防音室の価格は業者によってなぜ違うのか?施工業者がわかりやすく徹底解説
皆さん、こんにちは。防音アドバイザーBudscene並木です。
突然ですが、化粧品選びって難しいようですね。
聞くところによると、化粧品は価格が安すぎると逆に売れないんだとか。
安いと確かに「ちゃんと効果があるのか、肌に負担がかからないか」などと不安になるような気がします・・・。
さて、防音室はどうでしょう?
化粧品と同じように、防音室も安すぎると不安になるかもしれません。そしてその不安は確実に的中します!
価格設定にはきちんと理由があって、単に安ければよいというわけではありません。
性能はもちろんのこと、価格以外にもデザインや使い心地など、他の要素も考慮しないと後悔することになってしまいます。
今回は、防音室にかかる費用の内訳や、なぜ業者によって防音室の価格に差が出るのかについて解説していきます。
費用の内訳
防音室にかかる価格の主な内訳は次の通りです。
- 設計費(図面、打ち合わせ、現場での採寸、監修など)
- 材料費
- 運送費
- 建築工事費
- 電気工事費
- 内装費
- 産廃費
防音室を考えているなら何社か見積もりをとって比較検討してみてください。どの項目の価格を抑えてどこにこだわりたいのか、という自分なりの判断基準が明確になってくるでしょう。
ただし一番大切なのは何といっても性能です。性能が確保されていないと、いくら値段が安くても防音が充分にできず「安物買いの銭失い」になってしまいます。
見積もりを取る際にはまず性能を決定し、同じ性能の上で比較しないと意味がないので、その点に留意しましょう。
防音性能の決定の仕方や、見積もりのチェックポイントについては
【見積もりは金額で決めるな!防音室の目的を達成できなければ意味がない】
【防音室の見積もりのチェックポイント】
をご参照ください。
工事の流れ
弊社Budsceneによる、大まかな工事の流れは次の通りです。
- 防音性能の決定
- 材料の種類や量の決定
- 電気工事や内装の打ち合わせ
- 工期日数・工賃の決定
- 見積もり発行
- 施工
- 性能測定
防音室の目的は「近所の人や家族に音で迷惑をかけない」ことです。
まずは、この目的を達成するために「ピアノやギターを弾きたい」「太鼓を叩きたい」などの用途ごとに防音室の性能を設定します。
性能を決める際には音量はもちろん、発生すると予測される音の周波数や防音室の周囲の環境なども考慮します。
性能が決まったら、それに合わせて材料の種類や量を決めていきます。
打ち合わせの中で電気工事や内装仕上げなど、自由度の高い部分もお好みに合わせて選んでいただきます。
さらに工期日数・工賃を決定し、施工を開始します。
施工が終わっても、それで防音室創りの完了ではありません。
弊社では、工事をやりっぱなしにはせず最後に性能測定を行います。お客さまが安心してご利用できるように、防音室できちんと見積もり通りの性能が実現されているかを確認してからお引き渡しいたします。
防音室七変化
性能以外にも、防音室をオンリーワンに創りあげていくポイントは色々とあります。
最終的に完成する防音室は一つですが、カスタマイズしていく過程では、メイクで七変化するかのようにデザインや使い勝手を色々な選択肢の中から選ぶことができます。
業者に依頼する際は、提示された見積もりの金額でどこまで選択できるのか、打ち合わせ中に確認しておいた方がよいでしょう。
どのような七変化があるのか、弊社での例をあげて説明していきます。
バドシーンの商品ラインナップについてはこちらでも詳しく述べています。
【楽器別・防音室の性能〜戸建て住宅編〜】
ご参照ください。
ドア・窓
ドアや窓などの建具には様々なグレードがあります。
弊社でもBud35(35 dB減衰)やBud40(40 dB減衰)という性能の違うドアをそろえています。
それ以上の性能となるとドアを2枚にして対応することになります。
窓にしても、ガラスの枚数や厚みなど選ぶポイントがあり、性能にも見積もり金額にも影響してきます。
電気工事
電気工事では、防音室を便利に使えるように、コンセントの数や位置など、細やかな部分を相談しながら決めていきます。
天井からスピーカーを下げたい、間接照明にしたい、といった個別の要望にも対応しています。
内装
内装では居心地よく過ごせるように、壁や床の色、柄、素材を選択していただきます。
壁・天井の場合、量産品のビニールクロスであればコストを抑えることができますし、珪藻土を塗る、タイルを貼る、木の仕上げにする、などこだわるならコストが上がってきます。
床にもグレードがあり、安い方から順に、ビニールタイル、タイルカーペット、フローリング、無垢材フローリング、石のタイルと色々な中から選ぶことができます。
吸音パネル
防音室は気密性が高いので、今まで外に漏れていた音が行き場がなくなり全て跳ね返ってきます。そこで室内の音環境を快適にするために吸音パネルを設置する必要があります。
吸音パネルも既製品の白・黒・グレーを使うのか、豊富な色や柄・風合いから選びたいということでオリジナル品にするのかで金額が変わってきます。
まとめ
価格が安くても必要な防音性能が手に入らなければ意味がありません。
価格だけに注目せず、まずは目的を果たすための性能を決めましょう。
また性能が同じでも、低価格の代わりにデザインにこだわることができない、価格は高めでも保証がしっかりしていて安心、など防音業者ごとに力を入れている部分が異なります。同じように見えても実は手をかけている部分が違います。
その業者の特色やウリを把握して自分が納得いくところに依頼してください。
私たちBudsceneは皆さまが少しでも快適に過ごせるように、音の悩みを減らすことでお役に立てればと思っております。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 一般的に高級といわれる六本木ヒルズレジデンスなんかは防音もしっかりしているのでしょうか?
A. 足音などへの対処(床振動)や間仕切りの構造などはしっかりと行われておりますが、レジデンスだから特に優れているという印象は私は持っておりません。
どのような構造で造られているかで防音性は決まってきますので、建物の建てられた年代によっても違ってきます。
もちろん階層の高いVIP向けフロアは、壁厚もあり防音性が高く設計されているところもあります。
Q. 産廃費とは何ですか?
A. 防音室作りの際にはゴミとして処分するものの中に、石膏ボードなど産業廃棄物に分類され、そのまま家庭ゴミのように捨てるわけにはいかない材質も出てきます。
そういったものは個人で処理するのは難しく、有料で専門の産廃業者へ依頼する必要があります。
詳しくは
【【防音DIY】石膏ボードを貼るだけではダメ?!防音のコツを伝授!】
でも説明しています。ご参照ください。
バドシーンではマニフェスト(産業廃棄物の処理委託の際に必要な伝票)を発行できる専門業者を手配していますので安心してご依頼ください。
Q. 珪藻土って何ですか?
A. 藻の一種である珪藻という植物プランクトンの殻が沈殿して化石となり堆積したものです。主成分は二酸化珪素(SiO2)で、断熱性・耐火性・保温性・調湿性などが高いため壁などへの建材として利用されています。
関連動画
【【防音工事】防音室の価格について正しい知識を施工業者が徹底解説】