時に、隣家に迷惑をかけないように対策をしたいと思っています。

無料アプリで音量を計測したところ、音量は80 dB以下でした。

測定お疲れさまでした!
音量は80 dB以下だったのですね。

では、お住いの環境はどうなっているでしょうか。

木造2階建ての戸建て住宅に住んでいます。
部屋の壁の1面は襖で、窓は2つあります。
隣の家との距離は1 mほどです。

木造の2階建てだと、耐荷重の点で少し心配ですね。

DIYではどのような施工をしましたか?

【壁の防音性能をDIYで上げる方法】を参考に、襖以外の壁3面に次のように施工しました。
①遮音シートを壁に直貼り
②突っ張り金具で下地を組み、ロックウールを充填
③下地に12 mm厚の石膏ボード貼り(壁から12 cm程の距離)
④出入り口である引き戸の前に木枠を仕込み、アルミ製のドアを設置
⑤窓は断熱材のスタイロフォームで塞ぐ

他には、床に遮音シートとタイルカーペットを敷いています。
また、ウレタン素材の吸音材を壁2面に少しだけ貼っています。
 
スピーカーは部屋のテーブルに置いています。
スピーカー後ろの壁には、音拡散の意味を込めてウッドパネルのような凸凹の木材を貼っています。

石膏ボードを貼る下地と壁とを接触させないでDIYしている点など、私たちの発信している防音情報を元にきちんと実行いただいて嬉しいです!

【壁の防音性能をDIYで上げる方法】では遮音シートを石膏ボードに貼っていますが、今回壁に直接貼ったのは何か理由があるのですか?

室内側に貼ると響きが気になると思ってでした🥲
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】の通り、遮音シートも下地に貼れば良かったと思っています。

遮音シートは名前に惑わされてしまいますが遮音効果はそれほど高くなく、低音域で5 dBほど音を弱くできる程度です。

遮音シートの本来の使い方は、石膏ボード同士の間にサンドイッチのように挟み込み、壁の中の気密・防振を少しでも高めることです。
だから、壁に直接貼っても意味がないのです。

遮音シートの使用上の注意点についてはこちらを、
【宣伝文句に騙されないで!遮音シートよりも効果的な遮音材とは?】
遮音シートの遮音性能についての検証結果はこちらをご参照ください。
【遮音シートと吸音パネルを足したら防音性能はどうなった?】

5 dBの音量がどれくらいであるかはこちらで確認できます。
【少しでも防音したい!少しを5 dBにした場合、少しに気づく?気づかない?】

さて現状をお聞きしたところ、確保できている遮音性能は45 dB減衰ほどと想定できます。

この場合、音楽を80 dB程で再生すると外に漏れている音は35 dBほどでしょう。
昼間の環境騒音45 dBほどを下回る音量なので、声の収録のような高~中域の周波数の音なら満足な効果が得られます。

しかし、バスドラムやベースなどの低い周波数の音にはまだ性能不足でしょう。
というのも、低い音の方が高い音より弱まりにくいからです。
低い音は波長が長いので、
・振動の回数が少なく、物質中を伝わる最中に物質をあまり揺らさずにエネルギーが減少しにくい
・障害物を回避しやすい

という特徴があります。

下図のように同じ厚さの壁の中を進む場合、波長の短い高音は何度も壁を揺らしますが、波長の長い低音は壁を揺らす回数が少なくすみます。そのため低音はものを動かすためのエネルギーが失われにくく、弱くなりにくいのです。

壁の厚さと波長の違い

また、同じ大きさの障害物がある場合も、高音のように波長が短いと回避や回折(回り込むこと)ができず反射されるので遮音しやすくなります。
しかし低音のように波長が長いと、回避・回折してそのまま進めるため遮音しにくくなるのです。

回避・回折と反射

低音を防ぐには、防音材の質量UP+防振が重要になります。
しかしDIYで対策する場合は、あと5 dBほどしか性能向上できないでしょう。

そうなのですか💦
天井+床にもしっかりと対策しても無駄でしょうか?!

今から追加する施工としては、床に対して
・質量向上のため合板や石膏ボードを積層で何層も設ける
・スピーカースタンドの下に、オーディオボードを利用

などが、効果があると思われます。

しかし木造の2階は質量があまりかけられないので、これ以上何かを足したり貼ったりは耐荷重の点で難しいかもしれません。

天井はおそらくそこまで影響していないかと予想します。

オーディオボードとはどのようなものでしょうか?
スピーカーの下には、一応ゴム製の制振パッドを敷いているのですが・・・。

オーディオボードは低音が床を鳴らしてしまうことを軽減でき、音質を締める効果もある商品です。
こちらを参考になさってください。
オーディオボード
出典:TAOC

ありがとうございます!そういう商品があるのですね💡
 
アスファルトマットやカルムーンシートという商品は効果あるのでしょうか?

アスファルトマットは厚手の遮音シートのようなもので、床に直接貼っても効果はごくわずかです。
アスファルトマット
出典:ソノーライズ株式会社

とはいえ、室内の反響音は変わるので低音域の響きが多少抑えられるはずです。

カルムーンシートも制振効果と気密UPの効果を得られる薄い素材です。
カルムーンシート
出典:ソノーライズ株式会社

しかし、こういった商品を使っても、現状の45 dBからさらに5 dB以上向上させることは難しいでしょう。

戸建て住宅で室内外の防音性能を、50 dB以上にするには
・床・壁・天井を浮構造にする
・音の逃げ道(防音性能が周りより低い箇所)をつくらない

という構造が必要になってきます。

ドア部分、塞ぎ窓の部分、エアコンドレインなど、どこから音が漏れているかを確認して、防音性が弱いと判断できる箇所のみ着手した方が効率がよいですよ。

例えば窓を塞いでいるスタイロフォームは、断熱効果はありますが防音効果はありません。
窓部の遮音性が弱くなっている可能性があります。

部屋の中で音を流すと床が振動しているのがわかるので、床の強化をしたいと思います。
とりあえず、床に12 mm厚さのコンクリートパネル、アスファルトマット、タイルカーペットでやってみます。
新たに作った防音壁にさらに施工するのは意味ないですかね?

壁や床に対してできる範囲のDIYは既に実施されていると思いますよ。
木造2階建てなので荷重に制限があるため、これ以上床に対して施工したい場合はDIYした部分を取り払ってプロが一から対策する方がよいでしょう。

そうなんですか!
もっと早く相談すればよかったです💦
防音ってほんと難しいんですね。
これからも動画を色々見て勉強させていただきます。

これからも音に悩んだら、お気軽にご連絡ください!

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