なぜ、Budsceneは天井や床の防音DIY情報を発信しないのか
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
私たちBudsceneは今までに下記のような防音DIYの情報(材料・作り方・防音性能の検証など)をYouTubeや本ブログにおいて発信してきました。
しかし、上下階に対する防音のお問い合わせが多いにもかかわらず、天井と床への防音DIY情報は未だ発信してきておりません。
それは一体何故なのか、今回はその理由に迫っていきたいと思います。
どうぞお付き合いください。
私たちが天井への防音DIYの情報を発信しない理由
まずは、天井への防音DIY情報を発信していない理由をご説明します。
「上の階からの音がうるさい」「上の階に音を漏れさせたくない」という方は、天井に対して何か対処しようとしがちです。
けれど、天井に施工するのは非常にハイリスク・ローリターンです。
その理由がこちらです。
- 上から響く音は衝突音のため、天井にだけ対策しても意味がない
- 効果のあるDIY方法は難易度が高い
- 強度的に危険
上階から聞こえる迷惑な音の殆ど(ほとんど)が、足音・イスを引く音・トレーニングマシンの音などの物体同士がぶつかる衝突音です。
上階の床に直接ぶつかって発生した衝突音は、そのまま構造上床とつながっている下階の壁や柱にも伝わってきます。
つまり、衝突音は直に聞く声や楽器演奏音のような空気のみで伝わってくる音とは違って、天井だけでなく柱や壁などの建物を構築している全ての物体を直接伝わって届くのです。
そのため、衝突音は天井からももちろん聞こえるのですが、実は壁などからも聞こえてきます。
天井にだけ対処しても壁からの音は防げないので、施工の効果が大して得られません。
効果を感じられるDIY方法は、天井・壁を全てもう1層作り、複構造にするやり方です。
四方に壁を作って支えをし、そこに新しい天井を乗せるかたちで施工していかないと防音性は向上しません。
壁や天井に何か防音材を直接貼ったとしても、ほんの僅かしか防音性は向上しません。
大事なのは複構造にして空気層を設けることです。また、このように施工する場合でも、部屋が広いと天井の真ん中がたわんで下がってきます。
防振の釣り金物などを使ってたわみを持ち上げなければならないのですが、これには技術が必要です。
もちろん壁が倒れたり、天井が落っこちたりするリスクも高まります。
安心して寝ているところに天井が落ちてきたら怖いですよね?!
危険ですし、元々ある内装を破損させてしまうこともあります。
私たちが床への防音DIYの情報を発信しない理由
次に、床への防音DIY情報を発信していない理由をご説明します。
「下の階からの音がうるさい」「下の階に音を漏れさせたくない」という方は、床に対して何か対処しようとしがちです。
けれど、床に施行するのも非常に困難です。
その理由がこちらです。
- 浮かせられないので空気層を設けられない
- 柔らかいものを厚さ10 cm以上床全面に敷くのはハードルが高い
- 10 cm以上全面に敷くと内開きのドアの場合はドアが開かない
- 下からの音には効果がない
本格的な防音室ではもう1層床を作って防振をとりますが、DIYでは難しいでしょう。
下への音には何か柔らかいものを床一面に敷き詰めるのが最も効果的ですが、これが中々大変です。
例えばタイルカーペットやジョイントマット、合板などをミルフィーユのように何層も重ね合わせたら防音性はかなり確保できます。
けれど、どれくらい重ねればいいかといったら、目安は大体10 cmほどです。
10 cmも床全面に敷き詰めるのはかなり労力が要ります!💦
しかもドアが内開きの場合、ドアが開かなくなってしまいます。
収納ドアなどは間違いなく部屋側に開きますよね?!。
引き戸だったら開きはしますけど、そもそも引き戸はレール部分から音が漏れてくるので、今度はそこを考えなければならなくなります。
そして「柔らかいものを敷く」という方法は、こちらから下に響く音を防ぐには効果的ですが、下から聞こえる音には効果はほぼありません。
柔らかいものは音の発生時に緩衝材となりますが、下から届く音は既に発生しているので防音効果が低いのです。
私たちが天井や床への防音DIYをおすすめしておらず、情報も発信していないのはこういった理由からでした。
お問い合わせが多いのですが、今後も発信予定はございませんので是非ご理解をお願いいたします。
まとめ
今回は天井や床の防音DIYの情報を発信しない理由についてお伝えしました。
苦情が来てから何とか対策しないと!と悩んだ時に改善が難しいのが上下階への防音です。
DIYでできる防音には限界があるので、引っ越しを考えている場合は、自分のだす音に配慮して物件を選びましょう。
DIYでなく、業者に依頼して防音性を向上させたい場合は私たちが監修することもできますのでどうぞご相談ください。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせくださいね。
連絡先はこちらになります。
- TEL:03-4400-7678
- メールフォーム:https://budscene.co.jp/contact/
- E-Mail:info@budscene.co.jp
- LINE QRコード:
もちろん防音室を作りたいというご依頼や防音ショールームの見学・体験もお待ちしております♪
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. エレクトリックドラムやトレーニングマシーンの音を下の階に迷惑にならないようにするには、床にどんなものを敷けば効果的ですか?
A. 例えば、バランスディスクなどを使ってふわふわした床を作るとかなり効果的です。
「えっ?バランスディスクで床を作る?ユラユラしない?」と思った方、結構YouTubeなどでも動画が上がっているので検索してみてください。
Q. 天井にソーラトンを貼るのは効果がありますか?
A. 吸音効果は向上しますが、とても軽い素材なので遮音性にはほぼ効果がありません。
Q. 引越し先の物件が防音マンション1階なのですが、窓のすぐそばに商店街のアナウンススピーカーがありました。
実際に部屋の中でその音を確認はできないのですが、アナウンススピーカーを部屋の中で防げそうな防音ツールはありますか?
A. 防音マンションといっても防音レベルは様々ですので、音量の数値化がスタートです!
【【防音DIY】最短最速で防音の結果を出す方法!】
現在の防音仕様物件の窓の遮音性能は室内⇔室外で予測すると
- 2重サッシ → 35~40 dB減衰
- 3重サッシ → 45~50 dB減衰
ほどです。
部屋内の何も音がないときの騒音値は20 dB程と予測できるので、スピーカーの音が15 ㏈以下になっていれば録音などには影響しないでしょう。
となると、アナウンススピーカーからの音が窓前で50~60 dB程(一般的な話し声程度)であれば問題にならなりません。
こういった基準で考慮してはどうでしょうか。
Q. 今、自分の部屋でゲームなどをしているのですが、部屋のドアの隙間が広くてボイスチャットの声がかなり漏れてしまいます。まだ学生なので費用もあまり準備できないのですが、何かいい方法はありますか?
A. ドアは質量を重くして、パッキンなどで気密性を高くすることで遮音性を高めていけます。
ただし、元々の蝶番やハンドルといった金具によって限度があります。
下記のドアに関する情報やドアの強化実践などを参考にしてみてください。
【防音ドアの違いを解説!選ぶ際の2つのポイントとは?!メチャクチャ素晴らしい掘り出しものもご紹介】
【【10万円】完全解説!防音のプロがDIYで防音室を創る】
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