03-4400-7678 お問い合わせ 施工事例

うるさい音は大きな音?音の3要素とは

公開: / 更新:

皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

いきなりですが、防音クイズです♪
次の3つの楽器の中で、最も防音しにくい音はどれでしょう?

  1. ヴァイオリン
  2. ピアノ
  3. トランペット
演奏

答えは・・・

2番のピアノです!

え?トランペットじゃないの?!と思う方も多いかもしれません。
確かに感覚的には何となくトランペットな気がしますよね。

これは何故なのでしょうか?
今回は、その謎に迫ってみましょう。

音の3要素

人間は振動を耳で捉えて信号に変え脳に伝えることで、音として感知しています。

そして「音の3要素」と呼ばれる音の大きさ」「音の高さ」「音色」という3つの性質で音を特徴づけ、聞き分けています。

音の3要素にはそれぞれ、振動の次の特徴が関わってきます。

  • 音の大きさ → 振動の揺れ幅(=振幅
  • 音の高さ → 振動回数
  • 音色 → 振動の波形

振動の振幅が大きいと媒質(振動を伝える媒介物質)の密度変化(圧力変化)も大きくなるため、音も大きく聞こえます。

振動回数が多いと、音は高く聞こえます。

振動の波は固有の形を持ち、その形が異なると聞き心地=音色も変わってきます。

図1.に振動と音の3要素の関係を表しました。

音の3要素

図1. 音の3要素

このように、人間は振動のもつ様々な特徴を音情報へと変換して捉えています。

そのため、音をうるさいと感じるかどうかは単純に音の大きさだけでは決まらず、他の要素も絡めた総合的な判断にかかってきます

「防音しにくい音=音量が大きい音」「騒がしい音(不快な音)=音量が大きい音」とシンプルに考えてしまいがちですが、別の要因も絡んでいることを頭に入れておいてください。

それでは音の3要素を1つひとつ詳しくみていきましょう。

音の大きさ

音の大きさは音量・音圧とも表現され、[dB(デシベル)]という単位で表します。

振動の振幅が大きければ媒質の密度(圧力)も大きく変化するので、鼓膜をはじめとする聴覚器官への刺激が強くなり大きい音として知覚されます。

図2.に振幅の大小と音の大きさの違いを示しました。

音の大きさの違い

図2. 振幅の大小と音の大きさの違い

冒頭クイズの3つの楽器の音の大きさは

  • ヴァイオリン → 90 dB
  • ピアノ → 95 dB(90~100 dB)
  • トランペット → 95 dB以上

ほどです。
音の大きさを比較すると、ややトランペットに分があるようにみえますね。

ちなみに、人間が聞こえる音の大きさの範囲は0 dB~120 dB(20 μPA~20 Pa)ほどです。

音の高さ

音の高さは、振動回数の多さに比例し、[Hz(ヘルツ)]という単位で表します。

1秒間の振動回数を周波数もしくは振動数とよび、音の高さを表す時に使います。
例えば2,000 Hzの音というのは、1秒間に2,000回振動していることになります。

この周波数が高ければ(振動回数が多ければ)高い音として、周波数が低ければ(振動回数が少なければ)低い音として認識されます。

図3.に音の高低と周波数の違いを示しました。

音の高さの違い

図3. 振動回数と音の高さの違い

防音対策と周波数

音は低音であるほど、つまり周波数が低いほど遮ることが難しくなります

そして、冒頭クイズの3つの楽器の周波数は

  • ヴァイオリン・・・196~2093 Hz 
  • ピアノ・・・27.5~4186 Hz 
  • トランペット・・・165~1175 Hz

ほどです。

周波数を比較してみると、一番低音域までカバーしているのはピアノだということがわかります。

低い音ほど防音しにくいため、冒頭クイズの答えは低音域まで出すことのできるピアノである!ということになります。

ちなみに、人間の可聴域(音として感知できる周波数の範囲)は20~20,000 Hzほどです。

性能測定での周波数

防音室の性能測定は周波数125 Hz、250 Hz、500 Hz、1,000 Hz、2,000 Hzの5音域のオクターブバンドで行います。
この音域は周波数92.5~2960 Hzであり、人間の可聴域の中で防音しにくい低音域をほぼカバーすることができます。
オクターブバンドについてはこちらのQ&Aで詳しく説明しています。
【防音室の正しい性能測定】
どうぞご参照ください。

下記サイトで音の高さを確認することができるので、もし興味があればどのくらいの音なのか聴いてみてください。
TOM’s Web Site 音階の周波数
Panasonic 聞こえチェック

ところでずっと疑問なのですが、以前ヒットした西野カナさんの「会いたくて会いたくて震える」人は、一体どのくらいの周波数で震えているのでしょうね?!

音色

音は振動する時に波のような形で伝わっていきます。

その波の形が異なると、音色=音の聴き心地も異なってきます。

例えば、オルゴールとギターでは全く同じ音量・高さの音でも、聞いた印象が違いますよね?!
これは両者の音の波形が違うためであり、この聴き心地のことを音色といいます。

図4.に波形の違いと音色の違いを示しました。

音色の違い

図4. 波形の違いと音色の違い

冒頭クイズで、防音しにくいのはトランペットと予想した方が多いのでは?と書きましたが、トランペットは「プアァー」と弾けたような音色で騒々しく感じられるためです。

フルートの音圧と周波数

音の3要素について一通り解説したところで、最後にフルートについて特筆します。

フルートの音圧と周波数は

  • 音圧・・・100 dB
  • 周波数・・・262~2093 Hz

ほどであり、他の楽器に比べて、高音の音圧が大きいという特徴があります。

そのため、フルート演奏用の防音室に関しては特に気密性に注意しなけれななりません。
高い音で、かつ音圧もあると、コンセントの穴、換気扇、ドアや窓のちょっとした隙間から音漏れしてしまいます。

鉄筋コンクリート造で気密性が十分確保されている室内なら音漏れしにくい状態ですが、木造住宅の場合は空気の逃げ道がたくさんあり音も外に聞こえてしまうでしょう。

まとめ

一見「防音しにくい音=音量が大きい音」「騒がしい音=音量が大きい音」と思ってしまいがちです。

もちろん音量が大きいことが原因な場合もありますが、違った要因から音がうるさく感じられたり、対策を間違えてトラブルになっているケースもたくさんあります。

今回解説しましたように、

  • 低音(周波数が低い振動)は防音しにくい
  • 音色により騒がしく感じることもある

ということも踏まえ、自分がどのような音で困っているのか、どのような音へ対策したいのかをよく考えてみましょう。

音について悩んでいること・迷っていることなどがありましたら、是非お気軽にバドシーンのオフィスにいらしてください。
防音ショールームの見学もお待ちしております♪
「これぐらいの音が漏れるんだね」「えっ?こんなに聞こえなくなるの?」といった体験を実際にしていただければ、防音室創りへの不安が解消されるかもしれません。

防音室創りには、後悔のないように取り組んでください。
そして素敵な防音空間を手に入れましょう!

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. 周波数と振動数は何か違うのですか?
A. 言葉の意味は同じです。
慣習的に、周波数は音・電気の分野で、振動数は力学分野で使われており、業界・分野で言い方が異なっているようです。

Q. 音量と音圧の違いがよくわかりません。
A. 音量とは振動の振幅の大きさ、つまり音の大きさと同じ意味です。
音圧とは、厳密にいうと媒質の密度(圧力)が振動によってどのくらい変化しているかを指しますが、振幅が大きいと密度変化も大きくなるのでほぼ同じ意味と捉えて構いません。
両方とも単位は[dB]で表します。

Q. 隣の家から聞こえるバスケットボールのドリブル音を防ぎたいです。
隣に面している壁には窓がついています。
A. バスケットボールのドリブル音は、空気を伝わってくる音、地面(固体)を伝わってくる音の両方が発生するので、防音対策は難しくなります。
まず、どこから音が侵入してくるのか突き止めましょう。
音漏れ箇所の突き止め方はこちらで詳しく述べていますのでご参照ください。
【スマホの騒音計アプリで防音対策!】

各部位の対策は次の方法を参考にしてください。

関連動画

【【防音対策】見えない音を不安に感じる必要は無し!不安が解消できる方法をお伝えします!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】
【プロの作る防音室のノウハウを公開!!!!!【マンション オーディオルーム 防音室編】】

関連記事

【【戸建て住宅】楽器別の防音室の性能】
【完全防音とは?簡易防音とは?でもこの質問に意味はないんです】
【防音室の正しい性能測定】
【スマホの騒音計アプリで防音対策!】
【壁の防音性能をDIYで上げる方法】

並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
BACK 一覧に戻る

CONTACT

防音アドバイザー 並木勇一チャンネル 防音のプロが正しい情報を発信
プロならではの性能測定を行った検証動画や
すぐに役立つ防音のノウハウも公開しています

音についての悩みを相談したい方は
YOUTUBEチャンネルのコメント欄に記載ください