赤ちゃんの夜泣きを防音!簡単に対策する方法
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
赤ちゃんの泣き声って本当に「オギャー、オギャー」なんですかね?
ウチは「ンゲー、ンゲー」と、どう聞いてもオギャーとかバブーとかには聞こえない泣き声だったのですが・・・。
ちなみに2歳ぐらいの時の泣き声は「ヘヤーン、ヘヤーン」でした^^;
泣き声にも個性があるんですかね?!
さて集合住宅に住んでいると、赤ちゃんがいる場合、泣き声で近隣に迷惑をかけているんじゃないかと心配になりますよね。
夜泣きで細切れの睡眠の中、せめて周囲への気遣いの分だけでもストレスを減らしていただければと思い、今回は打開策をご紹介します。
赤ちゃんの泣き声の特徴
赤ちゃんの泣き声は、高音でボリュームが大きいという特徴があります。
具体的には
- 音域:2,000~4,000 Hzほど
- 音量:60 dB以上(2歳以上の場合:90 dB以上)くらい
でしょうか。
2,000~4,000 Hzという周波数は、人間の聞き取ることができる音域の中では高音の方であり、最も聴き取りやすい音域でもあります。
そして90 dBは地下鉄の音やカラオケ内での歌声とほぼ同じ程度の音量です。
つまり、赤ちゃんの泣き声は聴き取りやすい音域で音量も大きいということになります。
一見して厄介そうですね・・・(^^;)
けれど、安心してください。
空気を介して伝わる高音は、防音しやすいのです。
防音しやすい音と防音しにくい音に関してはこちらをご参照ください。
【【集合住宅】防音しやすい音と防音しにくい音の違いと対策方法】
【【集合住宅】防音活動のススメ】
高音ということは、波長が短く振動する回数が多いということです。
つまり波長が長く振動がゆっくりな低音よりも、高音の方が何往復も媒質(※)を揺らすことになるので、壁などで音エネルギーが減少しやすくなります。(※ 音を伝える媒介となる物質)
また、波長が短いと障害物を回り込みにくくなり、反射しやすくなります。
そのため高音は壁などの障害物で遮音しやすい、という特徴があるのです。
障害物は重ければ重いほど媒質を揺らしにくくなるため、防音効果が高くなります。
防音材の重さに関してはこちらをご参照ください。
【防音室に最も重要な「重さ」と「防振」の話】
打開策
赤ちゃんの泣き声のような高音が障害物で防ぎやすいことはわかったけれど、専門業者に依頼したりDIYで壁を建てるのはハードルが高い!という方もいらっしゃるでしょう。
そういう場合は、是非次の場所であやしてみてください。
- お風呂場
- 試着室のような、カーテンで覆われた区画
お風呂場は音が響くので、意外な気がするかもしれません。
しかし構造上、集合住宅では多くの場合お風呂どうしが隣り合っています。
そして元々の壁に加えてユニットバスの壁の施工もされているので、お互いを隔てる障害物の条件もバッチリです。
何よりも好都合なのは、隣人もお風呂場には静かさを期待していないであろうことです。
高い音がお風呂場内に響くことになるので、自分自身が気になる場合は衣類などをかけておくと響きが和らぎます。
洋服屋さんの試着室のようなかたちでカーテンで覆われたスペースを設けるのも効果的です。
中であやすと泣き声が外へ伝わりにくくなりますよ。
カーテンは暗幕のような厚手で重たいものがおすすめです。
集合住宅の壁事情
私が実際に「隣の子供の泣き声が気になる」と相談を受け、部屋の遮音性能を検証した件をご紹介します。
そこは東京都港区のマンションで、相談者の隣人にも許可をとり隣室どうしの遮音性能を騒音計で測定してきました。
その結果、隣室どうしを遮る壁は鉄筋コンクリートではなく、「タイガードリーミィ・65」という商品で作られていたことがわかりました。
タイガードリーミィ・65は、透過損失値(=実験室で測定した遮音性能TLD値)が65 dB減衰であると謳(うた)われている吉野石膏社の防音商品です。
カタログにも遮音設計については次のような注意書きがあるのですが、測定したところやはり実際の遮音性能は透過損失値に届いていませんでした。
<タイガードリーミィシリーズのカタログ注意事項>
- カタログ記載の遮音データは理想的な環境の試験室で測定した透過損失値(TLD値)であり、防音室の実際の遮音性能(D値)を保証するものではない
- 実際の建物ではドア・窓・躯体などからの「音の廻り込み」要素を検討する必要がある
- 高い防音性能を発揮するためには浮床構造などの防振を組み込むことが必要である
- D-50を設計する場合、TLD-60は必要である
このように、鉄筋コンクリート造といわれていても、コンクリートに相当する別の材料が組み込まれて作られている建物は多々あります。
そして、謳われている透過損失値が必ずしも現場で再現されるわけではありません。
実際の防音室は試験室と異なり、ドアや窓、換気扇、エアコンなどの隙間から音が廻り込みます。
そのため、実測した遮音性能(D値)は透過損失値(TLD値)より低くなってしまうのです。
詳しくはこちらをご参照ください。
【防音室の性能表記には嘘がある】
鉄筋コンクリート造の建物でも音に関して万全というわけではないことを頭に入れておいてください。
まとめ
赤ちゃんの夜泣きが続くと神経がすり減り、時にはめげそうなときもありますよね。
私も我が子の夜泣きに悩まされた時期がありました。
当時は毎日夜中の2時頃、近隣の迷惑にならないように夜泣きが始まった子供を抱いて車に乗せ、ドライブを繰り返したものです。
赤ちゃんの泣き声が近隣に迷惑をかけていないか悩んでいる方は、是非今回ご紹介した方法を試してみてください。
逃げ場を作ることでゆとりが生まれ、乗り切れることもあるかと思います。
子育て中の方の一助になれば幸いです。
私たちBudsceneは皆様が暮らしの中で音と上手に付き合っていけるように応援しています。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. ペットの鳴き声はどのくらいの音量なのですか?
A. 犬の鳴き声は約90~100 dB、猫は75 dBほどです。
鳥さん代表として鶏の朝一番の「コケコッコー」を挙げると、100 dBほどもあるようですよ。
ペットの鳴き声に対する防音ついては是非こちらをご参照ください。
【【防音DIY】ペットの鳴き声を防ぎたい方に!】
Q. 子供の足音が階下へ響いているようで困っています。
どのように対策すればよいですか?
A. 足音やドアが閉まる音のような、ものとものが直接ぶつかり固体を伝わる衝撃音に対しては、防振をとりつつ浮き構造にするのが効果的です。
- 赤ちゃんの泣き声 → 空気を伝わる高い音 → 遮音
- 子供の足音 → 固体を伝わる低い音 → 防振
とお考えください。
防振についてはこちらをご参照ください。
【防音室は浮いている?!低い衝撃音を効果的に防ぐには?防振にまつわるエトセトラ】
Q. 人間に聴き取りやすい音域2,000~4,000 Hzとはどのくらいの高さですか?
A. 2,000~4,000 Hzはピアノでいうと、中央のドを基準にして、3オクターブ高いドから4オクターブ高いドまで辺りの音域に相当します。
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【赤ちゃんの泣き声を防音したい!方に安心いただける発信!】
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