【集合住宅】防音しやすい音と防音しにくい音の違いと対策方法
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
TDLといえば、東京ディズニーランドですよね!非日常を味わえるので、私も大好きです♪
もちろんミッキーマウスのカチューシャは必須です(*^o^*)
実は防音業界にも同じくT、D、Lというアルファベットで表されている、ある3つの値があるんです。
こちらは非日常の夢の国ではなく、日常を快適に過ごすための目安となるもので、それぞれT値・D値・L値といいます。
今回は、このT値・D値・L値や、防音しやすい音・防音しにくい音に関してお伝えしていきます。
目次
生活の中での防音しやすい音・防音しにくい音
「防音しやすい音」と「防音しにくい音」は何が違う?
集合住宅にお住まいの方に多い悩みが、生活音に関する音漏れトラブルです。
そこで集合住宅を選ぶ際に、意識してほしい項目をお伝えいたします。
それは、音には「防ぎやすい音」と「防ぎにくい音」があるということです。
防ぎやすさの観点で音をざっくり分けると、
- 防ぎやすい音=防音の効果が出やすい音=気体で伝わっている場合
- 防ぎにくい音=防音の効果が出にくい音=固体で伝わっている場合
となります。
気体で伝わっている音とは、話し声や楽器演奏の音など、空気を介して耳に届く音のことです。
気体は密度が低く、音(=振動)を伝えにくいので、空気で伝わってくる音は比較的防ぎやすいのです。
固体で伝わっている音とは、ドアの開閉音や走り回る足音など、物どうしがぶつかって起こる衝撃音のことです。
生活音の中では、他にも椅子を引く音やテーブルに食器を置く音、トレーニングマシーンの音のようなものがあります。
固体は密度が高く、音(=振動)を伝えやすいので、その分防ぐのが大変になります。
気体で伝わる音は、音を遮断する材料の重さが重いほど伝わりにくくなります。
固体で伝わる音は、壁や天井・床などが振動しないように弾性力のある物体を挟み込むことで抑えられます。
こちらでさらに詳しく述べていますので、ご参照ください。
【防音室に重要な「重さ」と「防振」の話】
T値・D値・L値とは
集合住宅を決める際に気にしていただきたいのが、T値・D値・L値です。
Tはsound Transmission loss、Dはsound pressure level Difference、Lはfloor impact sound Levelのことで、
- T値・・・ドア・窓の遮音性能
- D値・・・壁の遮音性能
- L値・・・床の遮音性能
を表します。
T値・D値は「空気を伝わる音」に対しての性能を、L値は床に物が落ちた時の衝撃音、すなわち固体を伝わる音に対しての性能を示します。
つまり、T値・D値は防ぎやすい音、L値は防ぎにくい音に対する性能を表します。
L値はさらに
- LL(Light)値・・・軽量床衝撃音に対する遮音性能(食器を床に落とした時の音など)
- LH(Heavy)値・・・重量床衝撃音に対する遮音性能(子供の走り回る音など)
と細分化されています。
物件選びの際に防音面も重視するなら、是非このT値・D値・L値にも留意してほしいと思います。
周囲の環境(主要道路や線路が近いかなど)や集合住宅内の位置(角部屋や階層など)にもよりますが、おおよそT値→T-3以上、D値→D-50以上、L値→LH-50・LL-45以上を目安にすると安心でしょう。
T値・D値・L値に関してはこちらでも述べています。ご参照ください。
【防音室の性能表記には嘘がある】
もし、もう既に集合住宅に住んでいて音漏れトラブルを抱えているなら、DIYで解決を試みる方法もあります。
ただしその場合、防ぎやすい音と防ぎにくい音では効果が異なってきます。
気体で伝わっている音であれば、複構造での間仕切り強化で改善できる場合が多いでしょう。
間仕切り強化の具体的な方法や効果、遮音シートや吸音パネルの効果についてはこちらで検証しています。ご参照ください。
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】
【遮音シートと吸音パネルを足したら防音性能はどうなった?】
固体で伝わっている音であれば、DIYでの効果は薄く、自力では手に負えない可能性が高くなります。
そのような時は、防振などの本格的な対策が必要となるので、専門業者に依頼して防音室の設置を検討してください。
大切なのは音源側の配慮
固体で伝わる音は、聞こえている側では対処法が限られてしまいます。
そのため、音源側で音を発生させないことが一番の解決策となります。
集合住宅の場合、1人ひとりが配慮することで、お互いに音で干渉しない生活を送れるようになるでしょう。
例えば、
- 足音 → よく歩く場所にはカーペットを敷き、スリッパを履くようにする
- ドアの開閉音 → ドアとドア枠の当たる部分にパッキンやフェルトを貼る
- 食器の音 → テーブルの上にランチョンマットを敷く
- 椅子をひく音 → 椅子の足にカバーをする
など、一手間・一工夫を重ねることにより、他の家に対して音を響かせにくくできます。
音源側になる可能性は誰にでもあるので、まず自分が近隣住宅に迷惑をかけているのではないかと省(かえり)みてみましょう。
まずは自分が配慮すれば周りの住民もそれに気がついて、集合住宅の全員が変わっていくかもしれません。
まとめ
集合住宅には近隣との音トラブルがつきものです。
もし日々の生活の中で気になる音があったら、その音が「気体から伝わってくる防ぎやすい音」なのか「固体から伝わってくる防ぎにくい音」なのかに注目してください。
その音に適した対策をしなければ、トラブル解決に至りません。
物件選びの際にはT値・D値・L値を意識しながら決めると、音に煩(わずら)わされない平穏な暮らしができるでしょう。
私たちBudsceneは皆さまが少しでも快適に過ごせるように、音の悩みを減らすことでお役に立てればと思っております。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。
私たちにご依頼いただければ、防ぎやすい音も防ぎにくい音も全部防ぎます!
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 最低限の防音基準というようなものはないのですか?
隣からの生活音が、まるで一緒に生活しているかのような錯覚に陥るくらい聞こえます。
建物の構造はRC(鉄筋コンクリート)一択でしょうか?
A. 建物内部に関しては防音に対する基準法等はないので、自身の判断にかかってきてしまいます。
RC造の建物でも隣家との境の壁は、造作(躯体そのものではなく内装工事によって作られた部材や設備)の可能性もあります。
図面上で判断したい場合には
・コンクリートの界壁は150 ㎜以上の厚み
・内装材はGL(接着)の工法ではなく、下地材を建てて石膏ボードを貼っている
という物件がよいでしょう。
Q. 壁に「カルムーンシート」や「ノイサスシート」を貼ったら振動を抑えられますか?
A. 「カルムーンシート」は幅広く建築・運搬関連に、「ノイサス制振シート」は多数の自動車に採用されている制振材です。しかし、どちらも薄い鉄板に対する仕様なので、家の壁に対してはそれほど効果を得られないでしょう。
Q. 工事現場などで使われる野外用防音シート「エコーバリア」は室内でも効果がありますか?
A.「エコーバリア」は、そこそこ広い空間で、耳障りな高い周波数の音をなるべく敷地外に出さないようにするための吸音材です。
素材の両面に空気層があって初めて効果を発揮するので、室内で壁面を覆っても効果は見込めないでしょう。
室内で同じような効果がある素材としては、グラスウールやウレタンの吸音パネルとなります。
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