防音性能は施工法で変わる!防音DIYには石膏ボードがいいらしい・・・で終わらないで!
皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。
皆さんおなじみのシンデレラや白雪姫といった童話。
これらのお話は大体王子様と結ばれて「幸せに暮らしましたとさ」で終わっていますよね。
しかし待ってください。
現実的に考えると、その後も王子様との生活は続きます。
シンデレラや白雪姫の物語はまだまだ山あり谷ありで、その後新しいドラマが生まれているかもしれません。
防音についても、このようなケースがみられます。
まだ話の続きがあるのに「石膏ボードで無事防音できましたとさ。めでたし、めでたし♪」と情報を部分的に切り取って、それを結末だと勘違いしてしまうのです。
そこで今回は、防音対策のストーリーを童話にせず、しっかりと現実でも役に立てていただくために、お話の続きをさせていただきます。
目次
防音DIYの施工方法
防音対策を図る場合、石膏ボードなどの防音材を壁や床に直接貼っても無意味です。
壁に立てかける、床に敷くというような方法では全く防音効果がありません。
ではどういった使い方が効果的かというと、空気層を設け、壁などと防音材を離して使う方法です。
音は振動として伝わる時に密度の異なるもの(媒質)にぶつかると反射や屈折をするので、違う素材を通過する度に段々弱くなっていきます。
特に空気のような気体は壁や石膏ボードのような固体よりも音を伝えにくいため、空気層を設けると防音効果がアップします。
そこで私たちは、部屋本来の壁などとは別に新たな構造体を作り複構造にする方法を推奨しています。
理想は下の画像のようなイメージです。
複構造にするときには、本来の壁などと防音材との間隔は少なくとも1.5 cm、できれば3 cm以上あけるようにしてください。
石膏ボードの活用方法はこちらでも詳しく述べています。
【【防音DIY】石膏ボードを貼るだけではダメ?!防音のコツを伝授!】
どうぞご参照ください。
また、弊社が提案しているDIY施工法をこちらに載せますので、もし興味がありましたら是非ご一読してみてください。
建築のプロでも石膏ボードを利用する際にはミスを起こしてしまうという実例を、動画で上げています。
こちらも是非ご覧いただければと思います。
【建築会社が工事しても防音性が向上しない!賃貸物件オーナーからの依頼!「入居者さん同士のプライバシーを守るための防音性を絶対確保したい!」を実現してきました!】
石膏ボードは何故コスパがよいのか
石膏ボードが、コスパのよい理由
防音には複構造の他にも、次の2つの要素が重要です。
- 空気を伝わる音に対して → 音を遮る材料の重さ
- 壁などの固体を伝わる音に対して → 防振(音を伝えたくない箇所と音源の間にゴムのような弾性体を挟む)
遮音性能は材料の重さが重いほど向上するので、「重さ」はその材料が防音材として優秀かどうかを量る一つの目安となります。
そして私たちが石膏ボードをコスパのよい防音材として推しているのは、「重さ」を低価格で確保できるからです。
石膏ボードはさらに、加工・入手のしやすさなどを考慮してもバランスよく総合点が高いため、非常に優秀な防音材といえます。
他の防音材との比較
コスパのよさをキロ単価[円/kg]で考え、実際のキロ単価を比較してみましょう。
石膏ボード、合板、遮音シート、グラスウールのキロ単価を表1.に示しました。
表1. 各材料のキロ単価(コスパのよさ)
①単価(税込) [円] |
②密度 [kg/m2・mm] |
③体積 [m2・mm] |
④重さ [kg] |
⑤キロ単価 [円/kg] |
|
石膏ボード (厚さ12.5 mm) |
約850 | 0.7 | ・縦1820 mm(1.82 m) ・横910 mm(0.91 m) ・厚さ12.5 mm |
14.5 | 約58 |
合板 |
約2,180 |
0.5 |
・縦1820 mm(1.82 m) ・横910 mm(0.91 m) ・厚さ12 mm |
10 |
約218 |
遮音シート | 約5,300 | 1.7 | ・幅940 mm(0.94 m) ・長さ10 m ・厚さ1.2 mm |
19 | 約280 |
グラスウール (厚さ50 mm、 密度32 kg/m3) |
約5,670 | 0.032 | ・縦1820 mm(1.8 m) ・横910 mm(0.91 m) ・厚さ50 mm |
2.62 | 約2,160 |
※2023.9 現在の価格
圧倒的に石膏ボードのキロ単価が低いのがお判りいただけると思います。
このように石膏ボードはコスパがよい防音材なので、正しい施工法で思いっきり活躍させてあげましょう。
なお、グラスウールは正式には防音材ではなく吸音材ですが、防音材だと思っている方が多いので今回比較対象としました。
石膏ボードをはじめとした主な防音材のコスパについては、こちらで詳しく比較しています。
【コスパ最強の防音材はこれ!】
どうぞご参照ください。
石膏ボードとセットで利用しないといけない商品とは?
さて、先ほど石膏ボードを壁などにくっつけないように空気層を設けることが重要です、とお伝えしました。
しかし石膏ボードを単独で立てることはできないので、石膏ボードを貼るための枠が別に必要となります。
この枠は木で組んでいくため、石膏ボードの他にも枠用の木材を準備しなければなりません。
次に、空気層を設けると太鼓現象という低音域の音を増幅させる現象が生じてしまうため、対策として壁などと石膏ボードの間・木枠の隙間に吸音材を充填します。
断面のイメージとしては図1.のようになります。
ということで、石膏ボードが十分に力を発揮するには
- 木材
- 吸音材(グラスウール、ロックウールなど)
という協力者が必要なことを覚えておいてください。
最後に注意点を1つ。
吸音材と断熱材を混同しないようにしましょう。
熱と音は異なる現象なので、基本的には伝播の防ぎ方も違います。
吸音と断熱の効果を兼ねているグラスウールやロックウールはOKですが、断熱効果しかないスチレンフォームなどでは防音効果は得られないので気をつけてください。
まとめ
今回は、防音材だけでなく防音方法にも気をつけましょう!というお話をしました。
音を防ごうとした場合に、石膏ボードさえ使えばどうにかなるというわけではありません。
使い方まで考慮して初めて防音性能が向上します。
例えば、野球やサッカーなどの集団スポーツでも戦略や選手の采配が大切です。
いくらチーム内に強い選手がいても、選手の能力頼みばかりでは勝利を掴(つか)めないでしょう。
防音対策も同じです。
素材のポテンシャルを活かすような戦略(DIY施工法)や、アシストをしてくれるチームメイト(木材・吸音材など)が必要です。
選手の潜在能力を引き出す名監督の気持ちで防音対策を行いましょう。
そうすれば、防音ストーリーの結末を中途半端に終わらせず、真のハッピーエンドを迎えることができるはずです。
私たちBudsceneは様々な防音情報を発信しています。
是非正しい知識を得てDIYの参考にしていただければと思います。
音について心配ごと・トラブル・疑問などありましたら、いつでも気軽にご相談ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。
質問コーナー
Q. 紹介されているDIY施工法にアレンジを加えたいのですが、大丈夫ですか?
A. ご紹介しているDIY施工法は我々の知識や経験を詰め込んでおり、最もコスパよく効果的な方法を発信していると自負しております。
石膏ボードを合板やOSBに変更するのはアリですが、その他は基本的にそのまま施工した方がよいかと思われます。
Q. 遮音シートを付け足したい場合は、どの段階で貼ればよいですか?
A. もし遮音シートを付け加えたい場合は、①木枠 → ②グラスウール充填 → ③石膏ボード貼り → ④遮音シートの手順になります。石膏ボードの室内側の表面(図1.でいうと右側)に貼ってください。
Q. 複構造を工事用の防音シートで作るのは効果ありますか?
A. 工事用の防音シートは、何も無い空間で空に響いてしまう音をわずかでも減衰するために用いられるシートです。
既に囲われているような家の中で利用しても全く効果は得られないでしょう。
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