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防音室が欲しい!4つの選択肢のメリット・デメリットを解説!

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皆さん、こんにちは。
防音アドバイザーBudscene並木です。

防音室を手に入れるためには4つのルートがあるのをご存知でしょうか?

もちろんどのルートでも防音室を得られるのですが、自分に適切な防音室に出会えるかどうかは入手方法が影響してきます。
もし選択を誤ってしまうと、高額な割に性能が低くて目的を果たせない「バッドエンド」に行き着いてしまいます。

欲しい防音室に辿(たど)り着けるように、今回は4つの選択肢とそれぞれの注意点についてお伝えしていきます。

4つの選択肢

防音室の入手方法には、次の4つのルートがあります。

  1. DIYにより防音室を自分で作る
  2. 市販のユニット式防音室をネットや店頭で購入
  3. ハウスメーカーや工務店経由で防音室を施工
  4. 防音室施工の専門会社に依頼
選択肢_

ひとつずつ特徴を解説していきましょう。

DIYにより防音室を自分で作る

DIYで防音室を作る場合は、材料・工具の入手から工法の決定まで全て自分で行います。
間違った情報をもとに製作すると、思うような効果が得られずに手間・時間・費用が全て無駄になってしまうので気をつけましょう。

熱意とやり方しだいでは、コストを抑えつつ高い防音性能を得られる可能性があります。

私たちも皆さまのDIYによる防音室作りを応援していますので、質問や相談がありましたら是非ご連絡ください♪

市販のユニット式防音室をネットや店頭で購入

ネットで「防音室」と検索すると、パッと目につくのが市販のユニット式防音室です。

価格帯もお手頃なものが出回っており、ボタンをポチッとすると何アクションかで自宅に届くので、お手軽に購入できます。

色々な企業が参入していて目移りしてしまいますが、中には表記されている性能よりも実際の性能が低い怪しい商品も混ざっているので気をつけましょう。せっかく購入しても、防音室の目的を果たせなければそれはただの大きな箱です。
カタログなどに記載されている性能に「工場測定値」「当社実験値」などと表示されていたら特に要注意です。

詳しくはこちらをご参照ください。
【防音室の性能表記には嘘がある】
【カタログにはカラクリがある?!防音室購入を失敗しないために】
【この防音性能は真実?いい加減なセールスを見抜く質問を大紹介!】

ハウスメーカーや工務店経由で防音室を施工

防音室が欲しい時、自宅の建築を手掛けたハウスメーカーや工務店に相談してみると、その会社で取り扱っている防音室を斡旋してくれます。

ただし、このルートで設置する防音室はそこまで性能が高いわけではないので、次のような環境で使うことを推奨します。

  • 使用時間:日中
  • 使用用途:ピアノ、木管楽器、弦楽器などの高音域がメインの楽器、ボーカル

周囲がシーンとしている夜や、低音域がメインの楽器であると性能的に厳しいかもしれません。

また、留意しておいてほしいのが「斡旋される防音室はハウスメーカーや工務店の自社製品ではなく、楽器メーカーや建材メーカーといった他社製の商品である」ということです。
セールス担当者が誠実であればよいのですが、勉強不足だったり話を盛るタイプだったりすると危険です。
性能が足りない防音室を売りつけられた挙句に、保証もされず費用だけ支払い損になってしまうことがあります。
実例はこちらです。
【大手メーカーの防音室なのに防音性能が再現されない!メーカー側の対応は? -並木の突撃調査File1-】

ルート3の場合は、セールス担当者が誠実かどうか見極めることが大切です。

防音室施工の専門会社に依頼

最後にご紹介するのが防音室施工の専門会社に依頼するルートです。
私たちBudsceneへの依頼もこちらに分類されます。

防音室ありき!で家を考え、暮らしも防音も両方実現できる環境にしたい場合や、打楽器を防音したい場合はこのルート一択となるでしょう。

防音会社はその道のプロなので、ハウスメーカーや工務店と提携して防音工事を進めていくノウハウも確立しています。
そのため、家の建築時から防音面を考え、計画的に間取りを設計して防音室の性能と費用を抑えることも可能です。
打楽器対応のような高性能な防音室も施工でき、特に性能保証をしている会社であれば最後まで安心して工事を任せられるでしょう。

また、デザイン性も優れていて内装を充実させられるのでオンリー・ワンの防音室を実現することもできます。

各ルートのメリット・デメリット

各ルートの主なメリット・デメリットを表1. にまとめます。

表1. 各ルートの主なメリット・デメリット

防音室の入手ルート メリット デメリット
DIYにより自分で作る ・費用を抑えられる ・労力がかかる
ネットや店頭で購入 ・気軽・手軽 ・防音性能が足りない可能性がある
ハウスメーカーや工務店経由 ・費用・手軽さ・安心感のバランス ・防音性能が足りない可能性がある
防音会社に依頼 ・高性能も可能
・性能保証で確実・安心
・デザインの融通がきく
・費用が高め

 

それぞれのルートにより、得られる防音性能もかかる費用も違います。
そのため、防音室設置の際にはまずゴール(=必要な防音性能)を明確にしてそこへ向かう適切なルートを判断・選択することが大切です。

選択肢

必要な防音性能の求め方

防音室を考えた際に一番初めにすべきことはゴールセッティング(必要な防音性能の把握)です。
目指すゴールが明確になると、予算や防音方法に関しても具体的に決めていけるようになります。

DIYで防音室を作る場合(ルート1)

防音室を自分で作る場合の必要な防音性能の求め方は次の通りです。

必要な防音性能=発生する音の音量-(環境騒音+現状の遮音性能)

発生する音の音量、環境騒音、現状の遮音性能を把握する方法はこちらをご参照ください。
【楽器演奏やボーカルの音を外に漏らしたくない!必要な防音性能を確実に調べる方法とは】
【外からの騒音をDIYで防音したい!必要な防音性能の求め方とおすすめ対策】
【スマホの騒音計アプリで防音対策!】

商品として販売されている防音室を設置する場合(ルート2、3、4)

既に商品として販売されている防音室を設置する場合、戸建て住宅に必要な防音性能の目安は表2.の通りです。

表2. 戸建て住宅における、防音室内と屋外との間に必要な防音性能の目安

使用用途 防音室内と屋外との間に必要な防音性能
[dB]
ピアノ
ヴァイオリン
フルート
ピッコロ
トランペット
アコースティックギター
ボーカル etc.
D-55
エレキギター
エレキベース
トロンボーン
チューバ
サックス
コントラバス etc.
D-65
ドラム
和太鼓
バンド演奏 etc.
D-75

※ 表2.の防音性能は音域500 Hzあたりでの目安です。
※ D-〇〇という表記は音を〇〇dB弱くするという意味で、例えばD-55と表記されている場合は音を55 dB弱くする性能があることになります。
※ マンションの場合は隣居と接しているので、防音性能は戸建て住宅よりもさらに必要となります。

各ルートの注意点

各ルートにおいて、それぞれ注意していただきたいポイントがあります。

DIYで作る防音室(ルート1)

DIYで防音室を作る際に気をつけてほしい注意点は、次の2つです。

  • 強度

面積が広い場合、骨組みを頑丈にしないと天井を支えきれずに中央部がたわんできたり、落下したりする危険性があります。
天井の角材は短辺を水平方向に、長辺を鉛直方向に使うことで強度を得ることができます。

長い方を縦に

 

垂木でしっかりと枠を組んで、防音室が崩れてこないようにしましょう。

  • ドアは外開きにする

もし1度防音室を作ってみて満足な性能が得られなかった場合、内側にもう1つ防音室を追加することで解決することがあります。
しかし、その時に最初の防音室のドアが内開きだと2つめの防音室を設置できません。
そういったことも考えて、1つめの防音室のドアは外開きにしておきましょう。
内側にさらに防音室を作る場合はそちらのドアを内開きにすると、二重ドアの構造になります。

市販のユニット式防音室や楽器メーカー・建材メーカー製の防音室(ルート2、3)

市販のユニット式防音室や楽器メーカー・建材メーカー製の防音室を検討する際は、実際に防音室体験をしてみるのが一番です。
大手メーカーなら全国で防音室のショールームを展開しています。

Bluetoothのスピーカーなどを持参して自分の出す音と同じ音量・音域の音を現場で再現すれば、防音性能が足りるかどうか確認できます。
楽器を持参できる場合は、実際にショールームに持って行って演奏してみてもよいでしょう。

体験の際の注意点は次の2つです。

  • スピーカーの性能が悪いと防ぎにくい低音が再生されず、低音が外で聞こえないため防音性能が高いと勘違いしてしまう
  • ショッピングモールのように周りが騒がしいショールームの場合、いざ防音室を閑静な住宅に設置すると、思ったより性能が高くなかったということが起こる

防音室のショールーム体験は、適切な環境で行わないと意味がなくなってしまうので気をつけましょう。

詳しくはこちらをご参照ください。
【住宅展示場の盲点とは?!防音室体験での注意点をわかりやすく解説】

防音室施工の専門会社による防音室(ルート4)

防音室施工の専門会社に依頼する場合は、防音室完成後に性能保証をしているところを選ぶとよいでしょう。
防音室施工の専門会社と一口にいっても様々で、中には適当に防音室を作って後は放置、効果は知りませんが代金はいただきます、というような悪質な会社も存在します。

遮音性能の測定は下記の建築基準の規格に沿った方法(ピンクノイズを使い、精密騒音計で5オクターブバンドの音域を測定)でないと適正な結果を得られません。

<規格>

  • JIS A 1417(2000年):建築物の空気音遮断性能の測定方法
  • JIS A 1419-1(2000年):建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法
  • 日本建築学会推奨測定基準:建築物の現場における音圧レベル差の測定方法

防音知識がない会社であると、ホワイトノイズを使い普通騒音計で500 Hzあたりの音域のみ測定して、性能測定をしたつもりになっています。
測定方法が守られていないところは怪しい会社なので注意しましょう。

それから、依頼時の伝え方として意識してほしいポイントがあります。

×「ドラムが叩ける防音室が欲しいんです。」
〇「ドラムを叩いても近隣から苦情が来ない防音室を作ってください。」
上の方の表現であると、別に性能が満たなくてもドラムは叩けるため、曖昧で緊迫感が伝わりません。
要望をなるべく具体的に伝えるのが後で揉めないためのコツです。

また、不誠実な会社であるとセールス担当者の提案自体も疑わしいものとなります。
例えば、担当者自身もドラム演奏に対してD-75が適切だと考えているのに高額で売りにくいため、より低い価格のD-65を提案してくる、ということも起こり得ます。
D-65を買った結果、ドラム演奏をして近隣から苦情が来ても、契約書にD-65と記載してありその数値がクリアされていれば騙されたことにはなりません。
そのため、こちらからの伝え方やセールス担当者からの提案には注意を払い、言い包められないようにする必要があります。

まとめ

防音室を入手するルートは4つあります。
まずは自分に必要な防音性能を把握し、「近隣から苦情が来ないようにする」という目的を達成するために適切なルートを選択しましょう。

どのルートでも正しい情報や誠実な会社を見極めることが大切です。
入手ルートに関係なく、皆様ご自身が防音に関する知識を深めておきましょう。それが防音室を手に入れる上で失敗しないためのカギとなります。

私たちBudsceneは求められた性能をしっかりと実現できる防音室を提供しています。
音にお悩みの方がいらっしゃいましたらご相談・ご依頼などいつでも承りますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
弊社防音ショールームの見学・体験もお待ちしております♪

最後までご覧いただきありがとうございました。
防音アドバイザーBudscene並木でした。

質問コーナー

Q. おすすめのDIY方法はありますか?
A. 弊社では次のようなDIY方法を提案しています。どうぞご参照ください。

Q. 何故間取りを工夫すると、防音室の費用を抑えることができるのですか?
A. 間取りの防音では、防音室の周りに音が気になりにくい空間(浴室やトイレ、収納スペース、階段など)を配置して、防音室と音漏れをさせたくない場所までの距離を離し、その間で音の減衰を図ります。
その分防音室の性能を下げることができるので、費用も抑えられます。
間取りの防音は、設計時から計画的に防音を考えていくことができる新築・戸建て住宅で可能です。
詳しくはこちらをご参照ください。
【防音室の価格を抑えるには?費用をかけずに間取りで防音する方法】

Q. 防音室設置の際に、どのルートにも共通する注意点はありますか?
A. 防音室は重いので、基本的には木造住宅の2階以上には耐荷重的に設置できません。
音は防音材が重いほど遮られるため、逆にいうと木造2階以上に設置できるくらい軽い防音室は性能に期待できないでしょう。

関連動画

【【防音室】が欲しい!④つの選択肢を解説!】

【防音アドバイザー 並木勇一チャンネル】

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並木 勇一 株式会社Budscene代表取締役
防音室・ホームシアターの専門家として、防音室の設計デザインから音響空間のデザインまで手掛けています。 音に関するお悩みを解決するきっかけになればと考え、正しい情報を元に防音に関するノウハウや情報を発信しています。
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