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コスパ最強の防音材はこれ!防音材のメリット・デメリット -2024年7月Ver.-

公開:

皆さん、こんにちは。­­­­­­
防音アドバイザーBudscene並木です。

2024年7月現在、建築資材の値段が高騰しています。
「DIYに取り組みたいけど、どの材料を使えばいいのかわからない」というお問い合わせも多いので、このタイミングで3年半ぶりに防音材のコスパについて解説していきたいと思います♪

ちなみに3年半前、2021年2月時点での同テーマの記事はこちらになります。
【コスパ最強の防音材はこれ!】
どのくらい値段が高騰したのか興味がある方は是非ご覧ください。

コスパの算出基準

今から色々な防音商材を、防音性能価格の2点において比較していきます。

具体的には「音を500 Hzで約30 dB弱くするには、各防音商材でどのくらいの量(重さ)が必要になり、いくらかかるのか」を考えます。

防音性能

防音性能は音を遮る材料が重ければ重いほど高くなります。
各商材でいちいち性能測定をすると時間も手間もかかるので、防音性能は材料の重さで換算することにします。

価格

公正に判断するために、各防音商材の価格は建材通販ネットショップ「アウンワークス」Webサイト上での2024年7月時点での金額を比較しました。

アウンワークスは、建築・建設業界のプロ向け建材通販サイトです。
国内最大級の規模をほこり、掲載商品数は41万点以上にものぼります。

ただしアウンワークスで購入すると別途送料がかかってしまうので、もし最安値を狙うならトラックを借りて近くのホームセンターで調達する方がよいかもしれません。
送料(アウンワークス)とトラックのレンタル料+借りる手間(ホームセンター)を天秤にかけて、どちらがよいか検討してください。

とにかく、防音材は「重くて安いもの」がコスパがよいということを覚えておいてください。

各防音商材のコスパ比較

今回比較する防音商材は次の5種類です。

<石膏ボード類>

  • 石膏ボード
  • タイガースーパーハード

<木質面材>

  • 合板
  • パーティクルボード
  • 木毛セメント板

建築資材の板ものは大体が1帖の面積である1820 mm×910 mm(1.6562 m2で作られており、この5種類も例に漏れず同じ1帖サイズの商品となっています。

また、30 dB減衰(音域500 Hz辺りで)に必要な1 帖あたりの重さMは、M=55.6 kgほどとして考えていきます。
これは【【10万円】完全解説!防音のプロがDIYで防音室を創る】で、30 dBほどの音の減衰を12.5 mm厚(13.9 kg)の石膏ボード4枚で達成できたので、M=13.9 kg×4枚=55.6 kgと計算したためです。

30 dB減衰に必要な1帖あたりのコスト

各防音商材の30 dB減衰に必要な1帖あたりのコストを表1. に示します。
④の値が低ければコスパがよい、高ければコスパが悪いということになります。

表1. 30 dB減衰に必要な1帖あたりのコスト


1枚当たりの重さ
[kg]

30 dB減衰に必要な枚数
[枚]
(M ÷ ①)

1枚あたりの単価
[円]

30 dB減衰に必要な1帖当たりのコスト
[円]
(③×②)
石膏ボード (厚さ9.5 mm) 10.5 5 480 2,400
(厚さ12.5 mm)13.9 4 590 2,360
(厚さ15 mm)  16.6 3 1,070 3,210
タイガースーパーハード (厚さ12.5 mm) 27 2 1,820 3,640
合板 (厚さ12 mm)   13.9 4 2,860 11,440
パーティクルボード (厚さ12 mm)14.3 4 1,800 7,200
木毛セメント板 (厚さ25 mm)29 2 2,220 4,400

 

表1.より、同じ面積(今回は1帖=1820 mm×910 mm)あたりのコスパは12.5 mm厚と9.5 mm厚の石膏ボードがよいとわかります。

しかし、中にはコスパだけではあらわせないメリット・デメリットもあります。
次に各防音商材の特徴を紹介しますので、材料を選ぶ際の判断基準にしていただければと思います。

石膏ボード

石膏ボード

 

石膏ボードは、石膏を板状の芯にして専用の紙で包んだ板材です。

コスパはよいのですが一般ゴミとして捨てられないため、処分する時は産廃処理費用がかかります。産廃処理業者に依頼せずに自力で産廃場に持ち込めば費用は抑えられますが、運搬も中々大変なのでおすすめはしません。

コスパにあまり差がなさそうな9.5 mm厚と12.5 mm厚ですが、9.5 mm厚は12.5 mm厚に比べて軽くて持ち運びしやすいというメリットがあります。しかし一方で加工が1枚分増えるというデメリットもあります。

15 mm厚は他の2つに比べてコスパが悪く、厚くて加工性もよくないため材料候補からは除外してもよいでしょう。

タイガースーパーハード

タイガースーパーハード

 

タイガースーパーハードは、石膏ボードの一種ですが従来の石膏ボードより硬く強度が高いことが特徴です。
石膏ボードよりも若干値が張りますが、2枚で済むので施工の手間が省けます

また、同じ12.5 mm厚の場合、石膏ボード4枚とタイガースーパーハード2枚では厚さが25 mm違います。つまりタイガースーパーハードを使うと25 mm(2.5 cm)分部屋を広く使うことができるのです。壁の両側で考えると合わせて5 cm広くできるので、部屋の使い心地がかなり変わります。

合板

合板

 

合板は、薄い木の板を接着剤で重ねて作った板材です。

商品自体の価格は一番高いのですが、一般ゴミとして処理できるのがメリットです。
12 mm厚の石膏ボードと比較すると約5倍の費用であり初期投資がかさんでしまいますが、産廃処理費用まで含めて考えると選択肢としては有力です。

合板には強度や品質によって等級が定められており、価格も等級で変わります。
しかし防音用途で使う場合は仕上げの綺麗さなどは求めておらず、重くてしっかりと覆えるかという点が重要なので、等級に関しては気にしなくて大丈夫です。

パーティクルボード

パーティクルボード

 

パーティクルボードは、木材のチップを接着剤と一緒に圧縮して作った板材です。

合板と同様に木製の板材であり、一般ゴミとして処理できます。

費用は合板よりも抑えられますが、チップの方向がバラバラなので合板よりも面としての強度が弱く、さらに切断やビス止めがしにくくなります

木毛セメント板

木毛セメント板

参照:株式会社LOOPLACE

木毛セメント板は、繊維状の木材をセメントペーストで圧縮した板材です。

合板・パーティクルボードよりも安く、石膏ボード・タイガースーパーハードよりも高い中間の価格帯となります。

メリットは、吸音効果もある仕上げ材として使えることです。
石膏ボードの見栄えが気に入らない場合には、木毛セメント板が代替品となるでしょう。

デメリットは、石膏ボードと同様に産廃処理業者に持って行かなければならない点と、すごく固いので電動工具である丸鋸がないと切れない点です。

コスパとメリット・デメリットを比較!

各防音商材のコスパとメリット・デメリットを表2. にまとめました。

表2. 各防音商材のコスパとメリット・デメリット

コスパ メリット デメリット
石膏ボード 9.5 mm コスパがよい 持ち運びしやすい 産廃処理費がかかる 加工枚数が増える
12.5 mm 加工枚数が少なく済む 持ち運びしにくい
15 mm 厚いので加工しにくい
タイガースーパーハード ・固く強度が高い
・加工枚数が少なく済む
・部屋を広く使える
産廃処理費がかかる
・石膏ボードよりはコスパが悪い
合板 × 産廃処理費がかからない
一般ゴミとして処理できる)
コスパが悪い
パーティクルボード × 産廃処理費がかからない
(一般ゴミとして処理できる)

合板よりは費用が抑えられる
コスパがやや悪い
・面としての強度が弱い
・切断やビス止めがしにくい
木毛セメント板 ・吸音効果がある
・デザイン性がある
産廃処理費がかかる
・丸鋸がないと切れない

垂木

防音室を構成するための骨組みを作る木材についても少し触れていきたいと思います。

【【10万円】完全解説!防音のプロがDIYで防音室を創る】では45mm×45mmの垂木を利用していました。
しかしアウンワークスさんでは同サイズを販売していなかったので、売っている垂木の価格を表3.に紹介します。

表3. 垂木の価格

木材
[mm]
長さ
[m]
商品価格
[円]
1本の単価
[円]
角材:40×30(インニッサン) 3 12本 8,120円 677
角材:40×20 3 15本 6,770 450
LVL(※):45×30 2.9 9本 3,840円 427

※LVL(Laminated Veneer Lumber)・・・木板を繊維方向を統一して重ね、接着した木材。合板と似た製法で、そりが少ない。

LVL

LVL
参照:フジ産業株式会社

垂木は壁となる板材の接続部に設置します。
板材に垂木の短い辺の方を接触させるとビスを打ちにくいので、長い辺の方を接触させましょう。

長辺_短辺

 

紹介した木材の中でいうと、LVLを2本重ねて45×60の芯材を作り、そこに90 mmの厚さの吸音材を圧縮充填するのがbestだと思います。

まとめ

DIYに使える防音材の、2024年7月時点でのコスパについて解説しました。

調査をしていて実感したのが「このご時世、DIYを行うにもすごく費用がかかってしまうんだな」ということです。
ただし、もっと以前から防音DIYに取り組んでいればよかった!と思っている方。価格が下がるのを待っていても、おそらく今後建築資材の価格が下がることはないでしょう。
自分がやろう!と思った時がベストタイミングです。
防音DIYを成功させるには正しい情報と綿密な計画、そして勢いが大切です。

DIYで防音対策を行う際には、是非今回解説した防音商材のコスパや特徴を参考にしていただけると幸いです。

音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 鉄板やステンレス板は重いので、防音材として適しているのではないですか?
A. 重すぎて運搬や加工がとにかく大変です。また、入手も困難なため選択肢からは除外した方がよいでしょう。

Q. パーティクルボードとOSBは何が違うのですか?
A. 木材のチップの大きさが違います。OSBの方が木片が大きく、パーティクルボードの方が小さいという特徴があります。

Q. 防音商材のサイズがバラバラだった場合は、どうやってコスパを公平に考えればよいのですか?
A. 今回は商材の面積が同じ1帖だったので、1帖でのコスパを算出しましたが、もしサイズが異なる場合は単位面積1 m2あたりのコスパを比較しましょう。表1.④の板材1枚あたりのコストを板材の面積で割ると1 m2あたりのコストが算出できます。

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【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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